文部科学省は6日、2016年度から全国の中学校で使う教科書の検定結果を公表した。尖閣諸島(沖縄県)と竹島(島根県)を「固有の領土」として教科書で扱うよう求めた国の指針に基づき、初めて社会科の全教科書に尖閣と竹島が記述された。東日本大震災に関する記述も増えた。
政府は昨年1月、政府方針や立場などを教科書づくりに反映させるよう、教科書作成の指針となる学習指導要領解説書などを改めた。この結果「(北方領土を含め)領土に関する記述量は倍増した」(文科省)という。
歴史では、10年度の前回検定で尖閣と竹島について記述した教科書は7点中1点だったが、今回は8点全てが記述した。竹島についてある教科書は「韓国による不法占拠が続いています」と記した。
検定基準に追加された「政府の統一的な見解に基づいた記述をする」などの条項も初めて適用された。関東大震災時の朝鮮人の死亡者数や極東国際軍事裁判(東京裁判)などで、修正意見が5点6カ所についた。
今回は「ゆとり教育」を見直した現行の学習指導要領下で2回目の検定となる。教科別平均ページ数の合計は前回と比べ6.5%増えた。学習量そのものは変わらないが、写真やグラフを増やし、児童・生徒が理解しやすいような工夫が進んだ。
中学の教科書としては東日本大震災以降初の検定で、震災や防災関連の記述も増えた。震災に関する記述は全体の55%にあたる58点が取り上げ、東京電力福島第1原発事故をめぐる記述も31点でみられた。
教科書、文部科学省、東京電力