すげえよ、これだけ無茶苦茶やっているのに、盛り沢山な上に、後半の会話、全てに大感動。

 

前回最後、クインシィと戦っていたのに、ヒメが一人にしたと捜したら、海に落ちているからね、なにしていると思ったら、ユウがさらに何言っているのって感じの、ブレンやらオルファンやらの意義を一人で延々叫びまくる。これは後半で必要だと思うけど、おかしくなったかと思うよ。

ブレンが来たら、悪口言ったのじゃないって、言ってただろ、エゴがどうのって。

 

戦闘はさすがに大混乱。バイタルネット作戦のほかの国連の船が攻撃されて本当に戦争状態。数で劣るノヴィス・ノア側は、ラッセが指揮官機を撃破しようとジョナサンと戦うが今回はジョナサンが強い。ラッセブレンは肩をやられて落下、そこをカナンブレンが助けて、すぐにコクピットから出て、顔を見せて、生きているというのが、戦闘中だろと思いつつも感じることがある。

そこをシラーが裏切り者がと攻撃してくるけど、ヒメがカバーして。

 

そして、ユウとジョナサンの対決は凄い。戦闘も殴ったりで良く動いたけど、組み付いて、顔を出し合って言い合うシーンの会話が、これまたすげえ。

アノーア艦長がいなくなっちまったって言っても関係ないと。

「貴様は覚悟が足りないからそういうこと言うのだよ、意気地なしめ、男じゃないだよ」

「本当の覚悟できてれば親殺しだってできる、キレてやるのじゃない、逆上しなくたって、正義の確信があり、信念を通そうとする確固たるものがあれば、できる」

「本気でオルファンを沈めようとするなら、お前が来た時に原爆なり水爆なり持ち込めたはずだ」「二親と姉さんのいるオルファンを沈めるつもりなんかないのだ、それがお前の本当の気持ちだから、アンチボディ戦をやって見せて、食い扶持をもらうためにかっこだけはつけてるんだ」

違う、あいつらはオルファン諸共消えてなくなればいい

「本当にそうか、俺さ、クインシィ・イッサーと愛し合ったのだよ、粉掛けたら、すぐによってきてさあ」男と女のやること珍しくもない。

「ドクター未翠もなんだ、いや、ババアなんてと思ったが味わい深かったと感動した」

「普通こういう話は面白がるのだぜ、怒るって意味がわかるよな、お前にはオルファンを沈めることはできない」

「すまない、もう一つ現状報告をすると奥さんの態度が変わったことにも気がつかないのが、お前のおとーちゃんだってことだよ。お前はそういう二人の間に生まれた子供なんだよ」

「貴様のやったこと、どんな理由があろうと犬畜生以下だ、鬼だ、外道の極みだ、ほっといてくれー」

ほぼノーカットで。またしてもジョナサン劇場再び。もうグサグサ来ますよ。

ユウはオルファンを落とす気なんかないと指摘されて、なら姉と母親と愛し合ったと言って怒らせて、怒るということは家族の情が切れてない、しかもお父さんの悪口まで言われて存在否定までされるし。

そりゃ、不満も爆発して、叫ぶよ。

ジョナサン、お母さんに手を出すだけでも酷いのだけど、クインシィ、依衣子姉さんには、手を出してないと思うのだよな。ジョナサン、マザコンが強すぎて、年上にしか興味ないと思うし。

いや、それでも、敵に自己矛盾をガンガン指摘されて、良い敵役だよ。これぐらいじゃないとね。

 

戦闘は国連による強制的に停戦に持ち込まれ、あと一歩だった作戦も未遂に終わる。

 

ユウたちが帰ってからが、本当に素晴らしい。

ユウはヒメに怒鳴って悪かったというけど、事情は何も聞かせてくれない、本当に辛いことがあったとわかるのに、だから自分のためにユウのために、泣く。

ほんの僅かな涙に、寂しさと悲しさ、そして優しさが詰まっている。すげえよ。

さらに、このあとのラッセとカナンの会話で綺麗に説明してくれる。

「泣くなよ、カナン」

死ぬつもりの戦いなんて異常だと、英雄願望なんて性質が悪い、自惚れないで。

カナンは感情的になっても簡単にあなたに死んで欲しくないと言わない。ぶん殴って、なに無茶しているのと言うだけで、踏み込めない。

ラッセは白血病で、直らないわけじゃないけど、神の為すがままだと言う。

「泣かれるとは、思わなかったから効いたよ。今まで泣くほど心配してくれる奴なんていなかったから」上手いな、先にヒメの涙を見せていて、ユウが見てないのが惜しいけど。

ラッセはブレンに会った時に誓った、この気に入っている地球をオルファンなんかに壊させないと。

ユウが一人で戦う気持ちもわかるけど、みんなを利用するぐらいの気持ちは持て、一人でやるより良い。

相変わらず、ラッセは良い人だ。カナンのときもだけど、ユウには不器用に仲間を、俺たちを信用しろと言う。台詞が上手いなあ。

「カナンを泣かせるなよ」「まだそういう約束はできないな、あの子を生かすために」

ユウもそれがわかって、ならカナンを心配させるなと言うけど、ラッセは戦って死ぬかもしれないから、好きだとは言えない、もし死んだら、あの子を戦争に縛ってしまうから。

もう、これは凄すぎる。この短い会話で凄い情報が詰まっている。思いやりと労りが。

 

泣いたカナンを追ってやりヒメが良い子。

ユウとカナンの会話は良いな。心配してきたユウに、自分は弱いと。

「両親に望まれず生まれれば、恨みしか知らずに生きてしまう、そんな私に人類の復讐と銀河旅行に行けると言われれば、グランチャー乗りになれると思った」

結局、自分の想いからは逃げられない。

「だから、カナンは強いんだよ。俺は逃げてばかりだ」

ここに呼んでくれたのはユウよ、復讐なんて良くないとわかったのでしょう。

 

オルファンを外から見てわかった。穏やかで、危険なものにまったく見えなかった。

それは母のようね。女が母にならず、子供が奈落に落ちて、戦争がなくなって、男も女も自由にしすぎて、生存競争を自分に向けたらエゴだけが育つだけだ。

「このブレンチャイルドに触っていると、そういう考えが間違っていると気がつくみたい。私、あの人を愛して良いのかしら」

「良いよ、素敵なことじゃないか、カナンとラッセならベストカップルだ」

うわあ、良いな。この会話が凄い。孤独で恨みしか知らなかったカナンが、ユウに助けられ、ノヴィス・ノアに来て、ラッセを愛したいと言う。

そして、オルファンが母のようで、中にいると女は母の役を果たさず女になってしまう。

だから、外に出たカナンがラッセを愛するから、母になることを示していて、上手いな。本当に素晴らしい。

 

最後に、ゲイブリッジ司令がクビの引き換えに、命令無視を決行する。そしてユウは、フリュイドスーツを着て、オルファン攻略作戦に全力を出す。

 

もう、素晴らしかったな。本当に今回は、凄かったな。

戦闘から、話から。

ジョナサンから、ユウはオルファン攻撃に覚悟がないと看破されて、母と姉との関係も言われて、ヘロヘロなんだけど。

カナンのラッセを心配するのを見て、ラッセが地球を守るためにオルファンと戦っている、そのラッセをカナンが愛している。なら彼らが生きるこの地球を守るために、オルファンと戦う。

回復する、癒されるな。エゴを抑えて、他人のために戦える。自分ではなく、好きな人たちのために戦う。それが癒される。親友のカナンと良くしてくれたラッセのために。

他人のために泣く、それは凄いことだと思う。

ラッセのために泣いたカナン。ユウのために泣いたヒメ。本当に優しさを感じる話だよ。

 

今回、戦闘から、ジョナサン劇場、カナンの会話まで、盛り沢山だったけど。

カントの子供会話までやるし。ユウの演説で、ブレンとグランチャーとが対存在で、お互いに敵対しあうことや、オルファンも別のオルファンを捜していると。

なにより、ユウとカナンの使い方が上手い。

ユウはジョナサンが話しているときに、おばあちゃんに助けを求めたときに、お母さんに抱きしめられたことを思い出す。嫌な思い出だったけど、それでも思い出なのだ。母親を肉親を忘れようとするなどできない。

戦う意義を見失う。でも、親友のカナンは、ラッセの怪我に心配して怒り、泣くほど。

そして、愛したいと思っていること。

ユウは、カナンの孤独なことも怨みも知っている。その彼女が、地球を守りたいと言ったラッセを愛してると。あのカナンが。なら、ユウはカナンために戦う、戦える。

カナンに母を見たからかも知れないけど、ジョナサンと同じぐらいマザコンなユウだけど、両親がいたし、姉もいたから、直線的じゃないだけで孤独じゃないから。これがヒメの母性に惹かれることに繋がる。

しかし、カナン、良いな。かなり良いキャラであり、立ち位置が凄い。不幸な生い立ちがありながら、ユウと親友で、ラッセと恋人になり、母親になることが示されて。ラッセもちゃんとカナンを仲間と認める話があって。

まさに物語の転換期に当たる素晴らしさだった。