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【「忘れえぬ島」パラオ~遺族・戦友の戦後70年】
(中)両陛下ご訪問を前に壕開く 遺骨収集加速に高まる期待
日本政府は昭和27~50年の3度にわたりペリリュー島を含む国内外で本格的な遺骨収集事業を行ったが、その後は水戸の慰霊会など民間団体の独自調査に基づく情報に頼っているのが現状。同島で戦後に収集された遺骨は、7633柱にとどまる。近年は特にペースが減少。平成21年以降はわずか35柱だ。
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3月25~27日も、影山さんはペリリュー島にいた。約200カ所あるとされる米軍に埋められた壕の一つが初めて開けられ、日本政府の調査が行われたのだ。米軍上陸地点に近い「イワマツ壕」。両陛下ご訪問を前に昨年12月に来日したパラオのレメンゲサウ大統領は、天皇陛下にご訪問歓迎の意を表し、遺骨収集への協力を約束。3月初旬に調査の許可を出した。
イワマツ壕は幅、奥行きとも約3メートル、高さ約1・3メートル。立ち上がることはできないほど狭い壕から、推定6柱の遺骨や日本刀、水筒などが見つかった。遺骨は日本人と確認されれば年内にも帰還が実現する。影山さんは「狭小な壕に70年も取り残してしまい、申し訳ない。両陛下が訪問されるおかげでご遺骨の収集に道が開けた」と話す。