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シャープの過ちと日の丸電機メーカーが生き残る道

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第373回】 2015年4月6日
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液晶世界一から一転、経営危機へ
正念場を迎えるシャープ

シャープは生き残りの正念場にある。写真は同社の危機の一因となった境工場
Photo:Takahisa Suzuki

 経営状況の悪化が続くシャープは、今年3月期の決算でも2500億円を超える赤字を計上する見込みだ。それに伴い、主力取引金融機関であるみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に金融支援を要請する。

 同社は、業績不振から2012年、13年と合計9000億円を超える損失を計上した。その後、賃金の引き下げや主力金融機関の金融支援もあり、2014年にいったん、黒字決算にこぎつけるまでに回復した。

 しかし、その後主力事業の液晶やテレビ事業の世界的な競争激化や、不振事業の抜本的なリストラ策の実施が遅れたことなどから今回の大幅赤字計上に追い込まれた。同社は、全従業員の10%を超える3000人規模の希望退職者を募集するなど一段のリストラ策を実施する方針だ。

 元々、シャープは2012年に台湾の有力メーカーである鴻海から、経営支援を受ける提携の合意を取り付けていた。ところが、その後の同社株価の大幅な下落により、提携合意が宙に浮いた状況になっている。

 要請を受けた主力2行は、抜本的な改革案を含むかなり厳しい条件を付けつけるものとみられる。一時、液晶分野で世界市場を席巻する勢いを見せたシャープが、本当に生き残れるかどうか、正念場を迎えたことは間違いない。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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