相棒 season2 2015.04.03


(奥寺美和子)薫ちゃん今犬欲しいと思ってるでしょ。
駄目だよ。
私たち犬の世話なんかできるわけないでしょ!?
(亀山薫)わかってるよ。
でもかわいいと思わない?マンションでペットを飼うのは禁じられてるの!隣の人黙ってネコ飼ってるぞ。
警察官が規則を破るっていうの?わかってるけどさ…。
さっき目が合っちゃったんだよ。
そういうときは…。
目を…そらす!
(携帯電話)もしもしあ右京さん。
なにか?
(杉下右京)休日のところ申し訳ありませんが捜査に当たるようにと指示が出ましてね。
珍しいっすねえ。
「特命」に捜査命令が出るなんて。
で事件ってのは?誘拐です。
(美和子)身代金の要求はあったんですか!?どうして記者発表を行わないんです!?特殊班は動いてるんですか!?
(内村警視長)なんの話だね?あの…誘拐事件が起きたんでしょ?
(内村)誘拐?そんな事件は起こっとらんよ。
え…?
(桐本雅江)うちの子です。
名前は「ラブ」といいます。
誘拐されたのは…犬?ええ。

(中園警視正)それにしても妙な事件が起きたもんですな。
ペットを誘拐するなんて。
誘拐じゃないよ君。
ペットは「器物」だ。
これは窃盗事件だ。
この程度のヤマに特殊班を送り込めるか?無駄飯を食ってる2人で十分だ。
被害に遭われたときの状況を詳しく話していただけますか。
ラブは庭で遊ぶのが好きで午前中はなるべく庭に出してやるようにしてるんです。
…うん。
じゃあね。
(雅江の声)11時半ごろです。
目を離したすきにいなくなって…。
(雅江)ラブちゃん。
ラブ!ラブ!
(雅江)こんにちは。
どうも。
うちの子見なかったでしょうか。
(主婦)あら見てないわよ。
(雅江)あの…小さいヨークシャーテリア見ませんでしたか?
(雅江の声)近所を捜してもどこにもいなくて午後2時ごろ家に戻りました。
すると郵便ポストにこれが…。
すいません。
「お宅の犬を預かってる」「今日の午後4時現金200万を持って東が丘公園に来い」「警察に知らせたら犬の命はない」私もう驚いて…。
主人に電話して警察に知らせることにしたんです。
それからすぐに銀行に行ってお金も用意しました。
ラブにもしものことがあったら私…。
お願いです!うちの子助けてください!お願いします!お落ち着いて…。
(田川刑事)…しかたないだろう。
わかった。
逆探の許可が出ないそうです。
プライバシーの問題もありますし犬を盗まれたというだけでは…。
ペットは「器物」ですから。
器物って…犬は物じゃねえだろう!?これは悪質な誘拐事件だ。
命にペットも人間もあるかよ!亀山君。
犯人は再び郵便ポストを使って指示を出してくる可能性もあります。
念のためポストの見える位置に監視カメラを設置していただけますか。

(雅江)ラブ…。
ラブ…!ラブは必ず取り戻します。
時間がありません。
東が丘公園へ行きましょう。
(右京の声)「桐本さん聞こえますか」「犯人が現れてお金を要求してきたら素直に応じてください」いいですね。
はい。
仮にラブが殺されたりした場合犯人はどうなるんですか?法律的にはペットは器物ですから「器物損壊」。
動物愛護法を適用しても1年以下の懲役または100万円以下の罰金ということになります。
欧米ではペットを虐待しただけでもっと重い刑罰が科せられます。
ペットに関して日本は立ち遅れてると言わざるをえませんね。
んっ!?
(男)「すいません。
今何時ですか」
(雅江)「5時20分です」
(男)「どうも」
(ため息)現れませんねえ。
4時に来るように言っといて2時間待っても来ないってのは…。
(雅江の携帯電話)もしもし。
(桐本達彦)「雅江か」あなた!ご主人ですかね。
そのようですね。
(桐本)「それでどうなったんだ。
犯人は現れたのか」いいえ。
(桐本)「だから言っただろう」「これは単なるイタズラだよ。
誘拐だなんて…」「犬1匹のために200万だなんて冗談じゃない」あの子がどうなってもいいって!?お金の問題じゃないわ!「俺はこれからクライアントと会う予定があってすぐには帰れない」「なにかあったらすぐ電話するんだ。
いいね」はい…。
桐本さん。
これ以上待っても犯人は現れないと思います。
今日のところは引きあげましょう。
嫌です!あの奥さんちょっと異常だよ。
たかがペットに…。
ご主人「クライアントと会う」とおっしゃってましたね。
(雅江)「主人は弁護士ですから」弁護士…。
(桐本達彦)お待たせして申し訳ありません。
お忙しいところすみません。
どうぞ。
それで…ラブの件ですか。
ええ。
単刀直入にお聞きします。
犯人に心当たりはありませんか?どなたかとトラブルがあったとか誰かに恨みを買っていたという…。
(ノック)事件のことは部下はみんな知ってますから。
そうですか。
先生ならおわかりかと思いますが誘拐事件というのはえてして…。
動機はえん恨によるものが多い。
桐本さんが弁護士をされてると聞いたものですからこちらに来ればなにか手がかりを得られるんじゃないかと。
思い当たることはないですねえ。
仕事柄クレームは付き物ですが私は法にのっとり依頼人の人権を守るために誠意を持って働いています。
恨みを買うようなことは…。
そうですか。
お心当たりはありませんか。
あ…なにか!?いや…先月事務所にどなり込んできた人がいたので…。
(若村涼子)あれは先生に責任はないですよ。
その話よろしければ聞かせていただけますか。
半年ほど前私はバイクで人身事故を起こした「河村真司」という男性の弁護を引き受けました。
(犬の鳴き声)
(桐本の声)亡くなられたのは犬と散歩をしていた「野崎秋代」さんという方です。
(桐本)被告人に過失がなかったとは言いません。
しかしいきなり路地中央へ歩行してきた被害者にも過失があったのは事実です。
「過失相殺」とは言わないまでも被告人の量刑には情状があってしかるべきと考えます。
(桐本の声)先月その裁判が結審し…。
(裁判官)主文被告人を懲役1年6か月に処する。
(右京)つまり先月どなり込んできた人というのは…。
(桐本の声)野崎建夫。
被害者・野崎秋代さんのご主人です。
(野崎建夫)どうしてあんな男を弁護するんだ!人を殺しておいてあんな判決はないだろう!俺はあいつのために家族を失ったんだ!その俺の気持ちがお前にはわかるか!
(涼子)誰か警察を!いやいい!なるほどそんなことがあったんですか…。
(電話)今話したことと今度のことは関係ないでしょうけど。
ラブが誘拐されるだなんて…。
そもそも私は犬を飼うことには反対だったんだ。
(涼子)先生。
弁護士会からお電話です。
バッジの件で。
もうよろしいでしょうか。
ああ結構です。
ありがとうございました。
桐本です。
お手数をおかけして申し訳ありません。
…そうですか。
では明日伺いますので…。
野崎建夫さんの住所教えていただけますか?
(田川)これ以上待っても無駄です。
もう帰りましょう。
(管理人)野崎さんなら先月引っ越しましたよ。
引っ越し先わかりませんかね?待ってください。
確か…自由が丘じゃなかったかな。
ここ桐本さんちの近くですよね。
そうですねえ。
(玄関のチャイム)・
(犬の鳴き声)あ…!野崎!うおっ…!右京さん!ななんで?どうなってんの?
(ラジオの音)野崎建夫さんに間違いないですか?
(パトカーのサイレン)
(ラジオの音楽)確認取れました。
(伊丹刑事)特命係の亀山!俺の名前に冠つけんじゃねえっつーの!こっからは一課の領分だ。
お前たちは帰れ。
そうはいきませんねえ。
(米沢鑑識官)硬直の具合から見て死後7〜8時間と思われます。
余計なことしゃべるんじゃねえ!
(米沢)ハイすいませんどうもー。
どけよ!邪魔なんだよチンケなのは!犬も刑事もな!てめえこの野郎!確かに邪魔のようですね。
どきましょうか。
(米沢)犯人が手袋を着用していたとしてもこの包丁の柄の部分には犯人のにおいが付着しています。
(三浦刑事)よし足跡追及だ。
(伊丹)おい…?エプロンですか…。
警部さん勝手に触らないで!おい同じにおいなのか?…みたいですね。
奥さんの遺品ではないようですね。
野崎には女がいた。
その女が野崎を殺した。
とりあえず我々は犬をお返しにあがりましょう。
ラブ!どうぞ。
大丈夫だった!?怪我はない?よかったねえ!あ…あなた。
やはり野崎でした。
え本当ですか!?野崎さん…って?野崎建夫。
ご主人に恨みを持っていた人物です。
それだけじゃありません。
我々が乗り込んだとき野崎は何者かに殺害されてました。
どういうことですか!?今のところはなんとも…。
どうも…ありがとうございました。
今日はお疲れでしょうからお話はまた改めて。
監視カメラどうします?共犯がいる可能性があります。
念のためにしばらくこのままにしておいてください。
わかりました。
死体が出たそうです。
しかも発見したのがあの2人で捜査を全うすると言い張ってるそうです。
どうなってるのかね?たかがペットの誘拐で犯人が仲間割れしたとでも言うのかね。
さあ…とにかく大きなヤマになりました。
(右京)なにか物証は出ましたか?今のところ犯人を特定するものはなにも。
ただ気になったのは室内に獣毛…犬の毛があったことなんですけど。
犬を誘拐したんだから犬の毛が落ちてて当然でしょう。
それが…掃除機の中からも検出されたんですよ。
あの犬と同じ毛が?はい。
しかし誘拐したその日に掃除なんかしますかねえ?まきれい好きだったらするんじゃないすかね?ラブは以前もあの部屋に行ったことがあるのかもしれませんねえ。
野崎さんを訪ねてきた女性のことなら刑事さんに話しましたよ。
もう一度話してもらえませんか?先月野崎さんが越してきてから私が見たのは4〜5回かしらね。
キャリーバッグ抱えた女の人が。
キャリーバッグ…。
中に入ってたのは犬ですよ。
その女性が来るたびに野崎さんちから犬の鳴き声が聞こえましたから。
野崎にはつきあっていた女性がいた。
その女性が桐本雅江…ってことはないすかねえいくらなんでも。
(右京の声)かわいいですねえ。
いつから飼われているんですか?3年前からです。
知り合いの家で子犬が産まれてあまりにかわいいので譲っていただいたんです。
ご主人は乗り気ではなかったとか…。
主人は仕事だけの人ですから。
疲れて帰ってきて犬にまとわりつかれたんじゃかなわないんでしょう。
比べて私はもうラブのいない生活なんて考えられません。
犬のことはよくわかりませんが食事は1日に何回?朝と夕方2回です。
ドッグフードを?そうです。
でも女親は駄目ですね。
おやつとかつい間食させてしまって。
そうですか。
右京さん。
いつまでラブのこと聞いてんですか?失礼。
あの今回の誘拐ですが雅江さんは犯人だった野崎を…。
(玄関のチャイム)はーい。
ちょっとすいません。

(三浦)ごめんください。
お邪魔します。
なんでお前がいるんだよ?お前らこそなんで来たのか用件を言え!野崎氏殺害の件で確認したいことがあります。
署までご同行願えますか。
はい…。
(三浦)これから「臭気選別」という鑑定を行います。
この布をよく触ってあなたのにおいを付着させてください。
いいでしょう。
このエプロンは野崎氏のアパートにあったものです。
あ…!あなたと野崎は出身大学が同じですね?年令も同じだ。
(三浦)昔つきあってたんですね?
(雅江)はい…以前交際していました。
その野崎と再会したのはいつです!?半年前偶然東が丘公園で…会ったのは15年ぶりです。
野崎君…?
(雅江の声)そのときは立ち話をしただけで私も結婚していること主人は弁護士をしていることを話しました。
(伊丹)次に会ったのは?事故のあとです。
野崎君から電話があって奥さんが亡くなられたことを知りました。
しかも加害者の弁護を主人がしていると聞き驚きました。
(雅江)野崎君ショックで勤め先を辞めたと…。
(雅江)ほっておけませんでした。
励ましたいと…。
(三浦)何度か会ううちに焼けぼっくいに火がついたってわけか。
つまりこういうことだ。
野崎はご主人からあんたを奪い取りたかった。
近くに越してきたのも関係を続けたかったからだろう。
ところがあんたにすれば所詮浮気だった。
今の暮らしを手放す気はない。
拒否すると野崎はあんたを脅してきた。
それなら2人の関係をご主人にばらすと。
野崎が犬を誘拐したのもあんたを脅すつもりだったんだろう?そのことに気づいたあんたはアパートを訪ね野崎を殺害した!違います!野崎君がどうしてラブを誘拐したのか私にはわかりません。
私は野崎君を殺してなんかいません!本当です!
(雅江)これ以上お話することはありません。
(雅江)もう帰してください。
(伊丹)勘違いしないでください!
(伊丹)これは任意の取り調べじゃないんだ。
先程あなたの逮捕状を請求しました。
いやあ驚きましたよねえ。
雅江がつきあっていた野崎を殺したなんて。
証拠は完璧ですもんね。
(右京)警察犬の臭気選別に証拠能力があることは最高裁の判例で認められています。
確かに完璧ですね。
右京さん…なにが引っ掛かってるんですか?そもそもあの誘拐はなんだったのでしょうねえ。
雅江さんを脅すのなら2人の関係を桐本氏にばらすと迫れば済む。
誘拐なんてまどろこしいことをする必要はありません。
じゃあラブを誘拐したのは野崎じゃないっていうんですか!?ラブの誘拐はそもそも誰がなんのために行ったのか…。
…わかった雅江ですよ!ラブの誘拐は雅江が仕組んだものだったんです!君らしいざん新な発想ですねえ。
でもなんのために?自分を犯人と思わせないためですよ。
うちの子見かけなかったでしょうか!?見ませんでしたか!?
(薫)ラブがいなくなったと近所を捜し回り午後2時警察に電話をし誘拐をでっちあげる。
これなら一見アリバイは完璧です。
犬を誘拐された被害者がまさかその犯人を殺すとは思わないでしょう。
(右京)アリバイを作り容疑を向けられないために狂言誘拐を仕組んだ。
ありえますねえ。
でもそうなるとますますもってわからない。
この部屋なにかが足りないと思いませんか?足りないって…なにがですか!?エサですよ。
室内には水の入った食器しか置かれていませんでした。
雅江さんが誘拐を仕組んだのならラブにエサを与えておくでしょう。
我々が野崎氏に目を向けたからいいものの下手をするとラブは何日も発見されなかったんですからねえ。
犯行が行われたのはきのうの正午から午後2時の間。
なのに我々がこの部屋に来たとき電気がついていました。
電気は誰がつけたのでしょう。
テレビのコードが抜かれていたのも気になります。
ラジオがつけっぱなしになっていたのはどうしてでしょうねえ。
…なんでそんなとこまで気づくかなあ。
はい?あ…いえ。
なにより容疑を向けられないよう仕組んだにしてはエプロンを残したままというのはかなり間が抜けていますねえ。
でもラブを誘拐したのが野崎じゃないとしたら雅江の狂言としか考えられないじゃないですか。
1つだけお訊きしたいのですがなぜ野崎さんと浮気などなさったのですか?私にとって家族と呼べるのはラブだけです。
主人の頭の中は仕事のことしかありません。
私が犬を飼ったのは主人との生活が息苦しくてしかたなかったからです。
じゃあ野崎とは…。
浮気じゃありません。
本気でした。
(右京)ご主人はあなたと野崎さんの関係を?野崎君のことは話しませんでしたが先月私は主人に離婚してほしいと言いました。
人生をやり直したい…と。
主人も同じ思いだったんでしょう。
「わかった」と言いました。
ご主人は離婚に同意したんですか?ですから私が野崎君を殺すなんてありえないんです!おい!見え透いた嘘信じるんじゃねえだろうな!?もういいだろう!事件はとっくに片がついてるんだよ。
違います私じゃない!ラブが…あの子が私の帰りを待ってるんです。
ラブのことはお任せください。
…じゃあなに?右京さんに言われて薫ちゃんがその犬を預かってきたってわけ?ラブのことはお任せくださいって俺に押し付けるんだもんなー。
…あのねー。
それにしても夫婦ってなんなんだろうなあ。
「私の家族はラブだけです」なんて旦那が一生懸命働いてるのに浮気して…。
ひどい女がいたもんだよねー。
私の質問に答えてよ。
どうしてこの犬を預かったのか聞いてるの!一応ご主人には連絡したんだよ。
でもさ奥さんが奥さんなら旦那も冷たい男でさ。
「自分は仕事があるのでラブの世話はできません」…まったくあきれちゃうよ。
あきれてるのは私なの!このマンションでは…。
わかってるよ。
規則を守らないのはよくないけどさでもホラほっとけないだろう?もー!どうしたんだろうなあ…なんか元気ないんだよねえ。
エサはあげたの?いや…。
駄目じゃん!お腹がすいてんだよ!ボケッとして…早くコンビニでドッグフード買ってきなさいよ!俺美和子のそういうとこ…好き。
早く行きなさい。
ハイハイ。
エサか…。
(宮部たまき)なんなんですか?また急に変な質問して。
いえ。
あなたならどうするのかと。
つまり飼っている犬を事情があってある部屋に長いこと置いておかなければいけない。
そのときあなたは犬のためになにをしますかってことよね?そうね…とりあえずエサはたくさん置いておくわね。
ペットはわが子同然だから。
女性がまず家族のために一番最初にすることは食事の心配かしら。
なるほど。
やはり女親はそうしますか。
だけど右京さん…私の作った食事あんまり食べてくれなかった。
でも不思議。
そういうあなたがこうして今私のお店に来てくれてる。
昔の罪滅ぼしかしら?美和子の奴今朝なんかラブに構いっぱなしで。
女ってのはどうしてああネコっかわいがりするんですかね。
あ…「イヌっかわいがり」か。
な?ラブ?事件について俺なりに考えてみたんですがラブを誘拐したのが野崎でなく雅江さんでもないとしたら野崎に殺意を持った人物…。
考えられる人物が…1人だけいます。
(角田課長)おい暇か?うん?なに読んでんのよ?犬でも飼うの?亀山君出かけましょうか。
はい。
あこれちょっと面倒見ててもらえますか?ラブっていうの。
よろしく。
ちょっと…えっ!?もう飼ってんの!?職場で犬飼ってどうすんだよもう…。
(男)どうして弟にも遺産がいくんです!?弟は生前父から借金をしていたんです!しかしその正確な額が立証できない以上は…。
事務所のほうに電話をしましたらこちらだと伺ったもので。
(女)このままじゃ納得できません。
よろしくお願いしますよ!大変なお仕事ですねえ。
…人間には疲れますよ。
雅江はいつ釈放されるんですか?誤認逮捕もはなはだしい。
雅江が事件にかかわっているなど!私も犯人は雅江さんではないと思っています。
私はラブを誘拐した犯人が野崎さんを殺害したと思ってます。
誘拐を仕組んだのは雅江さんに容疑を向けるためでしょう。
エプロン…犬の毛…あの部屋でラブが発見されれば当然警察は雅江さんを疑うことになりますからねえ。
ではラブを誘拐したのは誰なのか。
私は最初エサが置かれていなかったことから第三者の犯行だと思っていました。
でもそれは間違いでした。
犯人はラブに愛情を持った人物だったんです。
ペットに対して男親と女親では接し方が違います。
女性はまるでわが子のように面倒を見ようとする。
比べて男性は客観的な目を持っています。
犬は水さえ与えておけば2〜3日は生きていられる強い生き物だと知っている。
それよりも犬が異物を飲み込むことのほうが心配だ。
ですから野崎さんの部屋はゴミ1つ落ちていないほどきれいに片づけられていました。
テレビのコードが抜かれていたのはラブがかじって感電するのを防ぐため。
電気がつけっぱなしになっていたのは夜になってもラブが怖がらないように。
ラジオをつけておくというのも不安を和らげるという意味で効果があるそうですねえ。
おっしゃっている意味がよくわかりませんが。
桐本さんあなたがラブの誘拐を仕組んだんじゃありませんか?あなたならすべてのつじつまが合うんですよ。
妻を疑って今度は私ですか。
犯人はラブに愛情を持っていた。
だからといって私が犯人ということにはならないでしょう。
犬好きの人間なら今言われたようなことは誰でもする。
逆に私は飼い主といってもラブに愛情を持っているとは言えませんからね。
なにより私には動機がない。
奥さんから離婚してほしいと言われたそうですね。
同意されたというのは本当ですか?ええ。
その私がどうして野崎を殺さなければならないんです?その罪をどうして雅江に着せなければならないんです?それとも私が犯人だという物証でもおありでしょうか?いいえ。
私は弁護士ですよ。
そんな寝言のような推測で私を逮捕できるとでも思ってるんですか?できないでしょうねえ。
失礼します。
ああそうだ。
明日ラブを返してもらえますか。
捨てるわけにもいかないんで事務所で引き取ることにしました。
桐本の動機はなんなのか…。
自分を裏切った妻と妻を奪った男への復しゅう…。
でもなあ…。
それだけで地位も名誉もある弁護士が事件を起こすとはなあ。
おい明日でお別れだな。
あんな薄情な飼い主のところに戻っても元気でいるんだぞ。
よしよし。
普通飼えば情がわくだろうになあ。
なあ?うん?動機…。
人間には疲れますよ…。
人間は疲れますか…。
クソ…相手は弁護士ですからね。
有無を言わさぬ物証が出ない以上…。
考えてみたらお前は犯人を見てるんだよな。
教えてくれよ。
無理だよな…お前は警察犬じゃないもんな?ラブ…どうして食べないの?食べなきゃ駄目だろう?…ラブはずっとそうなんですか?ええ…どっか体の具合でも悪いんですかねえ…。
ラブは今手術中です。
なにか異物を飲み込んでいたようです。
あなた…弁護士バッジをなくされましたね。
先生弁護士会からお電話です。
バッジの件で…。
弁護士バッジは野崎さんの部屋で落とした。
野崎さんのアパートに1人残されてラブはよほど心細かったのでしょう。
そこに飼い主であるあなたのにおいの付いたものが落ちていた。
ラブはそのにおいがうれしかったに違いありません。
…バッジを飲み込んでしまった。
それが事故であれ故意であれラブの飼い主であるあなたに対する愛情がそうさせたんですよ。
ラブをこんな目に遭わせてそれでも飼い主って言えるのか!あの日あなたは野崎さんのアパートにいた。
ラブの誘拐を仕組み野崎さんを殺害したのはあなたですね。
…先月雅江が突然離婚したいと言ってきました。
寝耳に水でした。
驚きました。
どうしてそんなことを急に言い出したのか…。
男がいると思いました。

(桐本の声)雅江のあとをつけて相手の男を知りました。
私は雅江のためにこれまで懸命になって働いてきたんです。
その私の気持ちを雅江は裏切った。
(ラブの鳴き声)
(野崎)なんですか?話なんかなにもないですよ。
うっ…!
(桐本の声)あの日野崎を殺し包丁には雅江の手袋を使って雅江のにおいを付けておきました。

(ラジオの音楽)
(桐本の声)誘拐を仕組んだのも雅江に罪を着せるためでした。
犯行の動機は2人への復しゅう…ですか。
あなたと雅江さんの仲は冷え切ってしまった。
別れるのはしかたがない。
でもあなたにはどうしても認めることのできないものがあった。
…ラブです。
もともとラブは雅江さんが友人から譲り受けたものです。
所有権は雅江さんにある。
離婚すれば当然ラブは雅江さんが引き取ることになってしまう。
仕事に追われ家にいても息が詰まる。
そんな私にとってラブだけが救いでした。
遅くに帰宅して妻が眠っていてもラブは私の帰りを待っていてくれたんです。
接する時間は短くてもラブは私の心を癒してくれたんです。
なのに浮気しといてラブまでも私から奪うなんて…!それだけは…それだけは許せない!ラブは私にとってかけがえのない…。
(右京)桐本さん。
そのかけがえのないラブをあなたは犯罪に利用したんじゃありませんか!どのような状況に置かれようと犯罪に手を染めることなく法を守る…。
それが弁護士ではありませんか。
…弁護士も人間ですよ。
雅江さん近々この家を出るそうです。
ラブは悲しいですよ。
ご主人を1人失ったんですから。
人間よりもペットのほうがいい…。
人よりペットに癒される…。
ペットのために人を殺す…。
ええ…妙な時代になったものです。
2015/04/03(金) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒 season2[再][字]

「器物誘拐」

詳細情報
◇出演者
水谷豊、寺脇康文 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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