ニュースリリース

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No.sfa0002   (2015.4.1)

第14回(2014年度)佐治敬三賞は
「鈴木俊哉 リコーダー リサイタル
《細川俊夫ポートレイト》」および
「ニンフェアール第10回公演 東洋と西洋の絃」に決定

第14回(2014年度)佐治敬三賞は「鈴木俊哉 リコーダー リサイタル《細川俊夫ポートレイト》」および「ニンフェアール第10回公演 東洋と西洋の絃」に決定 “第14回(2014年度)佐治敬三賞は「鈴木俊哉 リコーダー リサイタル《細川俊夫ポートレイト》」および「ニンフェアール第10回公演 東洋と西洋の絃」に決定
「鈴木俊哉 リコーダー リサイタル《細川俊夫ポートレイト》」 「ニンフェアール第10回公演 東洋と西洋の絃」

 公益財団法人サントリー芸術財団(代表理事・堤剛、鳥井信吾)は、わが国で実施された音楽を主体とする公演の中から、チャレンジ精神に満ちた企画でかつ公演成果の水準の高いすぐれた公演に贈る「佐治敬三賞」の第14回(2014年度)受賞公演を「鈴木俊哉 リコーダー リサイタル《細川俊夫ポートレイト》」および「ニンフェアール第10回公演 東洋と西洋の絃」の2公演に決定しました。

●選考経過

  応募のあった2014年実施公演について2015年2月13日(金)東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京において、選考委員7名により選考会を開催、慎重な審議の結果、第14回(2014年度)佐治敬三賞に「鈴木俊哉 リコーダー リサイタル《細川俊夫ポートレイト》」および「ニンフェアール第10回公演 東洋と西洋の絃」の2公演が選定され、3月31日(火)理事会において正式に決定された。

●賞金は200万円。今回は同時受賞につき各100万円が贈られる。
●選考委員は下記の7氏。

   礒山 雅・伊藤 制子・伊東 信宏・岡部 真一郎・楢崎 洋子・松平 あかね・水野 みか子 (敬称略・50音順)
  なお、水野委員は「ニンフェアール第10回公演 東洋と西洋の絃」において自らの作品を出品した作曲家であったため、規定により公演関係者として当該企画の審議および選定にあたり退席し、6委員による選定を行った。

(ご参考)佐治敬三賞についてはこちら

●「鈴木俊哉 リコーダー リサイタル《細川俊夫ポートレイト》」

<贈賞理由>
 リコーダー奏者の鈴木俊哉によるリサイタル《細川俊夫ポートレイト》は、日本を代表する作曲家の初期から現在までを俯瞰し、その作風と音楽思想をリコーダーを通じて表現しようとする果敢なものであった。鈴木は以前からその確かな技巧と高い音楽表現によって評価を得てきたが、今回のリサイタルでは長年コラボレーションを重ねてきた細川作品を的確に理解し、独自の思想に裏打ちされた豊かな音楽世界を表現しえたという点で、注目に値する演奏会となっていた。全6曲中リコーダーのオリジナル曲は2曲だったが、委嘱初演となった、声(太田真紀)とバス・リコーダー、弦楽四重奏曲(辺見康孝、亀井庸州、安田貴裕、多井智紀)による《つれなき人》は、会場となった淀橋教会・小原記念チャペルの空間をいかし、弦を四隅に配し、水の音なども活用するなど、シャーマニズムの儀式性をねらったという細川作品を魅力的に表現していた。
 選考会では、「作曲家によるトークと演奏との適切な時間配分が必要だったのではないか」「《つれなき人》では教会の空間をいかしたより周到な準備が望ましかった」などの意見も出たが、現代作曲家との長きにわたる共同作業の成果が総じて高く評価され、佐治敬三賞にふさわしい演奏会として受賞に至った。今回はひとりの作曲家のみに焦点を当てたリサイタルだったが、選考委員からは、「さらに多彩なリコーダー作品の紹介に尽力していただきたい」という期待も寄せられた。

<公演概要>

名称: 鈴木俊哉 リコーダー リサイタル《細川俊夫ポートレイト》
日時: 2014年2月11日(火)15:00
会場: 淀橋教会・小原記念チャペル
曲目: 細川俊夫作曲
線Ib(1984/2000)リコーダーソロ
断章II(1989/2012 リコーダー版 初演)リコーダー&弦楽四重奏
鳥たちへの断章IIIb(1990/97)笙&リコーダー
垂直の歌Ib(1995/96 リコーダー版)リコーダーソロ
待雪草(2009)リコーダー&箏
つれなき人(2013/14 初演)声とバス・リコーダー、弦楽四重奏
出演: 鈴木俊哉(リコーダー)、吉村七重(箏)、宮田まゆみ(笙)
太田真紀(ソプラノ)
弦楽四重奏(辺見康孝、亀井庸州、安田貴裕、多井智紀)
主催: スタジオ コンモート
協力: プロ アルテ ムジケ

●「ニンフェアール第10回公演 東洋と西洋の絃」

<贈賞理由>
 「ニンフェアール」は愛知県を拠点とする団体で、同県にゆかりのある作曲家・演奏家を国内外から招聘し、毎回趣向を凝らした企画を行ってきた。7月20日名古屋市の宗次ホールで開催された第10回公演『東洋と西洋の絃』はギターと箏のみという異色の楽器編成による演奏会である。古典のほか武満徹、伊福部昭作品などを織り交ぜながら、国内外の作曲家による良質な新作初演を提供する好企画であった。
 機器による音量増幅や電子変調を行わなかったにもかかわらず、音色の実験という意味で稔りある作品が揃ったことは特筆に値する。とりわけエベルト・バスケス「浮世絵〜庄野の驟雨」は、撥弦楽器特有のノイズを逆手に取って表現となす着眼にすぐれ、伊藤美由紀「絃の独白」は二つの楽器のひずんだ音色を調合し、より複雑な音響を生み出した点が秀逸であった。
 古典から現代までを俯瞰する幅広い選曲だけに、演奏には確固とした技術と柔軟性が求められるが、現代音楽演奏に定評のある佐藤紀雄(ギター)と、若手奏者木村麻耶(十三絃箏、二十絃箏、二十五絃箏)による演奏の水準は極めて高いものであった。惜しむらくは箏の演奏に西洋寄りかつ現代的な感性が強く、和洋の変則的な楽器編成によってアンサンブルの意味を問いただすという意味では驚きがなかった点である。だがその一方で奏者二人のコラボレーションは緊密であり、選曲センスと演奏レヴェルの両面でバランスがとれて、極めて充実した内容であった。同演奏会の成果は名古屋の音楽界にとどまらず、わが国の音楽文化全体に一石を投じ得る。よって今年度の佐治敬三賞を贈呈する。同団体の今後益々の発展を期待したい。

<公演概要>

名称: ニンフェアール第10回公演 東洋と西洋の絃
日時: 2014年7月20日(日)17:00
会場: 宗次ホール
曲目: 武満 徹/「ギターのための12の歌」より(1977)
作者不詳/「乱」十三絃箏の為の
田中範康/「2つの存在」ギターと十三絃箏のための(2014)世界初演
エベルト・バスケス/「浮世絵〜庄野の驟雨」
ギターと二十五絃箏の為の(2013)世界初演
水野みか子/「ベリーの館」ギターの為の(2014)世界初演
伊福部 昭/「物云舞」二十絃箏の為の(1979)
伊藤美由紀/「絃の独白」ギターと二十五絃箏の為の(2014)世界初演
ヘンデル(ラゴヤ編曲)/「シャコンヌ」ギターと二十五絃箏の為の
出演: 佐藤紀雄(ギター)、木村麻耶(箏)
主催: ニンフェアール
共催: 宗次ホール
後援: 名古屋芸術大学音楽学部


以上

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