上重聡アナ

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 日本テレビの上重聡アナウンサー(34)が、自宅マンションの購入をめぐり、有力スポンサーから無利子で1億7000万円もの巨額融資を受けたとされる問題が収まらない。税務上の問題を指摘する識者もいる中、日テレの元人気キャスターで、維新の党の真山勇一参院議員(71)が夕刊フジの単独インタビューに応じ、後輩に痛烈な苦言を呈した。芸能関係者からは「表に出る仕事はやらないほうがいい」と“引退”を求める声も上がり、日テレ側の対応が注目される。

 「報道が事実だとすれば残念だ。アナウンサーというのは、タレントと同じようにみなされる場面もあり、勘違いしてしまいがちだ。人気商売だからこそ、自らを厳しく律していかなければならない。彼も、人気が出たことで天狗(てんぐ)になっていたのか…」

 渋い表情の真山氏は、こう切り出した。上重アナは3日、MCを務める情報番組「スッキリ!!」の冒頭で謝罪したが、事態収拾にはほど遠い。

 真山氏は1968年に日テレに入社した。社会部や政治部、外報部記者、ニューヨーク特派員を経て、「きょうの出来事」や「NNNニュースプラス1」などで、約16年間もキャスターを務めた。東京都調布市の市議会議員を経験して、2010年参院選に初出馬して次点となり、12年12月に繰り上げ当選した。

 後輩である上重アナは昨年3月、都内のタワーマンション最上階の42階の部屋を購入し、その際1億7000万円を、靴の小売りチェーン「ABCマート」創業者、三木正浩氏から無利子で借りていたとされる。

 同社は「スッキリ!!」の広告主であり、まず重大なコンプライアンス違反という見方がある。加えて、無利子融資が贈与とみなされた場合、「税務上の問題(脱税)が発生する恐れがある」(元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士)という。

 真山氏は「『職業倫理が欠如している』といわれても仕方ない。人気が出てくると、便宜を図ってあげようという人も近づいてくるが、絶対に誘いに乗っちゃダメだ。それがテレビで働く人間の良識だと思う」と怒りをあらわにした。

 上重アナは高校時代、PL学園野球部のエースとして活躍、甲子園で横浜の松坂大輔(34)=現ソフトバンク=と投げ合ったことでも知られ、入社当初から目立った存在だった。

 真山氏がキャスターを務めていた夕方のニュース番組で、上重アナがスポーツコーナーのアシスタントを担当したこともあったという。

 真山氏は「光るものを持っていた。『期待が持てる人材が入ってきた』と感じた」と当時を振り返り、こう続けた。

 「だからこそ残念だ。スポーツの世界で鍛えられた彼が、なぜ『フェア(=公明正大であること)』ということを守れなかったのか。それほど誘惑が大きかったのか」

 「会社にとっても彼は財産であるはず。だからこそ、問題をうやむやにするのではなく、徹底した調査を行うなど、きちんとした姿勢を示さなくてはいけない。『ポスト羽鳥(慎一アナウンサー=現在フリー)』と呼べるぐらいの実力を持つ彼が、このようなことでつまずくのは残念だ」

 一般社会の見方は極めて厳しいが、先輩だけに最後にこう語った。

 「彼はこれからがアナウンサーとして最も脂がのる時期だ。だからこそ、視聴者が納得するよう、事実関係をスッキリと明らかにして、身辺をきれいにしなければならない。そのうえで、また頑張ってほしい」

 一方、芸能評論家の肥留間正明氏は「テレビ局の看板があるから、利益供与を受けることができる。帯番組に出ているだけで広告塔のようなものだから、身を律しなくてはならない」と指摘。そのうえで「もう表に出る仕事はやらないほうがいい。それでもまだ表に出たいのであれば、会社を辞めればいい」と話す。

 上重アナは番組で謝罪したが、「これで幕引きならとんでもない。会社として配置転換などの処分をしなければ、綱紀はあってないようなものになるし、報道機関としての信用も失う。日本テレビだけでなく、テレビ界全体の問題だ」と上重問題の深刻さを指摘する。

 好調な視聴率を背景に勢いに乗る日テレ。対応を誤れば、視聴者は離れていくだろう。