辺野古移設:抗議集会 計画撤回求めシュプレヒコール
毎日新聞 2015年04月06日 00時47分(最終更新 04月06日 00時47分)
菅義偉(すが・よしひで)官房長官と沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は5日、那覇市内で会談した。政府と県が対立する米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設について、菅氏が「日米同盟の抑止力維持と(普天間の)危険除去を考えたとき、辺野古移設は唯一の解決策だ」と述べたのに対し、翁長氏は「新基地は絶対に建設できないと確信する」と移設反対の考えを伝え、平行線で終わった。
会談が行われた那覇市内のホテル近くでは、辺野古移設に反対する市民ら約1500人(主催者発表)が歩道を埋め、移設計画撤回を求めてシュプレヒコールを上げた。菅官房長官の滞在中、沖縄県警は厳重な警備体制をとり、移設問題を巡る政府と県の対立の根深さをうかがわせた。
ホテルから歩いて10分ほどの県庁前広場では、市民団体や共産、社民両党などの議員らが5日朝から抗議集会を開催。会談の開始時間に合わせてホテルに移動中、県警機動隊と参加者がもみ合う場面もあった。
菅氏との会談が実現したのは、翁長知事の就任から117日目。沖縄市から駆けつけた仲宗根寛勇(かんゆう)さん(73)は「今まで知事に会わずに無視し続けた。沖縄をばかにしている」と憤った。翁長氏は会談で「去年の暮れ、今年初めにこういった形で話をさせていただき、物事を進めていたら、県民ももう少し理解をしたと思う」と述べた。
会談が終了し、菅氏を乗せた車がホテルから出てくると抗議は最高潮に。「県民は屈しないぞ」「民意に耳を傾けろ」という声が何度も上がった。その後、翁長氏が姿を現すと一転して大きな拍手がわき、同氏は車の窓から左手の拳を突き出し、支持者らに応えた。
沖縄平和運動センターの岸本喬事務局次長(52)は「これだけの人が集まるのは政府への怒りが高まっている証拠だ。政府は沖縄の気持ちを少しでも理解してほしい」と語った。
政府による辺野古への移設作業を止めようと、県側は「次の一手」を探っている。翁長氏は5日、「基地問題で後退することはまったくない」と記者団に強調した。一方、政府関係者は「県民には受けるだろうが、イメージ戦略に走るのは責任ある態度とはいえない」と批判した。【鈴木一生】