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【「忘れえぬ島」パラオ~遺族・戦友の戦後70年】
(中)両陛下ご訪問を前に壕開く 遺骨収集加速に高まる期待
「これは、大腿骨(だいたいこつ)のご遺骨では」。6日(日本時間同)、パラオ共和国・ペリリュー島のジャングルを歩いていた「水戸二連隊ペリリュー島慰霊会」事務局長、影山幸雄さん(70)は、一見すると枯れ枝のように見える遺骨を見つけ、思わずつぶやいた。
先の大戦で日本軍守備隊約1万人が米軍に徹底抗戦の末にほぼ全滅したペリリュー島。影山さんは、9日に同島で戦没者を慰霊される天皇、皇后両陛下を出迎える遺族を戦跡へ案内するため訪島していた。遺骨収集に長年携わり、パラオ入りは34度目。今回もその足は自然と、日本軍陣地の壕の周辺に向いていた。
自分の目で遺骨を発見することができたが、勝手に収集することはできない。文化遺産保護などを目的としたパラオ政府の厳格なルールがあるからだ。
まず、GPS(衛星利用測位システム)で位置を測って写真を撮り、厚生労働省に送る。収集するには、専門家が米兵や現地の人の骨ではないと鑑定した上でパラオ側の許可を得る必要がある。厚労省の担当者は「1柱の許可に半年以上かかることもあった」と話すが、その困難に取り組んできたのが影山さんだった。