私とNちゃんをつなぐ橋は、今、建設途中。
今は仮の橋が架かっているだけなんだよ。
安全で長く渡れる壊れない橋を作るために、
最高の材料を選択しながら、最高の工事をしているの。
仮の橋は負荷が掛かりすぎると、簡単に揺らぐし、
壊れもします。
橋の工事に間違いがあれば、その個所に戻って
どこに間違いがあるのか、工事の方法なのか、
あるいは材料なのかを見極めて、やり直す必要があります。
やり過ごしちゃいけないんです。
安心して長く渡れる壊れない橋を作るために。
橋の両端のどちらかが「もう橋なんて必要ないよ」と
言うかもしれません。
「もう任せてなんかいられないよ」と言うかもしれません。
でも、橋を完成させたいのなら、もっと丁寧に扱わないといけないのです。
私はNちゃんとつながる、壊れない橋が欲しい。
長文のメールを送ると、
「オレも壊れない橋が欲しい。姫ちゃんが必要だよ。」
と返信があった。
今、二人をつなぐ橋の建設は頓挫しかけている。
昨日は早朝から外の現場で仕事をした。
不測の事態も重なって、夕方、仕事が終わるころには
もうヘトヘトで、クタクタだった。
オフィスに戻り、後片付けも終えて帰宅途中、
Nちゃんから「仕事終わって今から帰るよ。」のメール。
私も帰途であることを伝えると、しばらくして再びメールが届いた。
「姫ちゃん、今夜、少しでも逢えますか?」
あまりに疲れていたので、夕食は外食にしようと
思っていたのだけれど、急遽、ありあわせのもので夕食を作ることにした。
「8時から10時くらいまでだけど、いいかな?」
と、彼。
その時間の刻みから、彼の子供の塾への送迎の間なのだろうと
察しがついた。
(ま、時間つぶしみたいなものか、、、)
そんな思いがよぎったけれど、いやいやと頭を振って打ち消した。
結局、待ち合わせたのは8時半。
いつもの喫茶店でコーヒーを飲んで、話をした。
・・・ほんの一時間半。
帰宅してからも、
愛してる、大好きだ、ずっとそばにいたい、、、
そんなラブラブなメールが届き、眠った。
そして、今朝。
いつもは「おはよう」のメールが9時過ぎには届く。
メールがないまま、私はたまった洗濯物を洗濯機に
放り込み、干しっぱなしの洗濯物を畳んで、しまった。
メールはない。
何度目かの洗濯物を干してしばらくして携帯を確認すると、
メールの着信が。時刻は11時40分。
「おはよう、姫ちゃん❤
今日は朝から子供たちとお出掛けしてるよ(^_^;)」
私はめちゃくちゃ頭にきた。
頭にくる筋合いなんてないだろうけれど、頭にきた。
なんだ?この「(^_^;)」は?
そして、思った。
昨日、私がイレギュラーな一日を過ごして、クタクタに疲れていることを
知っていたにもかかわらず、「少しでも逢えますか?」と
無理を承知で尋ねてきたのも、そうか、こういうことか・・・
前払いの罪滅ぼし的な、か。
だとしたら、だ。
Nちゃん、それはあまりにも手順を間違えているよ。
だったら、どうして昨夜のうちに言っておかないのか。
「明日は朝からお出かけするから」と。
なに?「(^_^;)」は?
だから「Nちゃんなんてキライ。」
と、返した。
今朝、Nちゃんからメールが立て続けに2通きた。
どちらも写真が添付されている。
毎朝、おはようのメールが必ず届くが、
写真付きは珍しい。
なんだ??と思って、確認すると
「今から○○の着任式だよ~」
という一文とともに、式典用の正装姿。
もう一通にはメッセージはなく、
制帽まで被ったバストショットの写真。
どちらも、満面の笑みだ・・・
おいおい、もっと凛々しい姿を送ってきなさいよ・・・
心の中で思わずつぶやいた。
お昼頃、「気に入ってもらえましたか?」
ときたので、
「もちろん、気に入りましたよ。」と返した。
せっかくの凛々しい姿、満面の笑みは似合わないでしょ・・・
とは、言えなかった(^_^;)
彼は笑うと笑い皺がチャーミングだ。
けれども、彼が時々見せる真剣な表情が私は好きだ。
色素の薄い目の色のせいで、時々見せる眉間に少し皺を寄せたような
まぶしそうな表情が好きだ。
そんな表情のほうが凛々しくて好きなんだけどなぁ。
今度、そう伝えてみよう。
Nちゃんとは日ごろ他愛もない話ばかりしている。
日々の出来事だったり、くだらないことだったり、
毎晩かけてきてくれる電話は、まぁ、半ば義務感だからなのか
そんなに盛り上がることもないし、ただ声が聞けてうれしいなと
お互いが思っているだけだ。
それに、彼は声をひそめて喋るのでとても聞き取りにくい。
(声をひそめることには、何だかなぁ・・・と思う)
そういうわけで、電話で長話することはあまりない。
週末の金曜日の夜、逢うこともあって、
その時は大概、私のオフィスに近い喫茶店で数時間
話し込むので、まぁ、そりゃあ深い話も浅い話もたくさんする。
ここのところ、私もNちゃんも忙しくタイミングが合わないので、
金曜日の夜に逢うことは一か月以上ない。
となると、なかなか深い話をするチャンスがないのだ。
デートでドライブしているときには、あまり深い話はしないし。
こないだの日曜日は、珍しくゆっくりとお茶をして、色々と話した。
「初めて逢ったときのこと、覚えてる?」
Nちゃんが聞く。
「覚えてるよ。どんな話しをしたっけか忘れちゃったけど。」
「オレは覚えてるよ。姫ちゃん、仕事の話をしてた。」
「そうなんだ~。だって、Nちゃん”オレは口下手だから”って
全然喋らなかったでしょ。私も話をしなきゃ、って頑張ったんだよ。」
「オレと逢えて良かった?」
「良かったよ、もちろん。」
「何でオレのこと好きになったの?」
「う~ん、穏やかだし、優しいし。」
「・・・でも姫ちゃんの周りにはいいオトコがいっぱいいるでしょ。」
「そうかな。そうでもないよ。」
「そうでもあるよ。だから、オレでいいのかなぁ~って。」
そして、Nちゃんとたくさん話をした。
お互いの気持ちや色々なことを。
その夜、Nちゃんから届いたメールには
「今日も逢えて嬉しかった。
姫ちゃんに出逢えて良かった、って今日改めて思ったよ。」
とあった。
お互い、今まで歩んできた道も全然違う。
お互いのことをほとんど知らないといっても過言じゃない。
これからどうなるのか、どこへゆくのか分からないけど、
穏やかに時が過ぎていけばいいなと思っている。
日曜日のデートはお花見が雨で実現せず、
車の中での盛り上がりからラブホに行くも、
どこも満室で、これも実現せず・・・
結局、郊外のカフェでお茶をした。
1時間半ほど滞在して「行こうか」とお店を出たのが
もうそろそろ夕方のいい時間。
これでサヨナラか、、、と思っていると
「姫ちゃん、オレにもう一か所付き合って」と、どこかに車を走らせた。
しばらくして到着したのは、文房具の専門店で、
場所的には、私とサヨナラしてNちゃんが一人で行ったほうが近いところ。
ここに来たせいで、私の車の置き場所に戻るのは真逆の方向に行かねばならない。
「子供のころから文房具屋さんに来ると、ワクワクするんだ。
オレのオアシス。ここは週一で来るかな・・・」
彼は、そう言って今愛用中だというペンのインクを買った。
先週のデートで「ちょっとの時間しか私にくれない」と
駄々をこねたからか、、、
少しでも長く居ようとするために、彼はわざわざ逆方向の
文房具屋さんに来たのか。
その理由は分からないけれど、長い時間一緒に居られたことも、
彼のオアシスについて行けたことも、どちらも嬉しかった。
ふいに、こういう日常を切り取った時間や空間を共有できることが嬉しい。