(緑)私…もう大丈夫ですから。
先生がいなくなっても遠くへ行ってしまってももう…二度と会えなくてもその方がいいんです。
(三島)その方が…。
どうして?さよなら。
(呼び出し音)ドリ…。
話しておきたい事があるんだ。
あの時の事。
ドリにも言われたけどこれ以上ないっていうぐらいひどい別れ方したよね。
あの時俺…。
(ノック)はい。
・
(野田)野田です。
明日の新井さんのオペですが…。
あっ失礼しました。
村上さんあれ?今日はどうなさったんですか?じゃあその件はまた電話します。
お大事に。
ありがとうございました。
失礼します。
お大事にどうぞ。
(健太)ママ遅いね。
(潤)うん?もう一度電話してみるか。
あっパパ焦げてるよ!えっ?うそ。
ああ〜ああああ!あららら。
こいつか。
うわ〜。
真っ黒なかき揚げになっちゃった。
これ健太食べるか?うん食べるよ。
食べたいの?うん。
いいの?いいよ。
いいよパパ食べるよ。
まあいいや。
新しいの作るよ。
頑張れ〜。
健太〜パパ〜御飯出来たよ〜!は〜い!先食べちゃってて。
洗濯機回しちゃうから。
はい。
じゃあ頂きま〜す。
頂きま〜す。
昨日は桜エビのかき揚げ作ってあげられなくてごめんね。
パパのかき揚げおいしかったよ。
タマネギが生で衣が焦げて。
すいませんでした。
でもおいしかったんでしょ?パパありがとう!あのさ今度病院行く時はさちゃんと言って。
送ってくから。
でも検査聞きに行っただけだし結果もよかったし。
三島先生ってもうパリの病院に帰っちゃったんだよな?うんもう帰っちゃったみたい。
昨日は野田先生の担当だったの。
緑。
今朝の御飯は気合い入ってんな。
うんおいしい!だよな〜?よかった!よくかめよ。
さあさあ食べよっか。
お待たせ!頂きます。
行ってきま〜す!行ってらっしゃい!位置についてよ〜いどん!走れ走れ!ママバイバ〜イ!回想話しておきたい事があるんだ。
あの時の事。
(ノック)はい。
(医師)三島先生ちょっと早いんですけどオペ室へお願いします。
分かった。
(千香)「このドクターにかかりたい!名医ベスト10!」に三島先生が入っていますよね。
こちらの病院の宣伝にもなるので大きく紙面を取らせて頂きます。
(蛯名)そう。
蛯名先生は早くから三島先生に目をかけて育てていらっしゃいましたよね。
パリ留学も先生の推薦だと伺っております。
パリから呼び寄せたのも先生だそうですね。
彼はまだここに根を下ろすと決めてくれた訳じゃないがね。
(千香)三島先生は教授を頂点とした医局制度にアレルギーがあるんじゃないでしょうか。
16年前のあの一件以来。
(蛯名)何の話だ?16年前雪村可奈さんという2歳の女の子が肝芽腫の手術を受け翌日死亡しました。
担当されたのは岡倉教授。
その女の子の術後管理を任されていたのが当時研修医だった三島先生でしたがそれ以降彼はなぜか医局からはじき出されるようにパリに留学した。
女の子の死の責任を取らされたという事ですよね。
君は何を取材しに来たんだ?
(千香)三島匡という人物に興味があるだけです。
パリ留学は彼の人生のターニングポイントですよね。
そこについてもっと深く知りたいんです。
岡倉教授の片腕だったあなたは留学と引き換えに全てを飲み込めと三島先生を説得したんじゃないでしょうか。
とんでもない妄想だ。
君はジャーナリストより小説家になった方がいい。
失礼するよ。
貧しい研修医だった三島先生がパリで修業できたのも蛯名先生の経済的な援助があったからじゃないでしょうか。
結局三島先生はそのしがらみから逃れられなくて先生のお嬢さんと結婚まで。
失礼だな君は!すみません。
でも…。
彼はパリの病院で365日24時間手術漬けになってスキルを磨いた。
10年間で3,000件以上の肝切除と肝移植を成し遂げた。
常人にできる事ではない。
だからこそ今の三島くんがいるんだ。
(ドアが開く音)
(野田)三島先生。
緊急オペお願いしたいんですが。
43歳男性で肝ガンの破裂が確認されてます。
20分前に麻酔をかけ始めました。
分かった。
お願いします。
ママおなか痛いの?ううん。
手術したところもう大丈夫なの?大丈夫大丈夫。
もうどっこも痛くないよ。
あっ今日すき焼き?そうだよ。
今日はね健太とパパの好きなすき焼き!やった〜!ねっ写メ撮ろうか?撮る撮る!いくよ。
はいチーズ!
(アケミ)ただいま〜。
お帰りなさ〜い。
田口さん今月頑張ったからトップ賞決まりですね。
すごい。
やった〜!っていうか何か変なんだよね。
何がですか?うちの旦那が何か妙に優しくてさ。
私今月は仕事に集中しようって家の中ほったらかしにしてたのに今朝なんか肩もんでくれちゃったりなんかして。
いいご主人じゃないですか。
(妙子)いや絶対怪しいよそれ。
えっ?
(桃子)急に優しくなるのはやましい事あるに決まってますよ。
(アケミ)やっぱり?ご主人の携帯チェックしました?メールは?いやいや考え過ぎですって。
「女房やくほど亭主モテもせず」って言うじゃないですか。
それと同じ…。
うちの旦那がモテないっておっしゃりたいんですか?いやちょっと…そういう…。
(メールの着信音)あっごめんなさい。
メールだ。
ねっ皆さんも応援してくれる家族を信じましょう。
何?別に。
はい。
あと何が欲しい?大丈夫。
お豆腐は?大丈夫入れてある。
おいしい?おいしい。
じゃ肉も入れちゃおう。
うん入れちゃおう。
ありがとパパ。
は〜いよ。
おいしい?うんおいしいよ。
今日さ学校の帰りに変な事言われた。
変な事?クラスの女の子が「健太くんの事好き」って。
おっ告白だ!すごいなやったな。
何ていう子?アヤちゃん。
アヤちゃん?へえ〜。
何?健太はアヤちゃんの事好きじゃないの?う〜んよく分かんない。
分かんないって事ないだろ。
そうか健太もそんな年か。
初恋だ。
ママの初恋は?パパじゃないよね。
まあそりゃあ…そりゃあ違うよなあ。
それよりパパの初恋は?あっずるい。
聞きたいよね〜?うん聞きたい!う〜んそういえば健太と同じ1年の時かな。
パパ小さい時からシイタケが苦手だったんだけど給食の時にシイタケバクバク食べる女の子がいてね。
それ見てすごいなと思ったんだよ。
そしたら何かその子の事が頭から離れなくなったっていうか。
パパそれ初恋じゃないと思うけど。
うそ。
そんな事ないだろ。
フフフフ〜ちょっと…ちょっと違うかな〜。
違う?そう?違うよ。
そうか?や〜だパパ変だよね。
絶対違うよ。
(笑い声)変変。
パパじゃあお肉あげる。
ありがとう。
あっ熱かった?ごめんね。
(携帯のバイブレーション)
(若村)村上さん携帯鳴ってますよ。
あっありがと。
(携帯のバイブレーション)切れちゃいますよ。
はいもしもし。
ドリ今大丈夫?ええ…。
近くまで来たんだけど出てこれるかな。
(勝)何だ酒屋のせがれと一杯やりたかったのにな。
三島くんもうパリ帰っちまったのかい?
(広瀬)うそ。
三島帰ったんですか?いつ?もう随分前ですよ。
緑の担当も先月からほかの先生に代わりましたし。
えっそんなはずないんだけど…。
広瀬くんどうかしたのか?いえ…何でもないです。
緑の命を救ってもらった礼も言わずじまいだ。
(メールの着信音)ごめんなさい遅くなっちゃって。
いや無理言ったかなって反省してたんだ。
どうぞ。
(ウエイター)ごゆっくりお楽しみ下さい。
飲んでもいいかな?あっ…。
沼津の病院でデモンストレーションオペがあったんだけど…。
いや近くまで来たっていうのは口実で。
この間…あれっきりになってたから…。
私も…知りたかったんですずっと。
どうして三島くん変わっちゃったのかなって。
あの時の三島くん全然知らない人みたいだった。
(岡倉)ここもっと吸引して!
(麻酔医)先生出血500超えました。
次の輸血準備して。
はい。
脈拍200血圧40を切りました!心停止のおそれがあります。
もうこれ以上麻酔続けられません。
どうします?
(岡倉)三島くんICUに運んで。
(アラーム音)
(母)可奈!
(看護師)波形出ません!
(母)可奈!
(父)可奈?可奈?可奈!
(心停止の音)
(母)手術すれば治るって言ったじゃないですか!岡倉教授に会わせてくれ!なぜ死んだのか説明してくれよ!君はこの医局を退局すると岡倉教授に言ったそうだがそれは自殺行為だ。
外科医としての将来を捨てる気か?それとも海外に飛び出すか?君がその気ならパリ医科大学に推薦しよう。
俺はパリを選んだ。
私…そんな時にのこのこ会いに行っちゃったのね。
困るんだこういうの。
悪いけどもう来ないでくれ。
三島くん!これ以上ないっていうぐらいひどい言葉を君にぶつけた。
「君を好きだと思った事は一度もない」。
覚えてたんだ。
全部捨てたかったんだ。
大学病院のしがらみもふるさとも…何もかも。
あれからすぐパリに?向こうでライセンスを取って週に何十人もの患者を手術した。
二度と誰も死なせない。
絶対に歩いて帰す。
そう自分に言い聞かせてメスを持った。
そうやって乗り越えたのね。
乗り越えてなんかないよ。
俺は今でも手術が怖い。
怖い?手術場に入ると必ずあの女の子の顔を思い出す。
ドリに全部話しておきたかった。
君を傷つけた事ずっと謝りたかった。
できる事ならあのころの自分に戻って謝りたかった。
もっと…早く会いたかった。
私ね…。
回想
(医師)10週目に入ってたけど残念ながら赤ちゃんは駄目だったわ。
私…。
私…そろそろ帰らなくちゃ。
送ってくよ。
もうここでいい。
家の近くまで…。
これが駄目なんだよな。
この間広瀬が病院に会いに来て約束したんだ。
ドリの幸せな世界には立ち入らないって。
私があなたに手術してもらおうって決めたのは夫と息子のためなの。
あの2人のために生きたいって思ったから。
夫はいい人よ。
もう二度と男の人なんて信じないって思ってた私を救ってくれた。
私が病気になった時も駆けずり回ってお医者様探してくれた。
だから私…。
それなのに私何やってんだろ…。
次のバスまで…。
もうドリを苦しめない。
健太〜ただいま〜!健太〜?もしもし?
(広瀬)もしもし「YO!ヒロセ」です。
健太知らない?帰ってきたら潤ちゃんも健太もいないの!いやうちには来てないけどな…。
おう健太来てないよな?
(ゆり子)来てないよ。
分かった。
じゃあね。
(広瀬)おい緑。
あの…余計な事かもしれないけどさ健太の事ちゃんと見てろよ。
うん…。
・
(健太)あっママ帰ってる!あっ帰ってきた!じゃあね!ただいま。
ママ。
ラーメンおいしかったよ!何?どうしたの?だって…心配しちゃったよ。
携帯つながらないんだもん。
えっうそ?ああそうだ忘れてた。
ごめん。
ラーメン食べ行ったの?うん。
今度はママと一緒に行こうね。
俺は置いてきぼりか。
うん!「うん!」じゃねえだろこの野郎おめえは〜!うりゃ〜!ママ助けて!フフッ健太…。
うん?たくさん食べた?うん。
(メールの着信音)・ママ!ママ〜?は〜い!悪いけど急いで!今日ねリハビリセンターに新しい患者さんが来るの!ああそうなの?うん。
(一同)あ〜!ごめんごめん!あ〜どうしよ!俺やっとくから行ってきな。
ホント?ごめんね。
行ってきます。
(2人)行ってらっしゃい!気を付けて。
うん!よ〜し!行ってらっしゃい気ぃ付けて。
は〜い!行ってきま〜す!それ!
(幸絵)全くもう…パリ医科大学辞めてどこにいるのよ?手術専門のホスピタルに移ったんだ。
つまり…根なし草になったって事?まあそういう事だ。
ごめん。
オペ始まるからもう行かないと。
(幸絵)ちょっと待って。
パパがあなたに用があるんですって。
(蛯名)三島くんしばらく。
君の新しい論文読んだよ。
すばらしい。
あっぱれだ。
ますます忙しくなるだろうが後輩たちのために講演を頼みたくてね。
分かりました。
3か月先まで手術埋まってますけどそのあとでよければ。
(蛯名)もしもし?三島くんどうかしたか?もしもし!ドクター!健太〜?
(勝)え〜えい!
(クラッカーの音)きゃ〜!うわ〜びっくりした!ママおめでとう!私誕生日でも母の日でもないけど?
(勝)え?手術から今日で丸1年目の記念日だろ。
えっそうだっけ?
(ゆり子)本人も忘れてるぐらいだからホントに元気になった証拠ね。
ママおめでとう!ありがとう!いや〜!
(一同)乾杯〜!おめでとう!ありがとう!あ〜!
(広瀬)おめでとう。
おいしい。
ありがとう。
うわ〜うれしい。
(拍手)・ただいま〜!あっ帰ってきた!またちょっとうちの職員の子がお客さんともめちゃって…。
ああごめんなさい。
「『将来の夢』2年1組村上健太。
1年前お母さんが入院した時僕とお父さんは御飯が食べられなくなるぐらい心配しました。
お母さんは毎晩病院から電話をくれました。
お母さんの声を聞くと僕は会いたくなって電話を切ってから『会いたい会いたい』と言ってお父さんを困らせました。
でもお母さんは元気になって帰ってきました。
すごいお医者さんのおかげで手術が成功したからです。
僕は決めました。
大きくなったらお医者さんになります。
もしその夢がかなったらお母さんのような患者さんを大勢助けたいです」。
終わり。
(拍手)いい作文だよ。
ありがとう健太。
うれしいよ。
ありがと。
うれしいママ。
ほら。
(勝)おい健太パパ泣いちゃってるよ。
ティッシュティッシュ!
(幸絵)私よ…匡。
帰りましょう。
私と一緒に…。
(ノック)おはようございます中山さん。
どうですか?お仕事の方は。
社長が職場に復帰なさって従業員の皆さんも喜んでらっしゃるんじゃないんですか?
(中山)言葉駄目だね。
先生。
言葉…一生駄目かね?そんな事ありません。
ご病気になった時から比べたらとってもよくなりました。
いろいろ御苦労はあるでしょうけど一緒に頑張りましょう。
中山さん。
シャツ20枚の注文…間違えました。
120枚…。
ああ〜。
シャツ20枚。
120枚。
シャツ20枚120枚。
あっこれは紛らわしいですね。
100枚余った。
あっシャツが100枚余ったんですか。
大変でしたね。
あげます。
えっいいんですか?こんなにたくさん。
あっうれしい!私ね富士西高なんです!
(若村)村上さん!はい。
(若村)今朝来た患者さんちょっと診てもらってもいいですか?身内の方に連れてこられたんですが2か月前に脳出血の手術を受けてリハビリ中なんですけど検査も治療も拒絶したそうなんです。
言語障害は?失語症がありますが。
分かった。
(若村)すいません。
これお願いしま〜す。
はいお願いします。
こちらです。
サンキュー。
(ノック)失礼しま〜す。
入りま〜す!三島先生?三島先生私の事分かりますか?三島くん。
何?三島くん言って?潤ちゃんに話してない事があるの。
何となく俺分かってたから。
彼私の名前ぐらい呼んでくれるようになるかな。
(中山)言葉…駄目?
(桃子)公民館に入ってったんですよ。
二人っきりでですよ。
・「『ありがとう』何て言葉だけじゃ語り尽くせない」・「あなたがくれた温もりを」・「今でも覚えています」・「夢の中でもなく思い出の中でもなく」・「側にいて欲しい」・「一人の夜を抱えきれずに」・「ふと立ち止まるたびに」・「恋しくて泣きたくなる」・「言葉には出来ない想い」・「もう二度と戻れない恋」・「この胸に抱きしめた輝くまま」2015/04/04(土) 00:10〜00:58
NHK総合1・神戸
ドラマ10 はつ恋(5)「True Heart」[解][字][再]
三島(伊原剛志)からの連絡を待つ緑(木村佳乃)は、再び会い16年前に何があったのか告げられる。離れがたい思いをこらえ泣き出す緑に三島は別れを決心する。1年後…。
詳細情報
番組内容
三島(伊原剛志)に抱きしめられた緑(木村佳乃)は、動揺と後ろめたさを隠して潤(青木崇高)に接しながらも、三島からの電話を待ってしまう。数日後オーベルジュで再び会った三島は、16年前に何があったかを緑に話す。バス停で離れがたい気持ちを必死にこらえる緑は、泣き出してしまう。その姿に、三島は決心をした。その夜、緑のもとには成田空港へ向かう三島からメールが届く。そして緑の手術から1年後、パリの三島は…。
出演者
【出演】木村佳乃,伊原剛志,青木崇高,串田和美,平田満,佐藤江梨子,大竹まこと,橋本愛
原作・脚本
【作】中園ミホ
音楽
【音楽】渡辺善太郎
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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