【藤井聡】大阪都構想が日本を破壊する


From 藤井聡@京都大学大学院教授

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昨日、ようやく、当方の「都構想」についての所見をとりまとめた新書、

『大阪都構想が日本を破壊する』  http://amzn.to/1GF42Us

が、文春新書から正式出版となりました!

これは、「都構想」を巡る言論戦において大変に大きな意味を持つものとなります。

「詭弁」に頼らずに真っ当な論理とデータに基づいて言論を展開しようとするにあたっては、「本」が公刊されているか否かは、極めて重大な意味を持つからです。

言葉だけでの論戦や短いエッセーでの言論活動で「正確」に表現しようとすれば、どうしても論点を絞りつつ一つずつ論ずることが必要になります。とりわけ、詭弁を弄する相手がいる場合や「揚げ足」を取ろうとする圧力が強い場合にはなおさらです。

結果、発言が全て慎重にならざるを得ず、分かりづらく、しかも、詰まらない言論しか展開できなくなっていってしまいます。

ところが、言うべき事を書物でまとめて公刊しておけば、詳細論点はその書物に預けつつ、細かいことにあまり気を遣わずに「わかりやすい表現」で言論を展開していくことができようになるのです。

結果、言論を、適正かつ「自由」に展開していくことが可能となるのです。

例えば、筆者は本書を通して

『大阪都構想が日本を破壊する』

というメッセージを発信していますが、もし仮にこのメッセージを、今年の1月や2月の段階で発言していたケースを想像してみていただきたいと思います。

そうすれば即座に、凄まじいバッシングがはじまり、十分な言論空間の確保が不能となり、最終的に、より強力に言論が封殺されてしまったであろうことは容易に想像できるところです。

しかし、本書出版した今となっては、それを1ページ目からじっくりとお読み頂ければ、『大阪都構想が日本を破壊する』というメッセージは、単なるネガティブキャンペーンではなく、しっかりとした論理に基づいた学者としての所見であることを容易くご理解頂くことができるようになったのです。

だから「都構想」にご関心のある方には是非とも、反対派、賛成派を問わず、本書をご覧いただきたいと考えています。

ついては、まずここでは、本書のご紹介までに「はじめに」の一部をご紹介いたしたいと思います。

~『大阪都構想が日本を破壊する』 はじめに より抜粋~

あるテレビ番組でのこと。休憩時間に共演者の皆さんと雑談をしている際,ふとしたことから「大阪都構想」に話題が及びました.その中である共演者が,

「やっぱり,都構想やったらええんちゃいますの?」

とおっしゃいました.そしてそれに被せるようにまた別の共演者の方からは,

「結局,都構想実現してもしぃひんでも,同じなんちゃいますの?

との声.

(中略) 筆者は,この時,大阪の未来について大変に大きな不安を感じました.

このまま住民投票をやってしまったら,投票者の方々が都構想について十分な情報がないままに投票が行われてしまうに違いない──そうなれば,大阪の方々は「何も知らないまま」にとてつもなく「重い決断」をしてしまい,遅かれ早かれとてつもない「後悔」をしてしまうことになってしまうことになろう──と確信したのです.

なぜなら,長年,都市の活性化のための行政の実務と研究,教育に従事してきた当方からみれば,今回の投票の対象となる「大阪都構想」の「具体的な中身」(協定書)は、

「論外」

としか言いようがないものだからです.

例えば,都構想が実現すれば,現在の大阪市の人々は,「政令指定都市」という仕組みで守られた多くの権限(つまり自由にやって良いこと)と財源(つまりおカネ)を失い、その結果、行政のサービスレベルが低下してしまう危険性が色濃くあるのですが,それに気づいている方は,どれくらいいるのでしょうか?

実際、東京では、戦後スグに「都区」制度に以降されましたが、その直後から、権限と財源の縮小に不満を抱いた区民達による「都」という制度に対する反対運動が巻き起こっているのですが──その事実を知っている方は、一体、どれくらいいるのでしょう?

しかも、こうした大阪市の財源と権限の縮小によって結局は、大阪の中心核である現大阪市の衰退は決定的となる、ということも考えられるのですが──そのリスクに気がついている方はほとんどおられない様に思います

結果,大阪そして関西にとっては極めて貴重な「大阪の中心核」が衰弱し,それを通して大阪,ひいては関西の「地盤沈下」は遅かれ早かれ決定的となってしまう、つまり、大阪も関西も「ダメ」になってしまう危険性が濃厚に存在しているのですが──そういう危険性に思いを馳せたことがある方は,一体どの程度おられるのでしょうか?

そして何より重要なのは、今回の投票は、「大阪都構想というイメージ」についての人気投票で無いという事実です。

その住民投票は、あくまでも「都構想の設計図」と言うべき「協定書」に対する賛否なのです。

ですから、都構想について良いイメージを抱いている方でも、しっかり「中身」を理解することが求められているのです。

そして、もしも「都構想には賛成だが、この設計図には賛成できない」という方がおられたとするなら、その方は、仮に「都構想」には賛成であっても、「No」と言わないといけない、という投票が、今回の投票なのです。

万一、都構想が実現し、その時に後悔しても、それはもう後の祭りとなります。そもそも「市」から「特別区」に移行する法律はあっても「特別区」を「市」に元通りに戻す法律は存在しないのです。

(中略)

いずれにしても、都構想についての賛否判断を考えるためにも,大阪都構想と呼ばれているものが一体何なのかを、しっかりと考える機会を提供することは、今の大阪にとって、何よりも大切なのではないかと、筆者は考えています。

そんな思いから、本書では筆者はまず、皆様に知っておいてもらいたい、「都構想」についての基本的な事実を「7つの事実」としてとりまとめました。

そしてその上で、都構想が実現することで、大阪、そして日本がどうなるのかといったお話を、そんな事実を踏まえつつ「7つの真実」にとりまとめました。

そしてこうして大阪の未来を考える上で、何よりもまず我々が忘れてはならないのは、大阪という街は文字通り、日本の「宝」だ、という事実です。

その「宝」は、それを日々磨いてくださる大阪人達にとっての「宝」であるのみならず、日本国民全体にとっての「宝」です。例えば、首都直下地震や何かの災害で東京が壊滅的なダメージを被ったとき、日本を引っ張り、支え続けることができる、かけがえのない街は、やはり「大阪」なのです。

だからこそ、このいわゆる「大阪都構想」を巡る議論については、大阪の方々のみならず、国民の皆様方が広く深い関心を差し向けなければならない重大事であると、筆者は確信しています。

そしてその最後には,内閣官房参与として二年以上にわたって政府の皆様方にアドヴァイス差し上げてきた筆者の経験や,現在の政府の地方創生や国土強靱化,アベノミクス等の実際の政府の取り組みを踏まえつつ,大阪,そして,関西を大きく発展させるための具体的な戦略・構想をお話したいと思います.

筆者はそれを「大大阪構想」と呼称しています,

そしてこの構想を通して大阪が栄え,関西と西日本の核(コア)となる「大大阪」を作り上げることが出来れば,大地震で東京が壊滅しようとも,壊れることのない強靭な国家に、日本はなることができるでしょう.

だから筆者は,国会で「大大阪の形成促進法」を制定することが必要なのではないか,と本気で考えています.

「大大阪が日本を救う」──筆者はそう確信しています.

自分たちの愛する街(筆者にとって大阪は文字通り,「電信柱にしみついた」青春の街です),大阪を救うことで,日本全体を救うことができる,それは,決して不可能なビジョンなのではなく,間違い無く実現可能な道なのです.

~~抜粋おわり~~

以上、いかがでしょうか?

上記の様に、本書では、ネット上でも何度も取り上げられた、

「7つの事実」  (第一章で詳しく論じています)

に加えて、より総合的な

「7つの真実」

を第二章で論じています。

その上で、「都構想」の代替案である

「大大阪構想」

を、最後の第三章で論じています。

そしてその中で、アベノミクス、国土強靭化、地方創生といった中央政府の取り組みと、大阪を復活させる数々のプロジェクトをどのように連携させていくかを、具体的に論じています。

筆者は、本書を通読いただければ、どれだけ都構想について肯定的なイメージをお持ちの方でも、(その方に一定程度の思考能力=ability to thinkさえあれば)都構想の「真実の姿」をありありとご認識いただき、

「理性的な判断」

を下していただけるようになるに違いないと、考えています。

是非、賛成の方も反対の方も、最終的な賛否判断を下す前に、本書を手に取っていただきたいと思います。

どうぞ、よろしくお願いいたします!

 

<藤井聡からのお知らせ>
「都構想」については、様々な情報を、下記サトシフジイドットコム上で、日々配信しています。ついては本書『大阪都構想が日本を破壊する』
http://amzn.to/1GF42Us
に加えて、下記HPも是非、ご参照ください!
http://satoshi-fujii.com/
PS
「デフレ下の緊縮財政は、日本をダメにする」
「デフレ脱却のためには、成長のための未来への投資が必要だ!」
という考えに賛成の方には、こちらが参考になるはずです。
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php

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