大林産業は昨年10月、この地域の地下で「アースアンカー」と呼ばれる鉄筋の構造物を発見し、これを除去する過程で地盤沈下が発生したものと推定している。アースアンカーとは、建物を建てる際に土止め壁が倒れないよう支える目的で設置される構造物で、大林産業は過去5カ月間、240カ所のアースアンカーを解体したという。このアースアンカーについて大林産業は「かつて、教保ビルやKTビルを建設した際に設置されたものとみられる」と説明したが、誰が設置し、なぜこれまで撤去されなかったのかについては分かっていない。
道路で地盤沈下が発生し、傾斜がきつくなる中、この一帯で働いている人たちの恐怖は高まる一方だ。KTビルの清掃員(59)は「毎朝掃除するたび、自分の体が下に落ちてしまうのでないかと、恐怖を感じている」と話した。教保ビルの自動車専用出口の案内員(45)は「ほとんど毎日のように道路が沈み、それを埋め戻す様子を見ている」と語った。通信大手KTに勤務する男性(43)は「最初は歩道のブロックが10センチほど沈み、その次に進入路側が手の付けようのないほど沈んだのが一目で分かった。今度は突然地面が陥没するのではないかと不安だ」と話した。
大林産業側は「最近、外部の業者に調査を依頼したところ、地盤沈下が陥没につながる可能性は低いとの返答があった」と説明した。鍾路区役所は昨年11月「地盤沈下が予想されるとの報告を受けた」とし、最近大林産業側に要請して、2週間ほど前、進入路の両端に「地盤沈下や道路の傾きが見られるため、歩行時には注意するように」という案内板を設置した。
カトリック関東大学土木工学科のパク・チャングン教授は「問題の地域での掘削工事が終わったため、ある程度地盤が安定すれば、これ以上大きな被害は発生しない可能性が高い」としながらも「ほかの地域で地下の工事を行う際にもアースアンカーを除去しているが、地盤沈下につながったケースはほとんどないだけに、地下水の流出による地盤沈下の可能性も調べる必要がある」と指摘した。