昔むかし山里にカニのおっかあが暮らしていました。
働き者のおっかあはやがて生まれてくる子どもたちのために一生懸命働きました。
ある日仕事を終えて握り飯を食べようとしているおっかあのところへサルが通りかかりました。
おうカニのおっかあうまそうじゃな。
ああサルどんこれから日が暮れるまで野良仕事だから腹ごしらえしてるんだよ。
ふ〜んなあカニのおっかあよ。
おら朝から何も食っておらん。
腹ペコで死にそうなんじゃ。
その握り飯1つ分けてくれ。
働きもしないで腹ペコで死にそうとはおかしな話じゃ。
うっそうじゃいいものがあった。
このカキの種と握り飯と取り替えっこしてくれぬか。
それはサルがさっき道端で拾ったカキの種でした。
う〜ん大事な握り飯とその種を取り替えておらにどうしろっていうんだ?これをおっかあん家の庭に植えればやがて食いきれんほどのカキの実がなるぞ。
本当か?本当じゃ。
おらはおっかあのためを思って言ってるんじゃほれ。
カニは握り飯とカキの種を取り替えっこしました。
キャッキャッキャッ!さっき道で拾った種が握り飯になった。
おらはなんて頭がいいんだ。
カニのおっかあはカキの種を畑に埋めました。
そして種が早く大きくなってたくさんのカキの実がなるようにと願いました。
「芽っこ出せ芽っこ出せカキの種」「出さねばハサミでちょん切るぞ」「木になれ木になれカキの木よ」「ならねばハサミでちょん切るぞ」「花咲け花咲けカキの花」「咲かねばハサミでちょん切るぞ」「実なれ実なれカキの実よ」「ならねばハサミでちょん切るぞ」お〜こりゃ立派なカキじゃ。
カニのおっかあの願いは通じ小さなカキの種はあっという間に大きな木に育ってたくさんのカキの実がなりました。
真っ赤に熟してほんにうまそうじゃ。
うん?しかし手が届かん。
カニのおっかあは枝が高すぎて自分では実がとれないことに気づきました。
はてどうしてあのカキをとったらいいものやら。
カニのおっかあはしばらく悩んでいました。
そこにまたサルがやってきました。
どうしたカニのおっかあ?うわ〜立派なカキの木じゃねえか。
よっと。
こりゃうめえ!こらサルどんそれはおらが育てたカキの実じゃ。
自分だけ食べてねえでこっちにもよこさんか!フン握り飯1つとこのカキ全部では帳尻が合わんわい。
サルどんよこさんかい!そんなに欲しいんならこれでもくらえ!う〜。
アハハハ。
このカキはいただき。
サルはカキの実を腹いっぱい食べると山へ逃げていってしまいました。
そのとき倒れたおっかあから3匹の子どもが生まれました。
おっかあ。
おっかあ。
3匹の子ガニはなんとかサルを懲らしめてやるとおっかあに誓いました。
翌朝3匹の子ガニはサルの家のある山奥へと登っていきました。
お〜いカニの子たちどこへ行くんだ?お〜ハチどん聞いとくれ。
カニの子は乱暴者のサルのことを話しました。
するとハチも同情して一緒に行くことになりました。
途中クリも話を聞いて仲間に加わりました。
次に古い臼が大層気の毒がり仲間に加わったのです。
お〜いお〜いお〜い。
お前は何じゃ?おらはな牛のクソじゃ。
牛のクソどんか。
牛のクソどんも加わりサルの家を目指しました。
サルは外に出かけていていませんでした。
そこで一行はサルの家のところどころに隠れて帰ってくるのを待つことにしました。
やがてサルが帰ってきました。
う〜寒い寒い。
今日はずいぶん冷えとるな。
うわっアチチチ!痛〜い痛い痛い!痛いあっ助けてくれ痛い痛いようわ〜!あ〜。
それ〜。
降参じゃ降参じゃおらが悪かった!う〜。
サルはカニのおっかあにしたことを深く反省しました。
それから山の奥に帰って二度と悪さはしなくなったということです。
昔喜八という欲の深〜い男がいた。
(喜八)俺は今まで損をしたことはいっぺんもないな。
他人の家のカキが外へ枝を張っているのを見つけると。
こら!うちのカキ盗む気か。
なにを言うか!もしお代官様がここを通って頭にでも当たってみろただじゃすまんぞ。
わかったか礼ならよいぞ親切心でしたことじゃ。
うんこりゃうまいな。
ある日のこと。
水を飲ませていただけませんか?おう勝手に飲んでいきな。
ありがとうございます。
うめえ!こんなうめえ水飲んだこたあねえ。
この水少しもらってもいいですかい?ああ。
ありがとうございますおかげで生き返りやした。
そうかいそんなにおいしいかい。
まあここにかけなよ。
へえ。
(2人の笑い声)暇さえありゃいろんな村を歩き回っておもしろい話を聞いて回るのが道楽でさ。
ぜひ聞かせてほしいね。
そその話もういっぺん聞かせてくれねえか?旦那日もだいぶ落ちてきやした。
ここらで。
まあいいじゃねえか。
よかったら今晩うちに泊まっていったらいい。
へえ。
不思議な神様でお賽銭をあげますと翌日にはそれが倍になっているんですよ。
あっしは借金を重ねて逃げ回ってたんですが。
たまたま知ったその神様のおかげでお金は貯まるいっぽう。
はじめはね増えるのが嬉しくって毎日のように銭持っていきましたよ。
千両が二千両。
二千両が四千両。
四千両が八千両。
更に増えて八千両が一万六千両。
一万六千両が三万二千両六万四千両十二万八千両…。
もうキリがありません。
こうなると銭なんてもんは足らねえくれえのほうが楽しみなもんで千両箱に囲まれて暮らすなんて苦痛でございますよ。
そんな家に泥棒が入ったって種銭さえ持っていりゃいくらとられたってかまわねえ。
が万が一命でもとられちゃかなわねえ。
病気だって怖いなんたって健康が第一!ってなわけでして遊んで暮らすよりかは日本中をゆっくり見て回るほうがよっぽど長生きできるってもんです。
へえそんなもんかね。
でその神様はどこにいらっしゃるんです?おっととんだことを言いやした。
ちょいと飲み過ぎたな。
でも旦那だったら教えてもいいか。
実は旅の途中飢え死にしそうになってる爺さんがいましてね。
爺さん大丈夫か?は腹が減って動けん。
あ…仕方がないので爺さんを背負って行ったんですよ。
ここでよい。
え?爺さんの家はこの辺なのかい?いいから降ろせ。
ご苦労じゃったおぬしの親切は忘れん。
礼によいことを教えてつかわす。
この丘の上に祠がある。
お賽銭をあげれば明日には倍になっておるじゃろ。
ではさらばじゃ…。
あっ…あれ?あった…言われたとおりに祠に小判を一枚置いたら次の日に小判が二枚になっていた。
頼むその祠はどこにあるんだ教えてくれ!喜八は旅人をひと晩中かき口説いた。
そして毎日ここのうまい井戸水をひさごに入れて旅人の家に届けてくれるならという条件でとうとう祠の場所を教わった。
うまいぐあいにその旅人の家も祠の場所も近くにある。
ハァ〜これがあの旅人の家か…。
まるで御殿だ…。
喜八は毎日旅人の家に水を届けるとそのまま丘の上の祠に通った。
抜け目のない喜八ははじめは一文…次の日一文銭が二枚になっているのを確かめると次には一分金をその次には小判を置いた。
こいつぁ間違いねえ!よし明日は思いきって千両持ってこよう。
神様頼んだぜ…。
喜八は翌日千両箱を運んで来た。
さすがにその晩は心配で眠れなかった。
しかし!千両箱はちゃんと二つに増えていた。
もうこうなると欲はとどまるところを知らない。
何回も往復して有り金すべてを祠の前へ持ってきた。
祠の前に積み上げられた金は翌日には見事倍になっていた。
ウフフ…ウフフフフ…。
フハハハ!グワッハッハッハッハ…。
エヘヘ…エヘヘヘヘ…。
アハハハウワハハハ…。
うわっうおぉ…。
あっ…え?ななんだこれは…。
無数の千両箱が葉っぱに変わった…。
俺の金が…俺の金が…。
ウソだ…ウソだ…ウソだぁ〜!慌てて旅人の御殿に駆けつけるとそこはどこまでも広がる野原だった。
ウソだぁ〜こんなはずはねえ!こんなはずは…。
欲張り喜八は一文無しになった。
祠は朽ち果て銭を置いても倍にはならなかった。
喜八は旅に出たまま二度と戻ることはなかった。
昔貧しいながら正直な生き方をしている男がいました。
ある雨の日商いの帰りに琵琶湖を通りかかったときふと水音に気づき見てみますと…。
一匹の大きな蜘蛛が水の中でもがいておりました。
果たして蜘蛛は餌になるのか魚の遊びなのか…。
気がつけば蜘蛛を助け出していました。
時が流れ激しい嵐の夜のことです。
旅の者ですが道に迷い困っております。
窓の明かりを頼りにまいりました。
今夜ひと晩泊めて…いただけませんか…。
こんな嵐のなかいったい…。
あっどうなされた?もし…しっかりしなされ!やがて三日も経つと男の手厚い介抱によって女は元気になりましたが一向に立ち去る様子がみられません。
ある日の夜初めて女は話をしました。
これまでのご親切身に染みて嬉しく思っております。
私の名はあやと申します。
お礼にはたを織ってさしあげたいと思います。
はたを織ってくれると言うのか。
はい…。
それは何かの縁なのじゃろう。
ワシの母が使っていたはた織り機が納屋にあったはず…。
おそれいります…。
では早速ワシが支度しよう。
ただ…一つだけ…。
私がはたを織っているときには決して中を見ないと約束していただけますか?ああわかったそれがよいならそうしよう。
男は確かな約束をしたのでした。
次の日の朝男が用意したはた織り機で女は織り始めました。
それからというもの毎日のように部屋にこもり織り続けました。
その仕上がりの見事さは皆が舌を巻くばかり。
男が商いに出た都では大評判になっていました。
ウワサを聞いた商人たちが男の家までおしかけるありさま。
一つ織りあがるたびに競って値をつり上げ買い漁っていく日が続きました。
男は日増しにお金持になっていきました。
貧しかったころの純粋さは失われ欲によって変貌させられていったのです。
家も立派になりました。
欲はますます強くなる一方でこの豊かさを失う恐怖もともに感じていたのです。
それは見事な綾織を作る女を失うことです。
永遠に失いたくない…。
おかげで裕福になってきた。
私もそろそろ嫁が欲しいと思う。
そこでお願いじゃが私の嫁になってはくれまいか?そうおっしゃっていただけるなら喜んで…。
男は大喜びをしました。
それはそうです。
愛する女を嫁にしたのですから。
綾織はますます評判になり女は休む間もなく朝から夜中まで働きづめの毎日が続きました。
男はそれをよしとし身勝手な暮らしを続けていました。
さすがに女は疲れて体を休める時間が多くなってきました。
男はそのことを知るや知らずやますます傲慢になっていったのです。
ある夜のこと。
男が戻るとはた織り機の音が聞こえません。
女との約束を忘れてはいません。
ただ心配になり様子を見ようと戸を開けたのです。
そこには巨大な蜘蛛が横たわっていました。
わぁ!男は驚き逃げ出しました。
再び男が戻りますとそこには蜘蛛の姿はなく終えたばかりの綾織が残されていました。
男はいてもたってもおられず女と出会った琵琶湖を目指していました。
そこには女が待っていたかのように立っていたのです。
あっ…あや…あや!私はあなたに助けられた蜘蛛の化身です。
救われた命と思い尽きるまであなたのために生きる決意をしました。
今となってはあなたのもとへ戻ることはできません。
女はそう言い残すと湖の奥へと消えていきました。
あ…あ…あや…。
男は言葉になりません。
己は何に悔いているのか。
この先の富を失う恐怖か…。
あやへの人としての想いか…。
誰も知るよしもありません。
人は誰であっても心の奥底に純粋さを持ちえているはずです。
しかしそれは人によって…なのかもしれません。
男はずっと深く深くまるで石の姿をかりたかのように沈み込み身じろぎひとつしないままだったということです。
2015/04/05(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]
「さるかに」
「欲張り喜八」
「蜘蛛の綾織(あやおり)」
詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
柄本明
松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
歌:中川翔子
コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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