「中国は白頭山に満州族の神を祭る『長白山(白頭山の中国名)神祀』を建立した」。韓京大学のユン・フィタク教授が3日午前、国会の東北アジア歴史歪曲(わいきょく)対策特別委員会に出席し、中国による歴史歪曲の状況を紹介した。壁のスクリーンに映し出された長白山神祀の建物には、何頭ものトラが引く車に乗った満州族の神が描かれていた。
この日のユン教授の発表では「中国が2022年冬季五輪を招致した場合、白頭山で聖火を採火する可能性がある」「中国政府は現在『白頭山』という名前の商標登録に待ったをかけ、『白頭山』の名前を消す動きを見せている」「『白頭山工程』に立ち向かう韓国の東北アジア歴史財団の担当者は1人しかいないが、その担当者も現在は海外に派遣されている」といった内容が含まれていた。この発表が行われる前には、日本による「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録推進の問題が扱われた。その対象となっている施設は、日本統治時代の朝鮮から6万人もの人々が強制的に徴用された。
だがこの日、特別委の議場に姿を見せた国会議員は、17人の委員のうち6人にすぎなかった。その6人の委員も、自らの質疑が終わると議場を後にし、キム・セヨン委員長が散会を宣言するころには同委員長一人しかいなかった。欠席した委員の事務室は「メディアのインタビューがあった」「地元に帰った」などと釈明した。
問題は議員たちだけではなかった。特別委に出席した外交部(省に相当)の関係者は「中国が『白頭山』の名前を消す動きを見せていることに関心を持ったことがあるか」という質問に対し「あ…」と言ったまま、だんまりを決め込んだ。また「中国の冬季五輪開催計画で、白頭山が会場に含まれているのか」との質問には「私どもの部署で取り組んでいることではない。ちょっと調べてみる」と答えるにとどまった。
たまりかねたキム委員長は「絶対多数の国民が衝撃と驚きを禁じ得ない内容を知ったのだから、少なくとも政府レベルでそれに対応する姿勢を示すべきだ。そんな消極的な答弁で、政府をどう信じればいいのか」と苦言を呈した。外交部の関係者はそのとき初めて「綿密に把握していく」と答えた。
東北アジア歴史歪曲特別委は2013年6月「周辺国による歴史の歪曲に対処する」という趣旨で設置された。だがこの日の委員会を見ていると、果たして十分な対処ができるのかと心配でならない。