1票の格差:名古屋高裁は「違憲状態」、無効請求は棄却
毎日新聞 2015年03月20日 15時26分(最終更新 03月21日 00時22分)
◇14年衆院選、「合理的期間の是正なしとは認められない」
最大2.13倍の「1票の格差」で実施された2014年12月の衆院選を巡り、弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の判決で、名古屋高裁(揖斐<いび>潔裁判長)は20日、小選挙区の区割りを「憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあった」として「違憲状態」とした。無効請求は棄却した。14年衆院選を巡る1票の格差訴訟17件のうち、判決が出たのは「合憲」と判断した19日の東京高裁に続き2例目で、「違憲状態」の判断は初めて。
揖斐裁判長は小選挙区議席を各都道府県にまず1ずつ配分する「1人別枠方式」が12年衆院選の直前に廃止され、選挙区定数が「0増5減」になった一方、0増5減の対象にならなかった都道府県は従来の基準が維持されたままで「1人別枠方式の構造的な問題を最終的に解決したものとはいえない」として、小選挙区の区割りを違憲状態と認定した。
一方、抜本的な選挙制度改正に必要な期間について、判決は「短くて済むという保証がない」と指摘。0増5減措置に加え、14年衆院選前から「衆議院選挙制度に関する調査会」を設置して格差是正に取り組んできたことから、「憲法上要求される合理的期間内の是正がなされなかったとはいえない」と結論付けた。
原告弁護士グループの升永英俊弁護士は「憲法に反するけれど合憲というのは詭弁(きべん)だ」と批判、週明けにも上告する方針を示した。【金寿英】