辺野古移設:「粛々」使わず…官房長官、丁寧さ強調

毎日新聞 2015年04月06日 23時00分(最終更新 04月07日 00時02分)

翁長沖縄県知事との会談から一夜明け、首相官邸に入る菅官房長官=2015年4月6日午前9時10分、山本晋撮影
翁長沖縄県知事との会談から一夜明け、首相官邸に入る菅官房長官=2015年4月6日午前9時10分、山本晋撮影

 菅義偉官房長官は6日夜のBSフジの番組で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設について「政府の立場に粘り強く理解を求める」と述べ、沖縄県の翁長雄志知事との協議を継続する考えを示した。知事から批判を受けた「移設を粛々と進める」との発言は今後控えるとし、5日の知事との初会談は「だいぶ前からご説明したいと考えていた」とも強調した。現地で沖縄の反発の強さを確認し、政府としてより丁寧に進める姿勢をアピールした。

 「上から目線で言ったのでは全くないが、そう思われたなら(粛々と進めるという表現は)使わない」。菅氏は番組で、翁長氏からこの間の発言を批判されたことに配慮。知事就任から約4カ月間も会談が実現しなかったのは、知事の上京の際に要請がなかったからで、自身は県内移設について説明する機会をうかがっていたと訴えた。安倍晋三首相の訪米や6月の沖縄の「慰霊の日」に先立ち、首相と知事の会談を検討する考えも改めて示した。

 翁長氏は5日の会談で、菅氏に対し、米国施政下の沖縄で圧政をふるったキャラウェイ高等弁務官に例えるなど、厳しい反応を示した。沖縄に強気の対応を続けてきた菅氏だが、今回の訪問を経て、県と対話する姿勢を示す必要があると判断したようだ。

 一方、菅氏は普天間の県内移設について「誰かがやらなければならないという思いは非常に強い」と決意を表明。6日の記者会見では「普天間の固定化は避けなければならない」とし、移設を推進する政府方針を改めて強調しており、移設を巡る国と県の対立が和らぐ気配はない。

 5日の会談について、外務省幹部は「なかなか厳しい雰囲気だったが、意義はあった」と評価する一方、「一度話をすれば全てが円滑に進むわけではない」とも指摘。当面は、政府と県が互いの出方をうかがう状況が続きそうだ。【木下訓明、高橋恵子】

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