IPv6が20周年。IPv6に対応したくない理由とは

2015年4月7日

IETFのIPv6メーリングリストに3月30日にポストされたメッセージ「[v6ops] IPv6 is 20 year old!」によると、IPv6によってはじめて2拠点間の通信が行われてから、今年で20周年なのだそうです。

[v6ops] IPv6 is 20 year old!

Exactly 20 years ago the first interconnection between two independent IPv6 implementations succeeded between sipper.pa-x.dec.com and ottawa.inria.fr.

まさに20年前、sipper.pa-x.dec.comとottawa.inria.fr.という2つの独立した拠点間での最初のIPv6実装による接続が成功したのだ

IPv6はこれまで何度も「今年こそIPv6の普及元年だ」とされてきましたが(私も過去にそういう記事を企画したこともありましたが)、未だに広く普及しているとは言えない状態です。

2011年2月には、IANAによる新たなIPv4アドレスの割り当ては終了しています。その一方でクラウドやモバイルデバイスの普及によってインターネットに接続されるマシンの数は膨れあがっており、IPv4のままではいずれ限界がくるだろうということも関係者のあいだでは共通の認識です。

参考:[速報]インターネットの歴史に刻まれる、最後のIPv4割り当てセレモニーが終了 - Publickey

コンテンツ事業者がIPv6に対応したくない理由

記者の眼 - 「IPv6に対応したくない理由」――コンテンツ事業者が本音を語る:ITpro

ちょどこのタイミングに合わせたように、ITproには次のような記事が掲載されていました。

この記事は、インターネットの運用などについてのイベント「JANOG35 Meeting」のセッション様子をまとめたものです。記事の中で、コンテンツ事業者はいまのところIPv6に対応する必然性を感じておらず、一方でデータセンター事業者は付加価値としてIPv6に対応しているという状況が明確に伝えられています。

DMM.comとドワンゴの2社のIPv6に対するスタンスについて、記事では次のように2つのポイントでまとめています。

ひとつは、サービスとしてIPv6に対応する必然性がない点。国内でサービスを提供している限り、エンドユーザーは基本的にIPv4でアクセスしてくる。IPv4の保持数が少なく、IPv6ユーザーが多い諸外国向けのサービスを提供するのでない限り、IPv4でも大きな問題はないのだ。
(略)
もう一つは、IPv6の運用コストである。サービスをデュアルスタック対応にすると、ユーザーサポートではIPv4/IPv6両方の問題を切り分けねばならず、手間が増える。

一方、データセンター事業者のさくらインターネットは次のように発言しています。

ではなぜIPv6対応するのかというと、「インターネットの発展のため」、また「クラウドサービスというITインフラを提供する都合上、ユーザーにとって幅広い選択肢を提供するため」(さくらインターネット 横田 真俊氏)だという。競争が激しいクラウドやレンタルサーバーのサービスでは、ユーザーに提供できる機能は1つでも多い方が良い。この点は、「エンドユーザーにコンテンツを届ける」ことに焦点を絞っているコンテンツ事業者とは違うところだ。

コンテンツ事業者にとって、いまのところIPv4でのサービスで問題ないのは事実で、そうした中で今後を見据えてIPv6の基盤を整えているインフラ事業者の努力には頭が下がる思いです。

ユーザー側の環境も整いつつある

データセンター事業者だけでなく、例えばNTT東のフレッツ光ネクストやフレッツ光ライトでは4年前からIPv6を利用する「フレッツ・v6オプション」が初期費用、利用料とも無料で提供されるようになっています。

NTT東日本は、IPv6によるインターネットの普及促進を目的として、平成24年5月29日(火)以降に「フレッツ光 ネクスト」の工事(新規開通・移転・品目変更)をお申し込みいただくお客さまに、インターネット(IPv6 IPoE) 接続をご利用いただくために必要となる「フレッツ・v6オプション」※1(月額利用料無料)を、あらかじめご利用可能な状態で提供いたします。

WindowsでもIPv6に対応済みで、いつでも必要なときにはIPv6に切り替えられる環境は整っていそうです。あとは、IPv6に対するニーズがいつ、どのように出現するか、ですね。例えば以前から言われているようなInternet of Thingsなどがそのきっかけになるのでしょうか。

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