近代国家である限り、公権力の暴虐を戒めるのはまっとうな感覚であろう。民主主義の国に生きているなら当然の見解ともいえる。
ジョセフ・ナイ元米国防次官補(現ハーバード大教授)が2日、琉球新報の取材に対し、普天間飛行場の名護市辺野古移設について「沖縄の人々の支持が得られないなら、われわれ、米政府はおそらく再検討しなければならないだろう」と述べた。沖縄の民意に逆行して工事が進むことへの懸念を明快に示した形だ。
ナイ氏は米外交政策に最も影響力を持つ国際政治学者だ。米国務長官に助言する外交政策委員会のメンバーでもある。いわば米外交の主流中の主流だ。
これに対し日本の外交当局、政治の主流派は辺野古強行の大合唱である。沖縄の民意を正当に受け止める発言が、沖縄が属する日本からでなく、米国から出てくるばかりなのが残念でならない。
安倍晋三首相や菅義偉官房長官は「辺野古が唯一の選択肢」と繰り返す。だが、当の米国が別の案を考えないといけないと言うのだから、「唯一」がむなしく響く。
ナイ氏は昨年夏にも論文を発表し、基地負担に対する沖縄の怒りと中国のミサイル技術発達に照らして「沖縄の米軍基地は脆弱(ぜいじゃく)になった」と主張、「同盟の構造の再考」を促していた。「再考」が辺野古見直しを意味するのは明らかだ。
2011年に発表した論文ではもっと直裁に、「普天間の県内移設が沖縄の人々に受け入れられる余地はほとんどない」と分析、豪州への海兵隊移転を提言していた。
米国は、沖縄の本土復帰の際にも1995年にも、2005年の現行案決定の時にも、再三再四、在沖米海兵隊の米本国撤退や県外移設を提案していた。公文書などで既に明らかになった事実だ。それを沖縄に置くよう懇願したのが日本政府だったことも分かっている。沖縄に犠牲を強いているのは、他の誰でもなく日本政府なのだ。
辺野古移設に関し、日本政府は「決めたことは何が何でも進める」という姿勢だ。それが「日米同盟の強化」になると言いはやすが、当の米国はそう思っていないのだから、政府の弁はおよそ合理性を欠いている。
安保の負担を沖縄だけに負わせるのはもう限界だ。ナイ氏の発言はそれを明快に示す。日本政府も「決めたから進める」という思考停止をいい加減脱するべきだ。
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