「韓国人学生お断り」 中国人向け講義で物議

「韓国人学生お断り」 中国人向け講義で物議

 大学の新学期が始まって2週間たった先月10日昼、ソウル市広津区にある建国大ではこんな一幕があった。

 韓国史の講義で教授が学生を点呼中、韓国人学生のところでストップした。教授は「韓国人だね。この講義は中国人留学生を対象にしているから韓国の学生は受講できない」と告げた。教授が「中国語はできるか」と尋ねると、学生は「できない」と答えた。すると、教授は「木曜日まで履修登録を削除できるから、取り消してほしい」と求めた。

 学生が手荷物を取って教室を出ると、室内には中国人留学生80人だけが残った。教授は中国語で韓国史の講義を始めた。

 韓国の大学で中国人留学生が増え、大学の風景が様変わりしている。キャンパスを歩いていると、中国語があちこちから聞こえてくる。学内のコンピューター室でパソコンをつけると、韓国のポータルサイトではなく、中国の「百度(バイドゥ)」が表示されることが多い。さらに、中国語で行われる講義が開講されたり、韓国語での講義であっても、韓国人学生を排除し、中国人学生だけを集めて行う講義も登場した。

 建国大の韓国史の講義もその一例だ。同科目は1年生を対象とした教養科目の一つで、韓国史は五つの講義が同時開講されているが、うち一つは中国人留学生だけが対象だ。建国大には商経学部の専門科目、教養科目など今学期だけで中国人のみを対象とした科目が15も開設されている。

 建国大だけでなく、中国人留学生がいる大学であれば、事情は似ている。慶熙大では2011年から中国人留学生限定の講義を行っている。今学期も教養科目の「人間の価値探索」など中国人留学生向けの講義を5科目開講した。

 漢陽大エリカキャンパスでも13年から中国人留学生向け講義を開設し、今年も機械工学科の専攻科目に中国人限定講義を3科目設けた。中国人学生が徐々に増える中、韓国人学生と一緒に受講するのは困難な部分があるため、中国人専用の講義を開設したというのが各大学の説明だ。中国人留学生の数は昨年現在で、慶熙大が1689人、漢陽大が1330人、建国大が1235人となっている。

 ある大学関係者は「中国人留学生は韓国語もまともにできない上、韓国人学生とは実力に差があり、単位が取れずに卒業できないケースが出ているため、中国人限定の講義を開設した。それにより、中国人の適応度は高まったが、留学生の間からは『韓国人学生との交流がなく、中国人だらけで留学に来た感じがしない』といった意見が出たため、適切に見直しを行っている」と説明した。

 一方、韓国人学生からは「逆差別」ではないかという声も上がっている。建国大の韓国人学生Kさんは昨年、専攻科目を履修できず、やむなく中国人向けの講義を受講した。Kさんは「履修できる専攻科目がほかにはなく、教授に願い出て中国人限定講義を受講した。自分以外にも同じ事情で6-8人が中国人限定講義を受講せざるを得なかった。韓国人学生が(履修人数制限で)受講できないケースが出ているのに、中国人留学生向けの講義を別途開設するというのは逆差別ではないか」と批判した。

 別の大学に在学中のLさん(22)も「外国に交換学生として留学すれば、その国の言語に適応すべきではないか。韓国に留学に来た人たちのために母国語での講義を開設するというのは正しいことなのだろうか」と疑問を呈した。

ナム・ジョンミ記者
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