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shi3zの長文日記 RSSフィード

2015-04-06

花見を梯子しながら走って、そして仕事もした

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 花見の季節です。

 昨年は社員たちに大変苦労を掛けてしまったので、なにかせめて僕にできることはないか、と思い、お花見の場所取りをすることにしました。


 僕が社員みんなのためにできることなんかそんなもんですからね。


 どうせ寝る場所がベッドだろうがブルーシートだろうが大差ありません。

 もともと会社の床で寝るのがほぼ当たり前みたいなライフスタイルを続けていますから、僕はのび太並にどこでも寝ることができます。


 新しい愛機、VAIO Zはバッテリーが15時間は持つって言いますからね。

 ブルーシートの上で仕事。これぞ真のノマドスタイル。

 モバイルルーターもあるし。


 そしたらたまたまその前日も別の会社のお花見があるというので、最近アスリートモードな僕はジャージ姿で秋葉原から芝公園まで軽くひとっ走り行きました。


 すると株主の会社の社長さんやら、最近ノシてるPR会社の役員さんやら、面白い人たちがたむろしていたので軽くいろいろ話をしました。こういう出会いがあるから楽しいね、花見は。


 PR会社さんとはもともと今週ミーティングする予定になっていたので、どんな感じなのか先に聞いたりとか、なかなか有意義な場所でした。


 それと、社団法人未踏の近藤さんや、グルコースの大向さんとも会ったので、未踏トークをしていたら、見ず知らずの叔父さまが「え、あんたたち未踏なの!?」と声をかけてきて、かくかくしかじか、という話をすると


 「いやー、おれ、こないだの未踏の成果発表会っての初めて見に行ったんだけどさ、あれなんか恐ろしい会だよね。後ろの方でずっと怒ってる奴がいてさ、感じ悪かったよねー」


 と言うので


 「感じ悪くてすみません、それ僕です」


 と頭を下げました。

 その人は未踏の存在も知らなくて、なんとなく当日参加した人だということ。世の中ってすごいですね。というかなんとなく成果発表会に来る人がいるのだと知って驚きました。あれはかくかくしかじか、なんですよ、と説明したら「そういうことか、意外と話すと感じ悪くない人だね」とまあ納得しておられたようでした。


 その後、大前創樹がParrot Bebop Droneを持ってきて、「目黒川で飛ばそうぜ」などと来年の花見ではまず法規制されてできないであろうことを提案したので、一緒に目黒川に行きました。


 すると創樹がテイクオフさせると同時に目黒川に墜落。

 帰らぬドローンとなりました。


 「酔っぱらい運転はドローンでもいけない」


 という、当たり前といえば当たり前の結論に一同反省するのでした。

 それから御茶ノ水に帰ってきて、いよいよ場所取りです。


 すでに桜はいい感じで、夜桜を見ながら酒を飲むという喜びに震えていると、むしろ寒くて震えているのではないかという不安がよぎりました。


 しかし大丈夫。

 寝袋があります。

 

 そして寒さをしのぐためにウィスキーをクッと。

 そのまま寝てしまいました。


 よく考えたら社長が野宿で寝ていて暴漢にでも襲われたら会社の危機です。

 でも大丈夫。交番のすぐ近くでした。

 

 朝方になるといろんな人が場所取りに来ましたが、我々はいちばんいい位置をキープしているので余裕。

 始発では遅いのだよ!!始発では!!


 それからその場で打ち合わせ、来客対応などをこなします。

 iPhoneのために4日間行列した身としてはこれくらいは平気。座れる場所もあるし。

 

 ソフトバンクをやめてロボットベンチャー「アスラテック」を起業した羽田さん(元ケータイチャンピオン)もデモにやってきて、みんなでロボットのデモを眺めます。


 花見が本番になると、僕は社員たちに感謝の言葉を述べて、それから社長賞の授与式を行いました。

 今年の社長賞は10年前に入社して以来、ずっとゲーム事業を支えてくれた現場のディレクターの鈴木さんに授与しました。


 あけて土曜、今度は専門学校時代の教え子の花見がお台場で、代々木講演では電通の花見と、PCゲーム業界の花見があるので出かけていきました。


 教え子といっても、もう20年近く前の教え子ですから、もう立派なオッサンに育っていて、彼らとnVidiaのTegra K1の評価キット、JETSON TK1の話や、FPGAの話をしてひとしきり盛り上がり、ついでに3次元ハンバーグも焼いて、それから代々木に移動。


 代々木公園では酒は飲まず、順番に各お花見会場を巡って、年に一度、花見でしか挨拶しない方々に挨拶をさせていただきます。


 みんな「花見なんか意味ないだろ」と思いがちですが、実際にはこういうところでの出会いが、いろいろと後になって仕事として帰ってくるのです。


 たとえば、昨年OK GOのドローンによるPVを撮影した原野さんとは毎年花見で顔を合わせていて、その縁があったので今年OK GOが来日したときに、ダミアンに紹介していただいたりできました。

https://www.youtube.com/watch?v=u1ZB_rGFyeU:video

 花見の縁ていうのは普段の仕事や、よくある会社のパーティとは違い、本当にみんなプライベートな気分でやってくるので、連帯感が一番強く出るのです。


 電通ブルーが開発したスマートロック、246の実機も初めて見せてもらいました。

 鍵が開くとき、閉まるときの動きがなかなか面白く、感動的です。

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https://24-lock.com/

 また、未踏関連で知り合った方の新規起業アイデアも聞かせていただきました。

 なかなかおもしろそうだったので、その場で電通の投資部門の人間を紹介させていただきました。

 こういうダイナミズムも、なかなか花見以外では生まれにくいですね。


 それから夜になると、今度は靖国神社の花見に出かけました。千鳥ヶ淵の桜は本当にきれいで、しかも靖国神社はブルーシートを敷かなくてもカジュアルに花見ができるようにたくさんの席が用意されていたので、来年も代々木公園以外にもここで花見をしたいなあ。


 花見をしたり、走ったりしていると、なんか色々と考えが整理されて、いくつもアイデアを思いつきます。

 

 気が付くと、この四日間で思いついたアイデアは先月一か月で思いついたアイデアと同じくらいの数になっていました。期の始まりなので考えるべきことは山盛りなのですが、それがさらに洗練され、淘汰された感じがします。まあ幸い前期は苦労もありましたが黒字で終わることができそうなので、これまで赤字続きだった体質からようやく脱却できたのではないかと思います。


 VCから投資が入ると、どうしても「今は赤字を出してもとにかくやるべきことをやりきることを優先しなさい」という圧力がかかって、なかなか黒字体質に戻すのが難しいのですが、この一年でなんとかやりきりました。前期は非常に苦しい一年でした。しかし今期からは黒字体質を取り戻すことができたのではないかとおもいます。

 赤字を出し続けながら全く新しいOSとハードを作り続けるというのは非常に大変でしたし、多くの方の協力がなければ成し遂げられませんでした。しかしどうにか、先月までで終わった前期は黒字です。今期はもっと黒字体質化を推し進めることができるでしょう。


 同時にenchantMOON MkIIも、ようやく完成像が見えてきました。ただし発売までには最低でも一年くらいはかかるでしょう。しかしそれだけ時間をかけた価値はあると思います。すでに開発に入っていますが、アーキテクチャが再び根本から変わります。何より大事なのはソフトです。そしてソフトを動かすためのアーキテクチャです。それをどう活かし、どう変えていくべきか、enchantMOONのバージョンアップを続けながらも、僕は必死に考えてきました。


 その答えが見つかったのは、早朝に皇居の周りを走っていた時です。

 まだ桜がまだつぼみだった頃の朝でした。


 有酸素運動をすることで頭にも酸素が行くのでしょうか。

 あるとき、なるほどこれだ、と思ったのです。

 この瞬間を僕は待ち続けていました。


 頭の中に完璧なモデルが出来上がり、僕はそれを頭の中で自由に操作することができます。

 いわばMkIIのエミュレータが頭の中にある状態です。


 これをケヴィンに話すと、二週間ほどで膨大なアーキテクチャ設計書が出てきました。100ページを超える大作です。


 一度石が坂を転がり始めた石がなかなかとまらないように、一度アイデアの突破口が開けると、アイデアが次から次へと湧いてくるものです。


 それから次々に色々なものが頭の中で形になってきました。MOONBlockで今後何ができるべきか、デザインはどうあるべきか、アーキテクチャはどうあるべきか、操作系はどうか、エトセトラ、エトセトラ。


 ですからこの四日間は、花見をして酒を飲みながらも仕事は大きく前進するという、非常に意義のある四日間でした。


 そんなわけで、木曜日から土曜の夜まで、まるでタイムスリップのように時が過ぎていき、日曜日は10キロくらい走ったほかは、とくに取り立てて何もなくただ泥のように眠ったり、Battle Field Hard Lineを遊んだりするのみでした。

 BFHLはひさびさに買ったゲームですが、これまでのシリーズと違い、刑事もの、しかもバディもので、まるでスナッチゃーがFPSになったようなゲームです。


 マイアミバイスや24のような、アメリカのテレビドラマ的な脚本で、マイアミ警察の刑事となって麻薬密売組織や警察内部の腐敗と戦っていきます。


 これがもとのBattle Fieldシリーズが戦争ものだったことを考えると、かなり地道なゲームになっています。

 だって警察だから、まず警察手帳を見せて逮捕しなきゃならないわけです。

 また、敵の数に対し、味方は自分とバディの一人だけ。


 圧倒的に不利なので、こっそり敵の背後に回ってサイレントキル(実際には逮捕)したりと結構地道です。

 また、証拠を集めないとならないのでけっこうアドベンチャーゲームっぽく証拠を収集するシーンがあります。


 最初は「難しすぎるだろ!」と思ったのですが操作やルールに慣れてくると、メタルギアソリッドみたいでかなり面白くなってきます。

 特に、スタンガンや、サイレンサーを取り付けたM9で一人ずつ確実にサイレントキルしながら警報装置に近づいて警報を無効化したりとか、まあ楽しい。


 そして筋書もいい。

 これは久々に買ってよかったと思える作品でした。

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