菅官房長官:翁長沖縄知事と同席 宜野湾の式典
毎日新聞 2015年04月04日 21時07分(最終更新 04月04日 21時15分)
菅義偉官房長官は4日、沖縄県宜野湾市で開かれた米軍キャンプ瑞慶覧(ずけらん)・西普天間住宅地区の返還式典に出席し、同県の翁長雄志(おなが・たけし)知事と昨年12月の知事就任後初めて顔を合わせた。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡って政府と県が溝を深める中、菅、翁長両氏は5日午前に那覇市内で会談する。
同地区は約51ヘクタールあり、先月31日、日本側に返還された。日米両政府が2013年4月に合意した米軍嘉手納基地以南の返還計画の一つで、牧港補給地区の北側進入路(約1ヘクタール)に続く2例目だが、まとまった土地の返還は初めてとなった。
菅氏は式典で「今回の返還が新たな沖縄の発展のモデルケースになるようにしたい」とあいさつし、跡地利用に関して県や宜野湾市を支援する意向を改めて示した。菅氏は沖縄基地負担軽減担当相を兼務しており、負担軽減の進展ぶりをアピールした。ただ同時に「私たちが決して忘れてならないことは、普天間飛行場の一日も早い危険除去だ。固定化は絶対に避けなければならない」とも付言。「辺野古移設」への直接の言及は避けたものの、移設推進の意向を強調した。
式典終了後、菅氏は記者団に、5日の翁長氏との会談について「辺野古移設の原点は普天間飛行場の危険除去だ。忌憚(きたん)のない意見交換をしたい。政府の考え方は伝えたい。負担軽減策や振興策についてもしっかり話をしてみたい」と語った。一方、翁長氏は記者団に「官房長官もいろいろと考えがあるのかもしれないが、沖縄県民が自ら(土地を)差し出した基地ではない。『銃剣とブルドーザー』で強制接収されたことが原点だ」と述べ、辺野古移設反対を伝える意向を示した。
菅、翁長両氏は式典会場で短い会話を交わした。これについて、菅氏は「西普天間地区が県内でどの部分に位置するのか(を尋ねた)」とし、翁長氏は「『お互い(出身大学が)法政大学ですね』ということだけ」と述べた。【木下訓明、佐藤敬一】