堂場瞬一 「長き雨の烙印」(中公文庫)
堂場瞬一 「長き雨の烙印」(中公文庫)
脇坂なる刑事。20年前に起きた少女暴行殺害事件でいちはやく容疑者を割出し逮捕。住民の不安を早々の犯人逮捕で取り除き、警察内では有能刑事としてとりたてられ、出世階段を駆け上がる。
ところが、12年の刑を終えて出所してきた犯人の庄司が、8年の沈黙を破り、弁護士をたて自分は犯人では無いと主張。再審請求の準備を始める。
振り返れば、確実な証拠は何もない。自白を強要させただけ。実は唯一の目撃証言も、友達に言ってでっちあげていたことを脇坂は思い出す。再審請求がとおり、裁判がやりなおしとなると、折角得た名声地位は消滅し、奈落の底に墜落してしまう。
そこで脇坂はとんでもないことをする。当時の犯行と同じ場所で脇坂自身が少女暴行事件を起こし、それを自らは進んで捜査本部の責任者となり、庄司を再び犯人にしたてようとする。
もし庄司を逮捕できれば、世論は再審請求など許さない雰囲気になり、弁護士も請求をとりさげるだろうと。
作者の人智離れした発想である。そして、凄いのはその真相530ページにわたる作品の最後数ページで明かされる。読者は圧倒的衝撃を受ける。最後が圧巻の小説である。
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脇坂なる刑事。20年前に起きた少女暴行殺害事件でいちはやく容疑者を割出し逮捕。住民の不安を早々の犯人逮捕で取り除き、警察内では有能刑事としてとりたてられ、出世階段を駆け上がる。
ところが、12年の刑を終えて出所してきた犯人の庄司が、8年の沈黙を破り、弁護士をたて自分は犯人では無いと主張。再審請求の準備を始める。
振り返れば、確実な証拠は何もない。自白を強要させただけ。実は唯一の目撃証言も、友達に言ってでっちあげていたことを脇坂は思い出す。再審請求がとおり、裁判がやりなおしとなると、折角得た名声地位は消滅し、奈落の底に墜落してしまう。
そこで脇坂はとんでもないことをする。当時の犯行と同じ場所で脇坂自身が少女暴行事件を起こし、それを自らは進んで捜査本部の責任者となり、庄司を再び犯人にしたてようとする。
もし庄司を逮捕できれば、世論は再審請求など許さない雰囲気になり、弁護士も請求をとりさげるだろうと。
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| 古本読書日記 | 06:20 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑