私のトレード手法はすでに公開している。特に秘密はない。
銘柄選びの方法も特に秘密はない。選び方は2通りある。テーマ選択とセクタ選択である。
テーマ選択は非常にシンプルである。流行っている銘柄のことである。作業としては2つ行う。テーマ別銘柄リストの作成・テーマの流行の観測である。
私はザラ場中は三重テレビ(関東であればMX)を見ている。その中で「水素関連銘柄で岩谷産業が注目されています」などと聞いたら水素関連銘柄としてメモしておく。アナリストの仕事はほぼコレだけである。銘柄の分類は彼らに任せた方がいい。意外な銘柄が登場することがあるが、一度リストに入ってしまえば次からは対応できる。
テーマが注目されているかどうかは非常に大事である。「LINE上場関連銘柄」はほぼ固まっているが、「上場期待」の賞味期限はどんどん短くなっていて直近では1日で終ってしまった。注目とは出来高であり売買代金である。株価は重要ではない。出来高が多ければ多いほど流動性が増してテクニカル分析が機能する。入りやすく逃げやすくカモを殺しやすくなる。ただしボラティリティはテーマの初動が最も大きい。
賞味期限の長いテーマがあることが望ましいがなかなかそんなテーマは現れない。そして「テーマが注目され始めたかどうか」は出来高の急増でしか観測できない。原因不明の出来高急増には飛び乗ってみて、あとからテーマだったと判明することになる。同じテーマが復活するたびに賞味期限は短くなる。
いまのところ「インバウンド」は細かく流行を変えながら継続しているようである。最初は空運と旅行代理店だった。ホテルや購入対象品・製造メーカーの業績までテーマは変化している。テーマ株は仕掛けていてワクワクするが、その分とても難しい。
対してセクタ選択はとても退屈だ。数字を眺める作業が多い。根本的な理屈もまったく異なる。ただし作業はシンプルである。テーマ株の逆だ。
まず相場が上か下か横かを判別する。上なら買い、下なら売り、横ならトレードしない。次に東証1部33業種のそれぞれについて上か下か横かを判別する。相場が上ならもっとも上に向かっている業種を選ぶ。最後にセクタの中でもっとも相場とトレンドが合致しているものを選ぶ。そして仕掛けるのだ。
相場が上か下かを調べるには日経平均株価を見ればよい。私は上昇と下降を中指(fractals)の序列で定義している。このやり方は個別銘柄でも同じである。
日経平均株価の日足チャートである。下図の赤矢印と青矢印の日が中指の日である。ベースの画像は 世界の株価と日経平均先物 より拝借させていただいた。
今日が中指となるかどうかは分からない。だからもっとも右にある青矢印は暫定的である。同じ理屈で、もっとも右にある緑色矢印も暫定である。緑色矢印も水色矢印も上向きならば「上昇トレンド」であると定義する。
上昇トレンド中に「水色矢印が下向き&緑色矢印が上向き」の状態になることがある。これは「持合い」と定義する。まだ上昇トレンドが崩れたとはみなさない。上図では上昇トレンドから持合いになり、さらに持合いから下に向かって「上昇トレンドが終わったかもしれない」時期を見つけることができる。実際にはレンジの下でヘッドフェイクとなっただけであった。
この「上か下か確認」方法は単純に見える。だが実際にやると「チャートの右端でどうやって判断するの?」と様々な疑問が生じる。結論はシンプルだ。明日のことは分からない。「今のところ上ならトレンドは上」でよい。
私は順張り信者なので「上昇トレンドなら青矢印から赤矢印に至る間に買いでエントリー」となる。逆張りならば「赤矢印を見つけたら売りでエントリー」となるはずだ。もちろん青矢印かどうかは当日には分からない。そこで基礎の指標を見る。信用倍率・信用評価損率・騰落レシオである。だがうまくいかない。なぜなら「順張りはトレンドに乗りたい」にも関わらず、「トレンドが発生すると指標が機能しない」のである。逆張りならば指標は大いに役立つのであるが。
例えば信用評価損率(買い)を見てみる。-5%なら天井で-20%なら底である、とされている。
ネットストック投資指標|ネット証券/株・先物・FXなら松井証券
http://www.matsui.co.jp/news/ranking/past_data.xls
アベノミクス相場となってから-20%となったことはない。-15%付近まで下がったのは2013年6月、2014年の節分・4月・5月と黒田バズーカ2直前だけである。それ以外の時期はほぼ「-5%付近の天井サイン」が点灯し続けている。永遠に過熱相場が続いていると言える。騰落レシオもほぼ同じ状況である。基礎的な指標なので重視するのは当然だが、順張りの仕掛けタイミングを計ることはできない。それほどアベノミクス相場は強烈なのだ。
だから私は新高値(年初来高値)を使うことにしている。
東証1部新高値125 地味に記録してる。作戦も立ててる。 pic.twitter.com/TacT4XhGHf
— 水野 学 (@cz500c) 2015, 4月 6
調査期間に限れば、新高値銘柄数が最大となったのは3月13日の332銘柄である。再び日経平均株価のチャートを見直してみる。3月13日は黄色い矢印で示す。
いろいろな仮説が浮かび上がってくる。
- 新高値銘柄数がピークを迎えた「数日後で」日経平均株価はピークを迎える
- 新高値銘柄数が「ある水準」を維持することが上昇トレンド継続の条件
- 新高値銘柄数が前日より増えたときは日経平均株価が上昇か横ばい
- 新高値銘柄数が減っても日経平均株価が上昇することがある
- 日経平均株価が最高値を更新する日は新高値銘柄数が前日より増える
おそらく「日経平均株価が近日中に20000円を超える」には新高値300銘柄が必須条件であろう。売買代金も3兆円以上になるはずだ。
データが示しているのは「新高値が減少から増加に転じた所が押し目」という事実だ。もちろん「相場の崩れ」なのかもしれない。分からない。だが仕掛けとはそもそもそういうものだ。そして新高値が増加から減少に転じたところは「利食い水準ではない」こともわかる。もうちょっとあとで崩れ始める。新高値銘柄数は、日経平均株価の先行指標となりうるのだ。ただし「先行上昇銘柄の初動に乗る」「崩れる前に確実に利食いを行う」という前提がなければ利益は得られない。
相場の次はセクタである。だがセクタはすでに「新高値の表」に答えが出ている。過熱相場で順張りトレーダーが仕掛ける銘柄は新高値銘柄に決まっている。相場の上昇過程で押し目を作っているような銘柄は「弱い」のだから無視する。
私は今日の時点では「小売り」セクタに注目した。単に新高値の数が多いからである。そして「過熱相場の小売りセクタで急騰する株」というテーマとして捉えてリストを作るのである。小売りセクタであっても下落していたり押し目を形成している銘柄は無視である。
とりあえず「調査期間中に一度でも新高値となった小売り業種銘柄」銘柄をリスト化する。
105銘柄あった。
Yahoo!ボックス 銘柄コード.txt http://yahoo.jp/box/87H7Xq
ここから短期トレード用に「流動性」「ボラティリティ」で絞り込む。私は特別なツールを持っていないので目で見ている。簡単にスクリーニングできれば便利なので、楽天RSSでいずれツール化しようと思っている。作業なので頑張る意味がない。
流動性は「いつでも買えて、好きな時に損切り・利食いできる」ことである。シンプルに「5分足のローソクにギャップがない」を基準にしている。
ボラティリティは5分足のローソクと日足のローソクで見る。5分足がバーコードになっていると仕掛け直後の損切り幅がたくさん必要になるし、日足の値幅が少ないと苦労する割に儲からないし投入資金に利益が見合わなくなる。日足の押し目から高値までで株価の20%あるものが望ましい。
それらの条件を満たした銘柄は60ほどあった。さらに「上昇・下降・横ばい」に分類する。HYPER SBIの登録銘柄のインポートファイルを作成した。
「上昇に分類した銘柄を買えば儲かる」などと勘違いしないでほしい。私は順張りの信者である。「上昇すると考えた銘柄の70%は上昇せずに終わる」にもかかわらず「トータルでは利益を狙う」やり方であることは再確認しておいてほしい。
私のセクタ選択による銘柄選びは以上である。
この後にどのように仕掛けるかはまた別の話である。テクニカル分析なのか需給なのか両方なのか、日経平均株価に従うのか為替に合わせるのか、当日のトレンド分析で判断するのか、やり方は人それぞれである。
ちなみに私が使うテクニカル指標は25日移動平均線・MACDヒストグラム(1分・5分)とトレンドラインだけである。ポジションサイズのためにATRも使う。
追伸。お金ください。