地下鉄サリン20年:進まぬ賠償 19億円が未払い
毎日新聞 2015年03月20日 22時00分(最終更新 03月20日 23時54分)
◇後継団体は資産を増やす
地下鉄サリン事件から20年が経過した今も、オウム真理教から事件の被害者への弁済は滞ったままだ。破産手続きを通した教団の被害者への賠償は約19億円が未払いである一方、後継団体は資産を増やすという矛盾した事態となっている。
教団は1996年に破産。被害者の申し立てた債権は約1200件、総額約38億円に上り、2008年に手続きが終了した。教団資産の売却などにより約16億8000万円が回収され、残る約21億円を「オウム真理教犯罪被害者支援機構」が引き継いだ。
教団はこの間、「アレフ」へと改称し、07年には「ひかりの輪」が分派。公安調査庁によると、00年に約4000万円だった教団資産は、昨年10月末には両団体で計約6億9000万円と、17倍に膨らんだ。支援機構は両団体からこれまでに約2億円を回収したが、残る支払いは滞り、アレフなどとの調停が続いている。
支援機構理事長の宇都宮健児弁護士は「被害者の高齢化も進み、早期の配当が必要。後継団体は、真摯(しんし)に反省しているのであれば協力すべきだ」と訴える。【島田信幸】