去年12月大学教育に関するあるイベントが開かれた。
(拍手)文部科学省主催のグローバル大学博覧会。
各大学が人材育成の取り組みをPRするイベントだ。
重点的にグローバル人材を育成するというプログラムを用意してますので東大入ってもらってそういうものにエントリーすればかなり密度の濃いグローバル人材育成になると思います。
地球の上で働いてるんだという意識が持てるような人地球の上で地球のために何かやれるんだという人。
会場には多くの高校生とその保護者が詰めかけた。
聞こえはいいんですけど「グローバルグローバル」って。
今すごくもてはやされてるんですけどじゃあグローバルって一体何をというのがほんとに…私自身も答えがなくて。
番組では全国全ての国公私立大学775校の学長にグローバル人材の育成について一斉アンケートを行った。
グローバル人材の育成が必要と答えた大学は90%を超えた。
その人物像を尋ねると…。
う〜ん…。
グローバル人材とは一体何なのか。
という事で日本で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出している京都大学の取り組みを追った。
京都大学は2年前グローバルリーダーの育成を掲げて新たな大学院を立ち上げた。
思修館では5年一貫の特別なカリキュラムを設けた。
専門性を深めるだけでなく他の学問や伝統文化も修得する事で幅広い見識を持たせ世界のさまざまな問題に対応できるリーダーを育てるためだ。
24時間学業に専念させるため全寮制。
生活費も支援する。
だが取り組みが始まって2年。
教員たちの模索は続いている。
私はこういうやり方をしたら行き詰まると思います。
学生たちも前例のない達成目標に戸惑いを拭えない。
まだ正解が分からないものに対して一生懸命走っていかなきゃいけない感じというのは厳しいとこなのかなというのは思いますね。
グローバル人材とは何かどう育てればいいのか。
京都大学の取り組みを追った。
京都大学思修館の学寮。
ここで31人の学生たちが共同生活を送っている。
普通の大学院とは違って学生たちの研究する専門分野はさまざまだ。
(アレックス)という事でまとめると持続可能であるバイオマスの非効率な利用から持続可能で効率的な再エネの利用を行うという役割。
この日互いの研究内容を説明して議論を交わす勉強会が開かれた。
具体的に何をそしてどれを整えて…。
2年生のキーリー・アレックス・竜太さんは発展途上国のエネルギー問題について研究している。
(アレックス)トンガをモデルケースとして次見ていくんですけどトンガの再生可能エネルギーの取り組み2006年ぐらいからかなり積極的にいろいろな改変等ロードマップ等出してるんですけど。
発表者には異分野の学生から次々と質問が飛んでくる。
研究の前提を問う根本的な疑問が投げかけられた。
じゃあ何でこの国に援助が必要なのかニーズは何であるのかもう簡単に答えたいんだけどさっき見てみたら分かってもらったようにAIDというのはこれ技術協力無償資金提供円借款3つあるけどその中でもAIDというのが…。
この分野を専門としていない人にかんで含めるように具体的に説明しなければならない。
例えば2008年で石油価格が高騰した時にトンガにおいては3日間連続で停電になったというのがあって加えて…エネルギーの側面だけで言うと…初めて参加した1年生がこの勉強会の趣旨に疑問を感じて尋ねた。
まず1点目は…一番は自分が何やってるかというのを理解してもらうというのが重要な機会なのかな。
そうじゃなかったら多分話すというと多分そこまでみんなと話して研究を知れる機会ってそんなにないと思う。
私の核融合なんていう事をやってるとふだんはここの核融合のこの材料のダイバータが云々というのを論じてるんだけれども社会に出て核融合っていうとまず「危険はどうなのか」とか「福島第一は」とか「社会への影響は」とかそういう視点から質問が飛んでくるという事に最近気付いてしまってやはりそうなると研究を人前でしゃべるという事はそういう社会一般の人たちからどういうフィードバックがあって自分たちはどういう事考えなきゃいけなくてというのはそういう一般的な視点を得る事ができるという意味で利点があるんじゃないかな。
異分野の融合は専門研究にとらわれず視野を広くする事がねらい。
だが学生には戸惑いもある。
水質の分析を専門にしている…そこはすごい思修館は非難…非難というか割と指摘されてるところで。
理学部としての考え方一つの事を深く掘り下げる方向だけではなくてもっと社会にも向けて…もちろん深める事と社会に目を向ける事は両立するのはすごく難しいんですよね。
両方をやろうとすると中途半端になるので難しいんですけど。
ただここの大学院にいると「どっちも見ろ!」ってよく言われるんですよね。
深くもしなくちゃいけない。
特に1年2年のうちはめっちゃ深くしろと。
深くしないとむしろ先は見えない広がりもしないT字型人間とか言うじゃないですか。
一つの方向を深くしてやっと深くできる。
でもここにいるからこそどっちもしなくてはいけない状況に身を置く事によってどちらも意識しながらできるのかなとは思ったりします。
不安はありますけどねもちろん。
はあ〜怖いですよね。
思修館では研究の視野を広げるため医学から経済学まで8つの分野を学ぶ。
それら全てを合わせ新たな学問として「総合生存学」と名付けた。
必修科目には華道や書道もある。
世界へ出た時に日本文化について語れるようにするためだ。
実践的な教育も行われる。
1年目には老人介護施設で1週間過ごし福祉の在り方を学ぶ。
その後は発展途上国でのボランティア活動や国際機関でのインターンシップなど海外の現場で経験を積んでいく。
こうして学んだ5年間の成果を論文にまとめ…それが思修館の考えるグローバルリーダーへの切符なのだ。
マクロというのは非常に俯瞰的な視野を見てそして全体を見るんですけれどそのマクロな視野とミクロな視野はある意味で両方とも必要でその両方ができない人はグローバルリーダーにはなれない。
研究と教養とそれからもう一つリーダーシップ力というんでしょうかねこういうものを3つバランスよく全部をきちっと取っていく各学年に応じて求められたカリキュラムをこなしていくのは結構大変。
グローバルリーダーの要件の一つリーダーシップ力を学ぶ特別講義がある。
この日の講師は…かつて世界保健機関でポリオの根絶を成し遂げた。
(尾身)私は皆さんが「やりたい」というのをいろいろ聞いたけどみんないい事だねすばらしい事だよ。
環境問題ODAリサーチ。
こういう事は誰が考えてもいい事だね。
アルツハイマーもいい糖尿病もいい。
いい事だったら徹底的にやる事だよね。
恥ずかしがらないで。
リスクがあるけどルビコン川を渡る事だ。
世界を目指す学生たち。
高い志を抱いて思修館の門をたたいた。
将来は発展途上国とかそういった地域での文化財の保護に携わりたいと思いましてそれを考えた時にこの大学院でしたらグローバルな…文化財の保護にもやっぱり政治的なものとか経済的なものとかそういう知識が不可欠だと思うのでそれを学べるのは一番ここだなと思って入学しました。
やっぱり専門的な勉強というのができないまま社会人になって僕日本の企業だったので大体働いてて自分のキャリアパスというか大体退職までの道筋が見えてこのままで自分のキャリアいいかなというのを考えた時にもう少し自分の専門性を上げたいな…。
グローバルリーダーを育成する思修館の設立。
その旗振り役を務めたのは当時の京都大学総長…今日は雨が降らなくてよかったな。
京都大学工学研究科の出身ここはなじみの実験場だ。
総長に就任するまで30年以上宇宙工学の研究に打ち込んできた。
しかし研究が果てしなく細分化していく学問の在り方に疑問を感じるようになったという。
私は今の学問はね細かく割れてだいぶ進みましたけどそれだけで世の中改善しない問題がいっぱい残ったでしょ。
結局例えば今度の原子力発電所の事故もそうだけど専門家が解決できないでしょ。
文系の人の知恵もいるし社会学者の意見もいるし工学でも原子力だけじゃなくていろんな技術を使わんといけませんよね。
そういう時代なのにふだんは自分の専門の事しかやってない。
何かあったらみんな口をつぐむと。
これはやっぱりどこか欠陥あるんですよ。
人間のする事だからやっぱり最後は人間にどう返ってくるかという事が基本的に重要ですよね。
世の中潰れちゃったり環境が破壊されたり地球っていう星が住めなくなったりしたら困るでしょ。
思修館の理念のもとに教鞭を執る教員は17人。
交代で学寮に詰め学生の相談役を担う。
この日の担当は化学の研究一筋の…研究の進め方のアドバイスを受けようと学生たちがやって来た。
大嶌教授は学生時代に使っていた実験ノートを文系の学生たちに見せてあげた。
実験ノートってどんなんや言うからほんで僕の実験ノートを…。
大嶌教授はグローバルリーダーを育てるための文系理系を横断した教育方針に難しさを感じている。
昔はこんなんですからね。
研究を通して教育みたいな形なんですよね。
その題材が研究自体であってそれについていろいろディスカッションしいろんな周りの論文読んでというそこで初めて研究という事に入るわけですよね。
それが教育やと僕は思ってた。
教育いうのは1対1でそこで顔合わせて背中見せて自分がどういう事やるかという事を…と思ってたんですけどね。
幅広い視野を備えたグローバルリーダーを育て上げる。
そのために既存の学問を統合し総合生存学を築いていく。
言うは易く行うは難い。
困ってしまってるんですよね。
結局我々も核が出来ないんですよこの中に。
だから普通のアカデミアの世界の研究下だと専攻とか教室があってで先輩の背中を見て同じような学問をしていけばいいんですけれどもそれがない。
すごいチャレンジングだと思います育てるのは。
だけれども博士課程を超えていくというのは試練だと思います。
一つの試練を乗り越えるという意味である種の訓練がされていくというふうに信じてますので。
(取材者)結構見ていると学生さんもそれぞれ模索感ありますけど先生方も結構大変ですよね。
そうですよ。
はっきり言って我々教員の多くはリーダーを養成するプロでもなかったしリーダーシップ論のプロフェッショナルでもなかったしましてや総合生存学なる学問の専門家でもないわけだよね。
だからみんなで総合生存学とは何かどうやったらそれに近づけるかどうやったら学生さんの育成にプラスの要素になれるかという事を本気で考えているそういう集団になってるわけで。
これも過渡期なんですね。
仕組みとしても過渡期なんです。
去年秋文部科学省は審査に通った37の大学をスーパーグローバル大学に指定した。
選ばれた大学には年間最大4億2千万円の補助金が10年にわたって支給される。
大学の国際競争力を強化する事がねらいだ。
国立の8大学で今後3年間のうちに1,500人程度を世界中の優秀な研究者に置き換えます。
これにより外国人教員を倍増させます。
大学の経営の在り方も世界のグローバルスタンダードに合わせなければなりません。
イギリスの教育専門誌が毎年発表している世界大学ランキング。
去年100位までに入った日本の大学は東大京大の2校のみ。
国際競争力の低下が原因とされグローバル化の推進が叫ばれた。
しかし疑問の声もある。
大学とはグローバル化の風潮そのものを検証・批判できるような知性を養う場所のはず。
そう訴えるのは…グローバル教育を語る語り口というのはグローバルな世界でグローバルに活躍できるグローバルな人材と言って何も言ってないんですよ実は。
一体何がグローバルなのかと思うんだけれどもある種これはビジネスの要請というのが非常に強くてそういったものの大義としてグローバルなんて事をやってるんじゃないかなという気がしますね。
企業研修みたいなものだというふうに多くの人が思っているというところが問題だろうと思うんですね。
場合によっては文科省もそういうふうに思ってるんじゃないかと。
企業研修と大学で学ぶという事の一番の違いは何かというと企業研修というのははっきりとした目的があらかじめ分かってるわけです。
こういう事を習得するために研修をするわけです。
ところが大学で学ぶという事に関して言えば学んでる時は自分が何を学んでるかってほんとはよく分からないんですよ。
分かってたら多分…それはそういう職業学校だとかそういう専門学校に行けばいいわけで自分が何を学んだかというのは学んでみないと分かんないんです。
番組が行った大学一斉アンケートによるとグローバル人材の育成について必要だと回答した大学は90%を超えた。
その理由の多くに大学の危機感がうかがえる。
「グローバル教育なくして教育が成立しなくなっている」。
「補助金にも反映している事を考えると『必要ではない』という選択の余地はない」。
「世界の平和や人類の幸福に貢献する人材の育成は大学の本来の使命である」。
去年10月大学に対するある提案が議論を呼んだ。
それは大学をG型とL型に分けてはどうかというもの。
提案したのは経営コンサルタントの冨山和彦さん。
インターネットで炎上するほどの激しい議論が巻き起こった。
文部科学省の有識者会議に出された提案書によるとG型はごく一部のトップ大学に限定し世界の第一線で活躍する人材輩出を目的とする。
その他の多くの大学はL型として職業訓練を重視し地域経済に貢献する。
例えばL型大学の英米文学科ではシェークスピアではなく観光用の英語を教える。
提案者の冨山さんは大学のグローバル化には覚悟が要ると指摘する。
これはもう残念ながらものすごくある種才能を持って生まれた人たちがものすごく正しい努力を懸命にやってかつ厳しい競争にもまれて初めて到達できる世界になっちゃってるんですよ。
残念ながらビジネスの世界というのは。
その領域においては。
グローバル競争というのはそういう事なんですよ。
冷静に振り返った時に自分たちの本当の比較優位はどこにあるかという事を考えた時にむしろ地域経済や地域の産業や地域の社会に向けて本当にいい人材を輩出するという事は自分たちのおかげだと思うところが逆に出てきてもいい。
こういう事を考える時に。
要するに生半可じゃないので。
グローバルにチャレンジするという事は。
グローバルにチャレンジして要は何が何でも石にかじりついてもオリンピックを目指すという道を…そこにエネルギーを傾注するのか大学として。
いやいやちょっと待ってくれと。
その前にもっと足元見つめてやるべき事あるんじゃないのと。
この提案について大学に尋ねた。
「『学歴差別』や『格差』も生みかねず望ましくない」。
一方こちらは賛成派の意見。
「設置目的や教育内容が異なる大学では機能ごとに分化する事はやむをえない」。
グローバル化の掛け声に押され大学は今揺れている。
8月の夏休み。
グローバルリーダーを育成する大学院思修館の2年生はバングラデシュへ1か月のインターンシップに出かける。
国際協力機構JICAの青年海外協力隊員として活動するのだ。
今回JICAと思修館という二足のわらじを履いていくわけですが目的は一緒だなと思ってて。
川井先生がいつもおっしゃる鳥の目と虫の目というので今回は虫の目の方なのかなと思って。
将来自分が行きたい国際関連とかに行ったら関われないような人々ほんとに末端の人たちが何を欲してるのかどういうニーズがあるのかというのをほんとにバイアスを脱そうとしてコミュニティーに入って感じれたらなと思ってます。
個人的な興味があるところをどんどん積極的に見に行って深めるところを深めて広げるところを広げていきたいです。
ありがとうございました。
(拍手)川田さんは水に含まれる有害物質を分析しその汚染源を突き止める研究をしている。
水への関心の始まりは岡山で過ごした子供時代。
近所の川で魚が死んでいる光景を目の当たりにした事だった。
目の前で今まで普通に何十年も過ごしてきた通学路だった道で魚が大量に死んでる事が身近で起きてるっていうのがすごい衝撃的で初めて環境問題ってそんな大きい事じゃなくてもっと身近な家の隣の川でさえ起こってるような事なんだと思った時にこれは何とかせにゃいけんだろと思ったんですよね。
学年末の3月には研究成果を論文にまとめ進級審査を受ける。
そこに向けて国内の河川に含まれる有害物質の分析調査を進めているがバングラデシュの水環境にも興味がある。
出発を前に現地で調査をする準備に余念がなかった。
暗号のようにしか見えない。
これ全部数字なんですけど。
0から10を覚える事さえちょっといまだに…。
「4とか8じゃん」とか思いながら。
すごいややこしいので。
向こうに行ったら言葉を覚えた方が受け入れてくれると思うのでなるべくは言葉を教えてもらいながらやっていきたいと思います。
ただ英語すら能力ないのに「ベンガルやってる余裕あるの?」って言われたらギクッとくるので「頑張ります!」って感じです。
南アジアの発展途上国バングラデシュ。
日本の4割ほどの国土に1億5千万人が暮らしている。
近年人件費の安さから世界中の企業が進出している。
急激な人口増加と加速する経済発展の中ゴミによる公害などさまざまな問題が起こっている。
雨が多く洪水が頻繁に起こる。
衛生面に深刻な事態をもたらしている。
学生たちはホームステイをしながら農村開発や保健衛生の指導などボランティア活動に取り組む。
それに加え自分の研究がこの国でどう役立つのか検討する事も目的の一つだ。
水の分析が専門の川田さんはバングラデシュでも水の調査を行った。
だが水を巡る生活環境に衝撃を受ける。
人々が捨てたゴミによって排水溝が詰まり至る所に不衛生な水がたまっていた。
(川田)学校に通う様子。
汚染水の原因が人々のゴミを捨てる日常行為にあるという実態。
微量の有害物質を分析調査する研究などここでは何の役にも立たない。
研修期間の半ば教員たちがバングラデシュで活動する学生たちの様子を見に来た。
こんにちは。
川田さんは現地での戸惑いを教員たちに打ち明けた。
少し残念です。
専門研究だけでは解決できない問題に向き合い視野を広げていく。
それがグローバルリーダーへの道のりだ。
バングラデシュでの1か月のインターンシップが終わり学生たちの報告会が開かれた。
水の汚染状況が想像していたものと次元が異なっていた事に悩んだ川田さん。
そしてそれは研究の方向性でもそうです。
分析研究を深めていく事に迷いを感じ始めた。
学年末には研究発表が待っている。
大丈夫だろうか。
エネルギー問題を研究しているアレックスさんはバングラデシュでもその調査を試みた。
だが最も心に残ったのは人々の笑顔だったという。
アメリカ人の学者を父に持つアレックスさん。
実は筋金入りのサーファーだ。
九州大学時代は地元の海で毎朝サーフィンをして過ごしていた。
そこから環境問題に関心を持ったという。
ここら辺が自分の家なんですけどこの山ら辺が。
こっち側に行くとサーフスポットでサンセットもきれいに落ちますし時期によっては海の真ん中に落ちたり。
研究自体は海の何かを研究するとはならなかったですけど今最も国際的に重要な問題の一つでもあるエネルギーを変える事によってそこで何かしら貢献する事によって自分が少しでも最終的に自然資源巡り巡って海というものに何らかの形で貢献してるんだというのが自分の中でははっきりしてるんで。
バングラデシュから帰国したあと学生たちは夜遅くに集まるようになった。
本当の幸せ豊かな社会とは何かみんなで議論し授業で発表しようという事になったのだ。
どういう事か。
(平野)いいところで来るなあ。
「バングラで豊かさというのを考えました」と。
(アレックス)だからここで言うのはコミュニケーションの場を作るとかでもなくて…。
現代社会が失った豊かさそれは人と人とのつながりではないか。
個人が経済システムの奴隷になっている面はないか。
そこから議論は始まった。
(今村)俺もちょっと気になってんけど操作されているのは誰が誰に操作されてんの?
(アレックス)個々人がシステムに操作されてる。
(平野)ここで想定されてるのはもっと古い話ね。
「モダン・タイムス」の話。
(アレックス)流れ作業効率の…。
(平野)そうそう。
これからどうやって抜け出すかという話を僕らはいまだに議論してる。
機械文明を風刺したチャップリンの映画「モダン・タイムス」。
「豊かさとは何か」で読んだ事ってまさにこういう事でしょ結局は。
どの時代であれ。
(アレックス)効率性向上成長のために失われた…。
(平野)で考えた時点でああなるわけよ。
(笑い声)
(平野)ほら「He’scrazy!」になるわけよ。
あれに代わるシステムとは何かと我々はどこに向かってるんだと。
もう少しでも何かねもう少しはっきりしないと各論がバラバラになるような気がするな。
(平野)それは…あれ?早いね。
水の分析が専門の川田さんも遅れてやって来た。
豊かさについて自分の専門分野から意見を述べる。
ちょっと違うんだけど氷の結晶で考えてもらったらいいや。
水の分子がいっぱいある中で通常だったら例えば氷になるとするでしょ。
でもそうじゃなくてある条件下に置くといつもの例えばきれいな結晶の形じゃなくてなぜか星形になっちゃったみたいな。
そういう星形になる事によって新しい機能が生まれるかもしれないという。
う〜ん難しいなあ。
隣人が肥満であるかどうかという事と友人が肥満であるかどうかという事の影響の受けやすさが違う。
(佐伯)近いところにデブがいるとデブになるって話は一時期すごい回った話だよねその研究成果が。
ん?何の話だっけ?
(岡部)今ねみんな時間を考えて!時間を考えて!今2時なんだよ。
2時過ぎてるんだよ。
明日研究室ある〜。
(岡部)私研究室戻ろうと思ってたんだけどさあというか戻んなきゃいけないんだけど。
議論を収束させてもう解散しないと時間的に。
明日みんな大変だよ。
(アレックス)よし。
でもね6日発表があるという事でここだけは譲れんじゃん?よってあと15分でどうにかして今までの議論を踏まえて収束点を見つけよう。
そのために頑張ろう。
(笑い声)
(平野)社会の主体は個人で…。
(岡部)もうみんな頑張ったよ〜。
(アレックス)もう休もうみんな。
(岡部)もう明日早いよ〜!この議論その後も毎週夜遅くまで行われた。
学生たちは3月の研究発表に向け論文の作成を始めた。
持続可能な自然エネルギーの導入について研究をしているアレックスさん。
発展途上国の島々を調査し自然エネルギーの導入に必要な条件を論文にまとめようと考えていた。
思修館から支給される研究費を元手に現地調査に飛んだ。
向かった先は南太平洋に浮かぶトンガ王国だ。
人口10万5千の小さな国では現在国際援助によって太陽光発電などの導入が進められている。
トンガみたいにそこまで多くのパートナーも入ってなくて国の規模も小さいという事になったら割と変化はもしかしたら頑張ったら可能かもしれない。
…って考えたらこういう小さいところで起こった変化というのがモデルケースになって最終的には大きな波を引き起こすという事も十分あるのかなという意味で…。
博論はもしかしたらそういうのもありかなって今チラッと考えてます。
政府機関を中心にインタビューを重ねる。
開発援助を受けるにあたりどのような環境整備を行っているのかその優先順位を確かめた。
国際援助で造られた施設を訪ねた。
対応してくれたのはトンガ人のエンジニアだ。
持続可能なエネルギーとして期待される太陽光発電だが発展途上国ではその持続性が課題となっている。
電力の安定供給を維持するためには高い技術が必要なのだ。
滞在10日間政府機関を中心に行ったインタビュー調査は予定どおりに終わった。
エネルギーを研究する原点となった海。
帰国を前に隣の島へ足を運んだ。
一家族僅か6人が暮らす小さな島だ。
そうですねチョコチョコありますね。
遠くからきれいに見えた浜辺。
流れ着いたゴミが点在していた。
ニュージーランドから来てますもん。
「マレーシア」って書いてますねこれ。
だって今多分200mぐらいですよ歩いたの。
ほらこれもう相当前のゴミですよ絶対。
こんなコーラみたいのが色が変わるんですから。
ここまで色変わってもここにずっと残るわけですもんね。
だから人間が作ったものなら責任持ってリサイクルせないかんですもん絶対。
自然にこんな…1年2年でかえんないわけですから。
何かちょっと説教的みたいになっていかんですねこれ。
アハハッ。
でもここは怒りがありますもんほんとに。
自分は絶対ポイ捨てしないですから。
人間と自然の共生。
その環境をどうつくっていくか。
研究への思いを新たにした。
帰国後アレックスさんは研究指導を担当するヤルナゾフ教授らにトンガでの調査内容を報告した。
というのは何て言うんでしょうまた新しい違うペーパーとしては成り立つのかなと思うんですけど。
例えば…おっしゃってる事は理解できるんですけど今回のリサーチの目的としてはあくまで政府がどういったアクションをとれるかというファクターを見つけようとしてるんで…教授からの指摘を受けたあとアレックスさんは追加取材を始めた。
開発援助に関わるさまざまな機関に質問表を送り話を聞いた。
インタビューを重ねていくうちに国際援助に頼った開発の在り方に疑問が生まれ始めた。
研究発表まであとひとつき。
思修館では開設3年目に向けて教員たちがある議論を続けていた。
我々も27年度から…。
議題はバングラデシュでのインターンシップだった。
これまでJICAの授業の枠組みの中で行ってきたが今後は思修館が独自にプログラムを作る。
担当の橋口教授が新たなプログラムを検討しこの日教員たちに提案した。
その内容とはJICAが過去に行った農村開発の事例について現地調査をし評価を行うというもの。
それをバングラデシュ政府に報告してJICAの活動の全国展開を検討してもらう計画だ。
しかしそれは教育の枠を超えていて壮大すぎるのではないかと意見が出た。
もう一つよろしいでしょうか。
ケチつけるようで申し訳ないけど非常に懸念があるものですから。
我々がどうコントリビュートするのか誰が何を担当するのかという事をよく考えたうえでないと私はこういうやり方をしたら行き詰まると思いますね。
いやほんとですよ。
そのくらいの意識でやるかどうかという問題だと思うんですよ。
インターンシップの内容と体制づくり両方の見地から疑問の声が上がった。
グローバルな課題を現場で学ばせたい。
そのための模索が続いている。
3月。
学生たちのこれまでの研究成果を問う審査会の日がやって来た。
教員たちは学生たちの研究内容を採点し進級させるかどうかを決める。
問われるのはグローバルな問題の解決に向けた明確な課題設定とそれを裏付ける見識の広さだ。
アレックスさんの発表。
再生可能エネルギーの持続可能性を問い直す方向へと視野を広げ新たな問題点も織り込んだ。
これが果たして長期的に見てこの島々の持続可能性というのはほんとに役立っているのか。
例えばドナーというのはいつ引いてもおかしくない状況にあります。
先行研究では石油価格と連動して相関があってドナーのお金が入ってきてるという情報もあります。
だからドナーのお金というのはいつ引いてもおかしくないという状況がある中でこのように過多にドナーに依存してる状況というのは果たしてほんとに望ましいのかというのは疑問視がつく点であります。
研究を指導するヤルナゾフ教授からは変わらず厳しい指摘がなされた。
今回特に今ご指摘頂いてる点が特に足りなかったんですけど…アレックスさん今後は住民の視点も取り入れていくんでしょうね。
水の研究をしていた川田さん。
工場や自動車の排気ガスなどから発生する化学物質です。
バングラデシュでの水の汚染実態を知り研究を続ける意義を見失っていた。
だがその後原点に立ち返ったという。
琵琶湖に注ぐ河川に通い雨水に含まれる微量の汚染物質を分析した。
自動車などの排気ガスに含まれる有害物質が川や排水処理上にどれだけ流出しているかを分析調査した。
過去に前例のない調査だ。
この結果から5環6環などの高分子のpHの96%以上が沈殿処理によって処理されてる可能性が分かりました。
この研究って2つテーマがありますよね。
1つはこのビオパークの効果を調べるという点ですよね。
もう一つは最終ゴールは琵琶湖の汚染源はどこなのか汚染物質は何なのかという事だと思うんですけどですから琵琶湖周囲の河川湖沼をずっと調べるという事はそれはやった方がいいかなと思うんですけどどうですかね?琵琶湖周囲の事もサンプリングする必要があるとは思うんですけどそこまで手が回るか分からないので今後の経過次第で動いていきたいと思います。
水の汚染源の特定には更に分析調査を進めなければならない。
発表を受けて教員たちはすぐに採点。
集計結果を基に進級を問う審査が行われる。
ところで川田さんバングラデシュで専門研究の限界を感じたのに何でまた研究を?だってバングラの方だと人が投げ捨てたゴミで詰まっちゃうって言ったじゃないですか。
人が投げ捨てたゴミで排水路とか詰まっちゃって洪水になるのって多分分析の科学者が何かできる事ってなかなかないじゃないですかね。
だけど思修館とかその他もろもろの別の専門家の人と話し合ったり行政と掛け合う事でちょっとでも改善する余地は生まれると思うんですけど対等に話すために分析をまずはちゃんとしてそこそこ一人前にならないと対等の立場にすらなれないなというのは今思い始めました。
(取材者)ちなみにグローバルリーダーはそこに付随してるんでしょうか?そうだからグローバルリーダーって何なんでしょうね。
「グローバルリーダーグローバルリーダー」ってこの思修館言ってますけど。
しかも周りも「よっグローバルリーダー」みたいな感じでチョイチョイからかってくるんですけど。
何だろうなあ…自分はどちらかと言えばグローバルリーダーというものは国際的な価値観を身につけて何かの仕事であったり…まあ自分の仕事ですよね自分のやるべき事をできる人がグローバルリーダーだと思うんですけどね。
将来的な夢ですねあくまで…え〜そうですねアメリカで生まれてオーストラリアで育って糸島という所で小さい頃から育って田舎者なんですけど田舎者が国際機関とは何ぞやというのを探求しに行くために出ていくトリップだぐらいに思ってます。
グローバルリーダーはそうですね何回も思うんですけどグローバルリーダーというのは何かをやって後から付いてくる称号かもしれないんですけどあくまで国際的な場で解決すべき自分が対象としてる環境問題に少しでも寄与できるような形で活動を行って結果としていい結果が生まれてそして「グローバルリーダー」と呼ばれるんであればそれは万々歳な事なのかなと思いますけど。
世界のさまざまな問題解決に貢献するグローバルリーダー。
そこに至る道のりに近道はない。
人を育てるというのはほんとに難しいですね。
知識を与えるという教育は割合と大学も含めて小学校からずっと初等中等高等教育にわたってできてるんでしょうけどでもほんとに必要なのはそれプラスアルファのところを求めるでしょ?人格形成とかですねそんなものを与えるカリキュラムというのはあるようでないですよね。
結局教育というのは何かと言えばよく分からないですけど私は。
多分人が人として生きていけるようなそういう力を持てるようにする事なのかな。
京都大学思修館。
時にはみんなで料理をする夜もある。
この日は教授を囲んですき焼きパーティー。
未来のグローバルリーダーにとっては鍋の具材も議論の種だ。
(笑い声)2015/04/04(土) 23:00〜00:00
NHKEテレ1大阪
ETV特集「“グローバル人材”を育成せよ〜京都大学・改革への挑戦〜」[字]
教育現場にも押し寄せるグローバル化の波。京都大学は2年前、グローバルリーダーの育成に特化した大学院を創設した。どのような人材を、どう育てるか。その模索を追った。
詳細情報
番組内容
創設されたのは5年一貫の大学院「総合生存学館」(通称「思修館」)。研究の視野を広げるカリキュラムは独特だ。医学・経済学・人文学など8つの分野を学び、実践教育として福祉施設での研修や発展途上国でのボランティア活動も行う。教員は各分野から集められ、さまざまな大学・学部から集まった学生たちが全寮制で学ぶ。だが、グローバルリーダーという前例のない到達目標に、教員・学生とも悪戦苦闘。手探り状態が続いている。
出演者
【語り】浅野和之
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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