韓国の3月の輸出は469億9000万ドルで、前年同期を4.2%下回った。1月(0.7%減)、2月(3.4%減)に続く3カ月連続のマイナスで、しかも減少幅は拡大している。原油価格の下落で石油化学製品をはじめとする主な輸出製品の価格が下落しているほか、中国、欧州、ロシアなどの景気が低迷していることに伴うものだ。一時的な要因ではないため、今後の輸出見通しも不透明だ。
輸出と共に経済を支える二大軸である内需をめぐる経済指標も不安だ。国内消費の不振で輸出より輸入が大きく減少し、3月の貿易収支は83億9000万ドルという過去最高の黒字を記録した。不況型の黒字だ。3月の消費者物価が前年同期比で0.35%の上昇にとどまり、4カ月連続で0%台となったことも同様だ。たばこ値上げ効果を除けば、物価上昇率は事実上マイナスに低下した。
一方、不動産市場と証券市場には春風が吹いている。ソウルのマンション取引件数は2006年以来で最高を記録し、過熱懸念が聞かれるほどだ。証券市場も株価指数が全体的に上昇し、出来高も増加している。
韓国経済に見られる正反対の現象は、韓国銀行(中央銀行)の政策金利引き下げであふれた市中の流動資金が実体経済よりも資産市場に流入していることが原因だ。政府の景気浮揚策の効果は不動産市場と証券市場でのみ表れているにすぎず、景気回復の勢いは弱い。
不動産市場と証券市場だけが回復することは、韓国経済に別の不安要因をもたらす。年初来、不動産取引が活発化し、家計債務も急増。それに伴う消費低迷などの副作用が懸念されている。企業業績が悪化しているにもかかわらず、株価だけが上昇することも望ましくない。市中資金が実体経済へと流れ、消費と投資を促進しなければ、景気回復は望めない。韓国政府はこれまでよりも果敢で直接的な消費促進策と投資活性化策を通じ、景気回復の流れをつくり出すべきだ。