朴槿恵政権の外交・安保チーム長は、大統領府の安保室長が務めている。現政権の発足当時に国防長官の適任者が見つからず、前政権の長官をそのまま留任させた。同長官が現政権の外交設計者であるわけはない。外交部(省に相当、以下同じ)長官とはどんなに大目に見ても外交政策の施工担当者にすぎず、設計とは縁がない。同政権の発足以降、統一部長官は吹けば飛ぶほどに軽んじられている。大統領府外交首席も、韓国外交の3大軸である対米外交、対中外交、対日外交の前面に立ってリードした経験がない。こうした状況のため、朴槿恵政権の外交上の基本設計図は大統領本人が作成したという話になってしまう。国家がこうであってはいけない。
国際関係とは、同盟が形成、維持、適応、変化、衰退、解体されていく過程だ。共通の国益と脅威をベースに形成された同盟は、国益と脅威が細分化されることで適応と変化と衰退の分かれ道に立たされるようになる。この分かれ道の周りには、二つの落とし穴が待ち受けている。一つは、本国の国益ではなく相手国の国益のために第三国との不必要な紛争に巻き込まれるのではないかといった不安。もう一つは、本国の国益だけを考えたために同盟当事国から見捨てられるのではないかといった不信だ。この時期を賢い外交で無事に切り抜けることができない国は、場合によっては存亡の危機に追いやられる恐れもある。
現在の韓米、米日、韓日間の直接同盟と間接同盟の当事国の間には、こうした「わなに落とされ(entrapment)」「見捨てられ(abandonment)」といった危険が巣を作り始めているのかもしれない。韓国は同盟国の米国と安保を共に設計し、最大の経済交易国である中国と未来の繁栄を共に約束しなければならない狭き門の前に立っている。この切迫した時代の韓国外交を大統領一人に背負わせるのは、賢い国家の生存術とはいえない。外交、安保ラインの根本的補強と再編が急がれる時だ。