辺野古移設:官房長官と翁長知事が初会談 主張平行線

毎日新聞 2015年04月05日 21時44分(最終更新 04月06日 00時43分)

菅義偉官房長官と初会談する沖縄県の翁長雄志知事(右)=那覇市で2015年4月5日午前9時50分、野田武撮影
菅義偉官房長官と初会談する沖縄県の翁長雄志知事(右)=那覇市で2015年4月5日午前9時50分、野田武撮影
米軍普天間飛行場と名護市辺野古
米軍普天間飛行場と名護市辺野古

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官と沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は5日、那覇市内で会談した。昨年12月の翁長氏の知事就任後、両氏が会談するのは初めて。政府と県が対立する米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設について、菅氏が「日米同盟の抑止力維持と(普天間の)危険除去を考えたとき、辺野古移設は唯一の解決策だ」と述べたのに対し、翁長氏は「新基地は絶対に建設できないと確信する」と移設反対の考えを伝え、平行線で終わった。翁長氏は安倍晋三首相との会談を菅氏に要請。菅氏は会談後、「国と県が話し合いを進めていく第一歩になった」と記者団に述べ、対話継続では両者が一致した。

 会談は約1時間行われ、菅氏と翁長氏がそれぞれ発言した約30分間、記者団に公開された。その後は両氏だけで行われた。

 菅氏は冒頭で「辺野古移設を断念することは普天間の固定化につながる。関係法令に基づき、環境に配慮しながら工事を粛々と進めている」と述べ、政府が現場海域で実施中の海底ボーリング調査の正当性を強調した。

 これに対し、翁長氏は「上から目線の『粛々と』という言葉を使えば使うほど県民の心は離れ、怒りは増幅していく」と反論。「辺野古に移設できなければ本当に普天間は固定されるのか」とただしたが、菅氏は「移設を進めなければ、今の状況が改善することは難しい」と答えた。

 負担軽減策を巡っても、米軍嘉手納(かでな)基地(同県嘉手納町など)以南の米軍施設・区域の返還計画(2013年4月)を踏まえ、菅氏が「一日も早く実現できるよう努力したい」と述べたのに対し、翁長氏は「(それぞれ返還時期は)書いてあるが、50年ぐらいはかかるのではないかという危惧を県民はみんな持っている」と懸念を伝えた。

 翁長氏はさらに、昨年の名護市長選、県知事選、衆院選で移設反対の民意が示されたと強調。菅氏が3日の記者会見で「選挙の争点はいろいろある。必ずしも(移設の是非の)一点だったわけではない」と述べたことに不快感を示した。

 一方、菅氏は振興策について「沖縄は着実に経済発展する。県と連携しながら進めたい」と述べ、3000億円台の沖縄振興予算を21年度まで確保する方針を明言した。これを受けて、翁長氏は「経済振興と基地の問題は別なので、政府の支援はたいへんありがたい」と述べた。

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