東京電力福島第1原発事故でほぼ全域が避難指示解除準備区域に指定され、全町避難している福島県楢葉町で6日、帰町に向けた準備宿泊が始まる。期間は3カ月で、政府は期間中に住民説明会を開催。町民の意見など踏まえ、宿泊終了時点で避難指示を解除するかどうかを判断する。

 対象は2715世帯、7438人。3日現在で163世帯、340人が宿泊を登録した。準備宿泊は田村市都路地区東部、川内村東部に続き3例目。全住民が避難した自治体では初で、対象が380人だった都路地区、276人だった川内村とは規模が全く異なる。

 関係者によると、政府は行政区単位などで10回程度の説明会を開きたい考え。国の原子力災害現地対策本部長の高木陽介経済産業副大臣は3日、楢葉町を視察後、「規模が大きく都路、川内とは趣が異なる。準備宿泊を丁寧に実施することで、帰町への具体的な課題を把握し、手を打つことが重要だ」と指摘した。

 楢葉町では保健師らが宿泊世帯を巡回し、放射線や生活再建の相談員制度を拡充する。役場本庁舎に勤務する職員を増やし、証明書も発行する。水道水への不安を解消するため、浄水場では放射性物質の24時間モニタリングを始めた。7日からは東邦銀行が週2回、役場駐車場で移動店舗を開設する。松本幸英町長は「町民が帰還できる環境をしっかり整えていく。国は町民との対話を深め、丁寧に対応してほしい」と話す。