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このページは「旧原子力安全・保安院」より提供された情報です。

FAQ

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原子力について

原子力発電所の安全性の審査
安全審査
原子力発電所の耐用年数はどれくらいですか。
原子力発電所は運転開始後には、電気事業法 別ウィンドウで開きます等に基づき13ヶ月に1回、定期検査を行います。この定期検査を通して設備の機能や健全性を確認した上で、次の定期検査までの期間運転が認められることになります。また、原子炉等規制法に基づき、運転開始後10年ごとに最新の知見等の保安活動への反映状況などの確認を定期安全レビューとして実施されます。さらに平成15年10月の制度改正に伴い、運転開始後30年を経過する原子力発電所は、運転年数が長期間経過していることから、設備の経年劣化に関する技術的な評価、保全計画等を策定して、10年を超えない期間ごとに再評価を行うことが法令上義務付けられています。
したがって、機器の健全性や保安活動の適切性を確認しながら運転を続けることが我が国の安全規制制度となっています。

また、我が国の原子力発電所には、法律上定められた寿命はなく、原子炉 別ウィンドウで開きますの設置許可にあたっても、許可の年限は設けていないので、原子力発電所の運転をいつ停止するか等の判断は、安全性、経済性などを総合的に判断して事業者が自ら決めるものです。 ページトップへ
原子力発電所の基本的安全性能は、「止める」「冷やす」「閉じ込める」ではなく「止まる」「冷える」「閉じ込まる」という受動でなくてはいけないのですか。
原子力発電所では、基本的に放射性物質を閉じ込める構造とした上で、「多重防護」の考え方を採用しています。これは、まず「異常の発生を防止する」、次に「異常が発生した場合には早期に検知し、事故に至らないように異常の拡大を防止する」、そして「事故が発生した場合にも、その拡大を防止し影響を低減する」という3つのレベルでの対策を講じています。
この具体的なものが、原子炉を緊急に停止できる設計~「止める」、万一の事故の際には、ECCS(非常用炉心冷却装置)により大量の水を炉心に注入し、炉心を冷却し続ける、また、冷却材が失われる事故など起きなくても、燃料の発する余熱を除去する~「冷やす」、これらの措置等により、万一の事故の場合においても、燃料棒の中に存在している放射性物質を格納容器内に閉じ込めます。 ページトップへ
大間原子力発電所の安全性について、どのように審査を行ってきたのですか。
大間原子力発電所については、電源開発株式会社より平成16年3月に設置許可申請がなされました。
経済産業省においては、専門家の意見を聞きつつ、原子力安全委員 会が策定している各種審査指針に基づき、厳正に安全審査を行い、平 成17年6月に原子力安全委員会に諮問しました。
その後、平成18年9月に耐震設計審査指針が原子力安全委員会に より改訂されたことを受け、電源開発株式会社より新耐震指針に基づ く申請書の補正が提出されました。経済産業省において、耐震設計に 関し、改めて安全審査を行い、安全審査書を一部修正し、平成19年 4月に原子力安全委員会に提出しました。
原子力安全委員会においては、経済産業省の一次審査について、ダブルチェックが行われ、平成20年4月14日に原子力安全委員会より、経済産業省による安全審査の結果が妥当である旨答申がなされました。 これを受け、平成20年4月23日に、経済産業大臣より原子炉の設置許可 をしたところです。 ページトップへ
大間原子力発電所は、通常の改良型沸騰水型原子力発電所(ABWR)とどのような点が異なるのでしょうか。
大間原子力発電所の基本仕様は、国内で既に運転実績のあるAB WRと同じですが、全炉心にMOX燃料を装荷することとしています。 その大間原子力発電所の基本設計では、ホウ酸水貯蔵容量の増加、効 きを高めた制御棒の採用、及び主蒸気逃がし安全弁の大容量化という 設計対応が行われましたが、NISAの安全審査では、これらの設計 について安全が確保されることを確認しました。

なお、全炉心にMOX燃料を装荷する初めての原子炉である大間 原子力発電所については、全MOX燃料装荷炉心に移行する各段階毎 に、炉心に係る各種のデータを確認しながら慎重に進めていく必要が あります。そのため、MOX燃料装荷炉心に移行する各段階毎に、炉 心に係る反応度停止余裕等のデータの計算結果、運転中における測定 データ等について、NISAは、電源開発(株)から報告を受けることとしています。 ページトップへ
考慮すべき活断層について、旧耐震指針では5万年前までとされていたところ、新耐震指針では13万年前になった。この8万年の差は何を意味するのでしょうか。
平成18年9月に原子力安全委員会が改訂した耐震設計審査指針(新耐震指針)では、活断層等の評価に基づく地震動については、考慮すべき活断層の活動時期の範囲を、従来の5万年前以降から後期更新世(約12~13万年前)以降へと拡大されました。これは、より古い活断層まで考慮に入れて、耐震設計の基礎となる地震動を策定することにより、耐震安全性の要求水準が高められることを意味していると考えられます。 ページトップへ
地盤問題に関連して、安全基準をどのように設定するのか?
原子力安全委員会において、耐震指針に基づき安全審査を行うに際して、原子炉の設置場所の地質、地盤に関し審査すべき事項を示した「原子力発電所の地質、地盤に関する安全審査の手引き」が定められています。同手引きについては、「各種指針類における耐震関係の規定の改訂等について」(平成18年9月19日原子力安全委員会決定)に基づき、原子力安全委員会において関連情報の収集・整理が進められているところであり、原子力安全委員会では、同作業を加速するとともに、最新の知見等を反映するため、改訂に向けた検討が行われています。現在、「活断層等に関する安全審査の手引き(案)」に対する意見募集が行われ、その結果を原子力安全委員会において検討しているものと承知してます。 ページトップへ
原子力発電所が安全なら都市(関東)等に造らないのか。
原子力発電所の立地につきましては、一義的には事業者が立地地点を選定することとなります。
なお、原子力発電所の運転のためには、広大な土地と冷却水用の大量の水を必要としますので、大きな河川や海の近くに立地することが必要となります。
それ以外にも、原子力安全委員会が「原子炉立地審査指針及びその適用に関する判断のめやすについて」という指針で定めている、以下の原則的立地条件をクリアする必要があります。
-指針の抜粋-
1.基本的考え方
1.1原則的立地条件
原子炉は、どこに設置されるにしても、事故を起こさないように設計、建設、運転及び保守を行わなければならないことは当然のことであるが、なお万一の事故に備え、公衆の安全を確保するためには、原則的に次のような立地条件が必要である。

(1)大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかったことはもちろんであるが、将
来においてもあるとは考えられないこと。また、災害を拡大するような事象も少ないこと。
(2)原子炉は、その安全防護施設との関連において十分に公衆から離れていること。
(3)原子炉の敷地は、その周辺も含め、必要に応じ公衆に対して適切な措置を講じうる環
境にあること。 ページトップへ
耐震審査
地震に対する原子力発電所の安全対策はどのようになっているのですか。
地震に対する原子力発電所の安全対策は非常に重要な問題であり、設計段階、運転段階などの各段階において厳重な安全対策が講じられています。
具体的には、原子力発電所の設計にあたり、国の安全審査において、原子力安全委員会の定めた耐震設計審査指針に基づき、過去の地震や周辺の活断層に関する各種の調査を踏まえて想定される最強の地震や、さらにこれを上回る限界的な地震にも耐える設計であることを確認しています。
また、原子力発電所では、施設内に複数の地震計を設置しており、一定の地震動を感知した場合に、原子炉 別ウィンドウで開きますを自動停止する設計がなされています。
なお、万が一、地震に伴い原子力災害 別ウィンドウで開きますが発生した場合には、原子力災害対策特別措置法 別ウィンドウで開きますに基づき、内閣総理大臣が「原子力緊急事態」を宣言し、政府としての災害対策を主導するほか、経済産業省を中心として、現地での対応に当たることとなります。
その際には、関係省庁が一体となって、国民の安全を第一に、住民の避難、被災者の救助・救急等の各種対策を講ずることとしています。 ページトップへ
浜岡原子力発電所における耐震安全性はどのようになっているのですか。
原子力発電所の耐震設計は、原子力安全委員会の定めた耐震設計審査指針に基づき、想定される最大の地震に耐えられるよう設計しております。
中部電力の浜岡原子力発電所3~5号機については、マグニチュード8.0の想定東海地震やこれを上回るマグニチュード8.4の安政東海地震、さらにはマグニチュード8.5の限界的な地震を考慮した基準地震動に対しても、安全機能が失われないよう耐震設計が行われています。
浜岡原子力発電所1,2号機は耐震設計審査指針の制定前のプラントですが、1,2号機についても、指針に基づき設計された浜岡3~5号機の基準地震動に対して、耐震安全上問題ないことを確認しています。
平成13年に、中央防災会議の東海地震に関する専門調査会において、想定東海地震の震源域の見直しが行われましたが、当院の指示に基づいて、中部電力において、中央防災会議から提出された今回の強振動データに基づき、浜岡原子力発電所での地震動(応答スペクトル)を計算したところ、原子力発電所の安全上重要な施設の固有周期帯において、浜岡3~5号機の基準地震動(応答スペクトル)を下回っており、浜岡原子力発電所の耐震安全性に問題がないことが改めて確認されています。 ページトップへ
新潟中越地震が発生したが、柏崎刈羽原子力発電所に影響はなかったのですか。
平成16年10月23日の新潟県中越地震が発生し、その後も余震が続いておりますが、東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所は、定期検査中の4号機を除いて1,2,3,5,6,7号の6基が安全に運転中です。
柏崎刈羽原子力発電所では、地震加速度がある一定の数値を超えた場合にはプラントを安全に自動停止する構造となっております。
今般の地震においては、平成16年10月23日17時56分に地震加速度が最大を示しましたが、自動停止に至らない値であったことを確認しております。
今回の地震により使用済燃料 別ウィンドウで開きますプール等のスロッシング(水の横揺れ)の警報が発報しましたが、事業者による点検の結果、安全上問題のないことを確認するとともに、その他の発電所の建屋や設備、更には運転について、今回の地震の影響はない旨、東京電力株式会社から報告を受けております。
また、現地に常駐している国の原子力保安検査官も、プラントのデータに異常がないことを確認するとともに、現場の巡視点検により、建屋や設備、更には運転に問題がないことを確認しております。
以上の点を国民の皆様にお知らせいたします。

(参考)
(1)これまでの最大地震加速度(5号機原子炉 別ウィンドウで開きます建屋基礎マット上)
23日17時56分水平方向約54GAL、垂直方向約56GAL
(2)地震加速度のプラント自動停止設定値
水平方向120GAL、垂直方向100GAL
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新潟県中越地震を踏まえても、柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性は確保されていると言えるのでしょうか?大きな余震が来ると危ないので、すぐに止めるべきではないですか。少なくとも、一度止めて安全性の点検をすべきではないですか。
原子力発電所は、原子力安全委員会が定めた「耐震設計審査指針」に基づき設計され、国の安全審査において、過去の地震や活断層などから想定される最強の地震動や、さらにこれを上回る限界的な地震動にも耐える設計であることを確認しています。
例えば、柏崎刈羽原子力発電所の耐震設計にあたっては、新潟県中越地震が発生(平成16年10月23日)した信濃川下流域において、同地震を上回る規模の地震動を、より発電所に近いところに考慮しており、新潟県中越地震を踏まえても、耐震安全性は確保されていると考えております。
また、原子力発電所では、施設内に複数の地震計を設置しており、一定以上の強さの地震を感知した場合に、原子炉 別ウィンドウで開きますを安全に自動停止する設計がなされていますが、今回の地震の本震や余震による地震計の値は、自動停止する設定値を下回っておりました。
以上のことから、柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性は確保されており、発電所を止める必要があるとは考えておりません。
なお、一度止めて安全性の点検をする必要があるとは考えておりませんが、今後とも、事業者による原子力発電所の安全対策を厳正に監視していきます。

(参考)
(1)本震時の最大地震加速度(原子炉 別ウィンドウで開きます建屋基礎マット上)
23日17時56分水平方向約59GAL、垂直方向約68GAL
(2)地震加速度のプラント自動停止設定値
水平方向120GAL、垂直方向100GAL
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柏崎刈羽原子力発電所は、新潟県中越地震発生時(平成16年10月23日)には停止しませんでしたが、11月4日の地震により7号機が停止しました。当初の地震では停止せず、その後の地震で停止した理由を教えて下さい。
タービンの軸受けの摩耗を検出するための保護装置の作動により、タービンが自動停止し、その結果、原子炉 別ウィンドウで開きますが自動停止したものです。
11月4日の地震は10月23日に起きた地震よりも原子炉 別ウィンドウで開きます建屋の一部における地震加速度は大きいものでした(いずれも原子炉 別ウィンドウで開きますの自動停止設定値は下回っていました。)。
なお、7号機は、自動停止後の点検の結果、原子力設備は健全であることが確認されたので、11月13日から発電を再開しております。

(参考)
(1)10月23日の最大地震加速度(原子炉 別ウィンドウで開きます建屋基礎マット上)
17時56分水平方向約59GAL、垂直方向約68GAL
(2)11月4日の自動停止時の最大地震加速度(原子炉 別ウィンドウで開きます建屋基礎マット上)
8時57分水平方向約79GAL、垂直方向約38GAL
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新潟県中越沖地震における柏崎刈羽原子力発電所の影響を踏まえ、 原子力発電所の耐震基準の更なる見直しが必要ではありませんか。
原子力発電所については、様々な活断層調査等を踏まえ、基準地震 動を設定し、さらに安全に余裕をもって建設されています。また、一 定以上の地震が発生すれば、自動的に停止する仕組みとなっています。 柏崎刈羽原子力発電所は、今回の地震に対しても設計どおり自動停止 するなど、原子力発電所の最も重要な安全維持のための「止める」、 「冷やす」、「閉じ込める」の機能は維持されており、また、現在ま での点検の結果、安全上重要な施設について、耐震安全性に問題があ る異常は確認されていません。したがって、原子力発電所の耐震安全 性に直ちに問題があるとは考えておりません。平成18年9月に原子力安全 委員会によって改訂された発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指 針は、最新の知見に照らして、耐震設計の前提となる基準地震動の妥 当性を十分確認することを求めており、また、旧指針に比べ、より詳 細な調査と、より厳しい基準地震動の策定を求めています。既設の原 子力発電所の耐震安全性の確保に万全を期すため、新耐震指針に照ら した耐震安全性の再評価を実施しているところです。当院としまして は、新潟県中越沖地震において観測された地震動の観測記録が設計時 のものを大きく上回っていた要因について分析を行い、これから得ら れる知見を耐震安全性評価にしっかりと反映させ、原子力発電所の耐 震安全性の確保に万全を期してまいります。 ページトップへ
原発の耐震性評価に係る下限設定についてはどうなっていますか。
平成19年12月25日に開催した耐震・構造設計小委員会のワーキング グループにおいて、耐震バックチェックに反映すべき事項として、
・地震発生層における震源断層の破壊の拡がり方
・今回の地震(中越沖地震)がM6.8であったこと
・今回の地震の震源域の海上音波探査の結果、長さ20km程度の考慮すべき断層など褶曲構
造が確認されたが、確認された断層自体の長さは短かったこと等を踏まえて、孤立した短い
活断層については少なくともM6.8相当の地震規模を想定すること
などを盛り込みました。

今回とりまとめた事項は、中間的なものであり、今後の調査などを踏まえ、耐震安全性に反映すべ き事項について引き続き検討します。

今回の地震から得られる知見については、耐震バックチェックにし っかりと反映させ、原子力発電所等の耐震安全性の確認に万全を期し ていきます。 ページトップへ
プルサーマル
プルサーマル 別ウィンドウで開きますは、ウラン燃料に比べ炉に負担がかかる問題点があると聞くが、プルサーマル 別ウィンドウで開きますの安全性はどのようになっているのですか。
現在の軽水炉 別ウィンドウで開きます内においても、プルトニウム 別ウィンドウで開きますの核分裂によって発生するエネルギーが全体の約3分の1を担っており、軽水炉 別ウィンドウで開きますにおいてプルトニウム 別ウィンドウで開きますを利用して発電すること自体は新しいことではないため、プルトニウム 別ウィンドウで開きますによる核反応の評価は、既に確立されたものとなっています。
mox燃料 別ウィンドウで開きますについては、諸外国で多くの実績があり、また、国内でこれまでに少数体として装荷されたmox燃料 別ウィンドウで開きますについてもその信頼性等が十分確認されています。
さらに、平成7年6月、原子力安全委員会では、炉心装荷率3分の1程度までは基本的に従来のウラン燃料の技術と同様な安全設計手法や安全評価手法の適用が可能であるとの報告をとりまとめています。
以上のことから、当院としては、プルサーマル 別ウィンドウで開きますについては、ウラン燃料と同等の安全性を確保できると考えていますが、個別の計画については、原子炉等規制法及び電気事業法 別ウィンドウで開きますに基づき厳正な安全規制を行い、安全確保に万全を期しています。なお、これまでに関西電力(株)高浜発電所、東京電力(株)福島第一原子力発電所及び柏崎刈羽原子力発電所において、mox燃料 別ウィンドウで開きます装荷に係る許可が行われています。 ページトップへ
プルサーマルを実施するに当たって、個々の原子力発電所の安全性についてどのような安全審査を実施していますか?
現在の原子炉(軽水炉)でもMOX燃料を利用するためには「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づき、原子炉設置変更許可申請が必要となりますが、NISAと原子力安全委員会は、その申請に対して、安全性を確認するために二重のチェックを実施しています。
その中でNISAは、原子力安全委員会が定めた各種指針等に基づき、主に
(1)MOX燃料を使用しても原子炉の制御が十分可能かどうかといった「核的性質」
(2)使用するMOX燃料が損傷することはないかといった「燃料のふるまい」
(3)万が一事故が起きても環境へ放出される放射性物質による影響が安全上問題ない程度であるかといった「事故時の影響」
(4)MOX燃料を安全に取り扱えるかどうかといった「燃料取扱」の観点から厳正に審査しています。
これまでに、関西電力(株)高浜発電所3,4号炉、東京電力(株)福島第一原子力発電所3号炉並びに柏崎刈羽原子力発電所3号炉、九州電力(株)玄海原子力発電所3号炉、四国電力(株)伊方発電所3号炉及び中部電力(株)浜岡原子力発電所4号炉におけるプルサーマル導入について安全審査を行った結果、安全性が確保されるものと判断し、許可を行っています。
NISAといたしましては、今後とも「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」及び「電気事業法」に基づき、厳正な安全規制を行い、原子力発電所の安全を確保してまいります。 ページトップへ
世界中の流れが、プルサーマル廃止に向かっているのに、何故性急に導入を進めるのか。
使用済燃料を再処理するか直接処分するか、さらにはプルサーマルを実施するかどうかについては、各国の資源状況やエネルギー安全保障の考え方等に基づいて各国が独自に判断すべきものと考えています。
エネルギー資源の豊富な国と、エネルギー資源が乏しく、一次エネルギーの約96%を海外からの輸入に頼っている我が国とでは、原子力発電の位置づけやリサイクルの意義が大きく異なると考えられます。
プルサーマルについては、海外では約40年にわたりヨーロッパを中心とする各国で実施されてきており、現在でもフランス、ドイツ、ベルギー、スイスで実施されています。また、アメリカでは、プルサーマルを長期間にわたり実施してきませんでしたが、解体核兵器から取り出したプルトニウムをプルサーマルとして利用する計画を進めており、2005年6月、4体のMOX燃料が装荷されました。
一部ではプルサーマルを止めた国があることも事実ですが、以上のように引き続きプルサーマルを実施する国も多く、また、新たにプルサーマルを開始する国もある、というのが現状です。
最近では石油価格が高騰し、今後も世界的にエネルギー需要が伸びる見通しであり、さらには地球温暖化対策も重要となっています。原子力発電は、燃料の安定供給面や発電過程で二酸化炭素を排出しないといった特長があり、我が国のエネルギー安定供給にとって重要な役割を担っています。資源の乏しい我が国にとって、核燃料サイクルの確立は重要であり、プルサーマルはその確立に向けた最も現実的に対応できる手段として、着実に推進していく必要があります。 ページトップへ
プルトニウムについては、核爆弾に使用されると聞いたが、MOX燃料が使用されると、原子炉が爆発するようなことはないのか。原子炉がミサイルで爆破されて、原子炉内の冷却水が放出した場合に、プルトニウムが環境に放出されるが、どの程度まで(距離)飛散するのか。
MOX燃料は、プルトニウムの核分裂エネルギーを利用するという点では核爆弾と同じですが、その仕組みは根本的に違っており、MOX燃料を使用することにより原子炉が爆発することはありません。また、MOX燃料の使用に係る安全審査においては、
・制御棒の原子炉を止める能力は十分か。
・ほう素の効きは十分か。
・出力が急激に変動したときうまく元に戻ろうとするか。
の3点を主に確認することとしております。
さらに、安全審査の中では原子炉がミサイルで爆破されることまで想定していませんが、技術的見地から起こるとは考えられない事故により、放射能をもったガスが格納容器外へ放出されることを想定し、周辺環境に対する放射線の影響を評価することとしています。
想定した事故時においては、格納容器外に放出され、人体へ影響を与える可能性のある放射性物質として、希ガス、よう素等を考慮しておりますが、その放射線による周辺環境への影響は問題ないことを確認しています。 ページトップへ
使用済み燃料の危険性は?
使用済MOX燃料からは、使用済ウラン燃料と同程度のガンマ線が出るほか、やや中性子線が多くなるという特徴がありますが、ガンマ線についても中性子線についても、使用済燃料ピットにおける水中保管など、使用済ウラン燃料と同様の十分な遮へい等を行うことにより、作業員の被ばくを十分低く抑えられることを確認しています。
また、使用済MOX燃料は使用済ウラン燃料よりも長期間高い熱(崩壊熱)を出し続けることから、冷却設備で十分に冷却できるかどうかを評価しておりますが、使用済燃料ピットのコンクリートの強度確保に関する基準温度である65℃を十分下回る結果(58.4℃)になることを確認しています。 ページトップへ
MOX燃料は溶けやすく、制御棒の効きも悪くなると聞いているが、国の安全審査でどのように検討し安全と判断したのか、判り易く説明してほしい。
MOX燃料の溶融点は、ウラン燃料の溶融点に比べわずかに低いですが、安全審査では、通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時の燃料中心最高温度を評価し、溶融点未満であることを確認しています。
また、MOX燃料を採用すると、プルトニウムはウランに比べ熱中性子を吸収しやすいため、その分制御棒に吸収される熱中性子の量が相対的に減少し、制御棒の効きが若干低下する傾向があります。安全審査では、制御棒位置にはウラン燃料を装荷する等、ウラン燃料とMOX燃料を原子炉内で適切に配置することにより、ウラン燃料炉心と同等の制御能力を確保できることを確認しています。 ページトップへ
日本で計画されているプルサーマルのMOX燃料に含まれるプルトニウムの割合や燃焼度は、海外で使用されるものに比べて高いと聞いているが、大丈夫なのですか。
原子力安全委員会が平成7年6月に取りまとめた報告書「発電用軽水型原子炉施設に用いられる混合酸化物燃料について(1/3MOX報告書)」において、国内外の実験データなどをもとに、Pu含有率の検討範囲とした核分裂性Pu富化度がペレット最大で約8%(Pu含有率約13%)及びMOX燃料の炉心装荷率1/3までの範囲では、MOX燃料の特性、挙動はウラン燃料と大きな差はなく、従来ウラン燃料炉心に用いている判断基準並びにMOX燃料の特性を適切に取り込んだ安全設計手法、安全評価手法を適用することは差し支えないと判断されています。 ページトップへ
プルサーマルを実施することでテロ攻撃の対象になりやすいのではないかと思います。どのようなテロ対策をとっているのでしょうか。
原子力発電所等のテロ対策としましては、2001年9月11日の米国同時多発テロ事件を受けて、特別の警察部隊、及び海上保安庁の巡視船艇による原子力発電所等警備が継続されるなど、格段の警備強化がなされているところです。また、原子力発電所等では、物的障壁を持つ防護された区域を設け、入退域管理の徹底を図るとともに、不法な立入を監視するための設備を設置しています。万一、異常が確認された場合には、警察や関係する行政機関へ確実に通報し、緊密な連携が取れるような体制を作っております。平成17年の原子炉等規制法の改正により事業者の防護措置のレベルは強化され、更に事業者の核物質防護対策について国が直接検査する制度も導入されたところであり、これらの取組の着実な実施に努めてまいります。 ページトップへ
今までは、ウランを燃料として発電をしていたのに、同じ発電所の中にウランとプルトニウムをあわせて発電をしてもだいじょうぶなのかと心配しています。
現在の原子力発電所でも、発電の過程でプルトニウムが生成され、その一部はウランと同様に核分裂を起こし、全体の約30%の発電に寄与しています。
原子力安全委員会が平成7年6月に取りまとめた報告書「発電用軽水型原子炉施設に用いられる混合酸化物燃料について(1/3MOX報告書)」において、国内外の実験データなどをもとに、Pu含有率の検討範囲とした核分裂性Pu富化度がペレット最大で約8%(Pu含有率約13%)及びMOX燃料の炉心装荷率1/3までの範囲では、MOX燃料の特性、挙動はウラン燃料と大きな差はなく、従来ウラン燃料炉心に用いている判断基準並びにMOX燃料の特性を適切に取り込んだ安全設計手法、安全評価手法を適用することは差し支えないと判断されています。
また、MOX燃料は、海外の軽水炉において40年以上、約4,900体の使用実績があり、国内においても日本原子力発電(株)敦賀1号機や関西電力(株)美浜1号機で少数体のMOX燃料が使用され、その後の照射後試験においてもその健全性が確認されています。 ページトップへ
再処理するまでの保管は本当に安全ですか?
使用済MOX燃料は、使用済ウラン燃料に比べ、崩壊熱による発熱量が大きい、中性子線源強度が大きい等の特徴がありますが、安全審査におきまして、燃料貯蔵設備の冷却能力、使用済燃料保管時の放射線防護等の評価を行い、安全上問題ないことを確認しています。 ページトップへ
プルサーマルを運用した時、原子炉に(材料=金属やコンクリート)及ぼす影響はありますか。
MOX燃料を使用すると、原子炉内の平均の高速中性子束が数%程度増加し、原子炉圧力容器などの炉内構造物の材料(金属等)への中性子照射量が増えますが、原子炉の圧力容器などの炉内構造物に有意な影響を与えることはありません。
なお、圧力容器の中性子照射量については、監視試験片を定期的に取り出して試験を行って監視しております。 ページトップへ