「ベースロード電源6割」と自民提言、原発2割が軸に
[東京 7日 ロイター] - 自民党は7日午後、安定的に供給される「ベースロード電源」を震災前の水準である6割に戻すことを盛り込んだエネルギーミックス(電源構成比率)に関する提言を、安倍晋三首相に提出した。
ベースロード電源を6割とすると、原発の割合は2割程度の前提で議論が進むことになりそうだ。
自民党で原子力政策・需給問題等調査会長を務める額賀福志郎氏らがまとめた提言では、原子力については安全性を最優先させ、エネルギー自給率について震災前を上回る水準を目指すことなどを掲げた。
ベースロード電源の比率は、欧米の多くの国で6割以上となっていると指摘した上で、日本でも「国際的にそん色のない水準を確保する」とした。
額賀氏は記者団に対し、「原発を再稼働させ、原子力発電も安全を確認した上で供給源として使っていくことが、結果的には日本のエネルギー構成としてはいいのではないか」と説明した。
額賀氏は宮沢洋一経済産業相とも会談し、「枠組みを作ったので、行き過ぎる場合は注文を付ける」と述べ、ベースロード6割とする提言内容を尊重するよう釘を刺した。
宮沢氏は「(経産省の)審議会で議論しているが、提言も踏まえて速やかにまとめていく」と答えた。
ベースロード電源とは、季節や時間帯に関わらず高い稼働率で発電する電源のことで、一般には原子力、石炭火力、水力のことを指す。
経済界では安価な電源としてベースロードを一定の規模以上の確保を求める声が多い。ただ、石炭は二酸化炭素の発生量が多いので世界的に温暖化対策を進めていく中で増やしにくく、水力も大規模開発には限界がある。
このためベースロードを6割に戻すには、2014年度は稼働ゼロだった原発の割合を震災前の規模に近づけざるを得ず、水準として概ね2割程度とみられている。東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原発事故前は同割合は約3割だった。
宮沢氏との会談後、記者団の取材で額賀氏は原発の割合について、「原発よりも再生エネルギーの割合を多くすることが国民理解を得るにはよいという意見もある」などと述べたが、明言はしなかった。
*詳細な情報を追加しました。
(梅川崇 浜田健太郎 編集:吉瀬邦彦)
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