尹長官は演説で、ある米国の研究員がコラムで韓国のAIIB参加決定について「米国と中国というクジラたちを手なずけた、意気揚々としたエビ」に例えたと誇らしげに紹介した。批判が相次いでいるのは韓国だけで、国外ではそうではない、というニュアンスだった。しかし、尹長官の主張はほとんど誤読によるものだ。このコラムの筆者は米国の戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長で、米国有数の日本問題専門家マイケル・グリーン氏だ。この文は、韓国が大国の要求に対応するばかりではなく、新たな規則・規範を作るリーダーになければならず、そうなってこそ初めてワシントンや北京から尊重されるという内容だ。つまり、事実上韓国で飛び交っている外交部批判と同じなのだ。「『反応国家(reaction state)』から脱皮して『主導国(leading state)』になれ」というのは韓国人の注文でもある。
正直に言って、尹長官が突然、こうした突発的な発言をした真意が何なのかは謎だ。外交部関係者数名に聞いても「長官本人の所信」というばかりでスッキリとした答えは返ってこない。明らかなのは、とうとう韓国の外交も「大韓民国という『井戸』」の中に身を投じたという事実だ。この国の長年変わらない特徴の一つに、外の世界を意に介さず「自分たち同士」でやり合うという現象がある。いくら世界10位以内の経済大国に浮上し、数十年にわたり対外開放・国際化が行われてきたとしても、この点だけはあまり変わっていない。