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違和感ぬぐえぬ賃上げ介入

2015/4/5付
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 政府は経済界や労働組合の代表との政労使会議を開き、中小企業が賃上げに最大限努力するよう要請した。大手企業の積極的な賃上げの流れを広げたいためだ。

 会議では中小企業が賃上げの原資を確保しやすい環境づくりで合意した。原材料高など仕入れ価格の上昇を製品価格に転嫁しやすくすることを柱にしている。

 だが民間の賃金決定や企業間取引への政府の介入には、違和感を覚えざるを得ない。賃金も取引条件もあくまで企業自身で決めるべきことだ。政府の圧力を受けるかたちで企業が無理な賃上げをすれば競争力が低下しかねない。民間の取引への干渉は市場メカニズムをゆがめる恐れがある。

 消費を活発にしてデフレ脱却につなげるために、雇用者の7割が働く中小企業への賃上げの波及が求められているのは確かだ。

 中小企業への政府の賃上げ要請は、このままでは景気の本格回復が遅れるとの危機感からだろう。

 経団連は会員企業に、中小企業との間で原材料費が高騰した際の取引価格の決め方などを合意しておくよう呼びかける。政府は立ち入り検査などで監視を強める。

 こうした支援は立場の弱い中小企業が当面の収益を改善しやすくする意味はある。ただし賃上げは、製品やサービスの競争力向上など、企業が地力をつけるなかで実現していくものだ。

 ベアによる人件費の増加は翌年以降も響く。政府の要請に配慮して競争力に見合わない賃上げをすることになれば、企業が持続的に成長できなくなる心配がある。経済再生には来年以降も継続的に賃金が上がる必要があるが、それが難しくなる場合もあるだろう。

 中小企業と大手企業の取引価格の適正化はもちろん必要だ。それには独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」などの違法行為を取り締まることなどが筋だろう。

 政府の役割は企業が地力をつける環境を整えることだ。新しい分野に参入しやすくする規制改革などにもっと力を入れるべきだ。

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