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日本にマイクロソフトの起業家精神を

2015/4/5付
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 米マイクロソフトが創業40年を迎えた。パソコンの基本ソフト(OS)で業界標準を握り、コンピューターを大衆化する口火を切った実績は歴史に残る。世界で埋没気味の日本のIT(情報技術)産業は、起業家精神を発揮し存在感を高めなければならない。

 「すべての机と家庭にコンピューターを」という目標を掲げたビル・ゲイツ氏は、19歳のとき友人とマイクロソフトを興して事業にまい進した。かつての勢いは失ったが、株式時価総額はなお40兆円にのぼる。ゲイツ氏本人は21年続けて米国一の富豪である。

 築いた富は大きいが、注目すべき功績はほかにある。後ろ盾のない若者でも将来構想と技術、行動力があれば、産業構造を一変できると示したことだ。ネット検索のグーグル、交流サイトのフェイスブックなど、続く世代の起業家たちを刺激し、米国にITがけん引する経済の土台をつくった。

 日本勢はどうか。「パソコンではマイクロソフトに主導権をとられたが、次は挽回する」と、かつてIT各社は主張していたが、主戦場がネットやスマートフォンに移っても、日本から世界的な革新は生まれていない。IT分野で日本を代表するソフトバンクさえ時価総額は8兆円強だ。

 日本でも起業する若者は増えている。ただ、業界秩序をひっくり返す野心が乏しいのは気になる。米国のOSなど今ある技術基盤を前提に、ゲームソフトなどを手堅く開発するベンチャーが目立つ。自らが新たな技術基盤の担い手になる気概がほしい。ゲイツ氏がパソコン事業で米IBMを味方につけたような戦略性が必要だろう。

 大企業の役割も重要だ。信用力や経営ノウハウが足りないベンチャーにとって、大企業と手を組む利点は大きい。

 米国ではベンチャー買収が2013年で約400件あり、大企業がベンチャーのアイデアや人材をてこに事業を創出する循環がある。日本の大企業も相乗効果が見込めるベンチャーを発掘し、投資や提携をする努力が欠かせない。

 IT産業は再び転換期にさしかかっている。車や家電などさまざまなものをネットに接続し、便利なサービスを編み出す潮流だ。5年後には500億台がつながるとされ、世界の企業が知恵を競う。ベンチャーと大企業が補い合い、今度こそ日本から革新が起きることを期待したい。

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