「日本経済は順調に回復しているが、消費税率を3ポイント引き上げたことは衝撃が大きかった」
日本の菅義偉官房長官は1日、定例会見でそう述べた。昨年4月1日に消費税率を5%から8%に引き上げて以降1年間は「増税ショック」が大きかったと政府自ら認めた形だ。
日本で過去に消費税を導入あるいは増税した首相はいずれも次の選挙で惨敗するという一種の公式が存在した。消費税を引き上げれば、経済だけでなく社会全体に与える影響がそれだけ大きかったことを示している。しかし、安倍首相は慢性的な財政赤字を解消し、景気浮揚財源を確保するため、1997年から5%に維持してきた消費税率を8%に引き上げるという冒険に踏み切った。
予想通りに「消費氷河期」が訪れた。実質賃金の伸び率がマイナス状態で推移する中、消費税引き上げで物価が急騰し、消費者は財布のひもを締めた。昨年第1四半期(1-3月)に1.3%だった実質国内総生産(実質GDP)の成長率(前期比、季節調整済み)は第2四半期(4-6月)にはマイナス1.6%まで低下した。アベノミクスに対する不信感が高まり、コーナーに追い込まれた安倍首相は昨年12月、信を問う総選挙を実施したが、そこで勝利して起死回生を図った。
その後、アベノミクスの柱である財政出動とそれに伴う円安進行で日本経済は回復局面を迎えている。消費税引き上げ以降、2四半期連続でマイナスだった成長率は第4四半期(10-12月)に0.4%まで回復し、昨年2月には全国の百貨店売上高が消費税引き上げ以降で初めて増加に転じた。
しかし、数値上の回復は富裕層や外国人観光客に依存したものであり、庶民は景気回復を実感できずにいるとの主張も根強い。朝日新聞は「東京・新宿の百貨店で10万円の高級男性靴はよく売れるが、庶民が利用するレストランは客がおらず、値下げしている」と書いた。円安のおかげで輸出企業は業績は急速に拡大しているが、輸入される生活必需品や原材料の価格が高騰し、庶民は苦痛を訴えている。
ウォール・ストリート・ジャーナルは「トヨタをはじめ、大企業が基本給を引き上げているが、トヨタの下請け会社をはじめ、中小企業は原材料の輸入コスト上昇に伴う生産コスト負担でアベノミクスの恩恵を体感できずにいる」と指摘した。
海外の専門家は今後の日本の景気動向をおおむね楽観している。円安基調が今年も続くため、株価と輸出企業の実績は引き続き好調が見込まれる。日本政府は17年4月に消費税率をさらに2ポイント引き上げ10%とする計画だ。当初今年10月の引き上げを検討したが、昨年の増税ショックが大きかったため先送りされた。
安倍首相は国家の信用度が低下するとして、いかなる場合でもそれ以上の先送りはないと強調している。このため、安倍首相は在任中に消費税増税を2回も断行する初の首相となる見通しだ。日本メディアは「景気回復が遅れる状況で追加増税が行われれば、ショックは大きいのではないか」とし、「追加増税までの2年でどれだけ経済を再生できるかが安倍政権の課題になる」と分析した。