午後のサスペンス「警視庁黒豆コンビ4 虚飾の塔」 2015.04.03



(叫び声)〜
(黒田憲造)マメちゃん何それ?
(豆田淳也)住宅情報誌ですよ。
え?家でも買うの?女房に言われるんですよ。
いつまでも警察の官舎にいたくないって。
まぁ家族のいない黒さんにはわかんないでしょうけどね。
いないわけじゃありませんよ。
一時的にちょっと離れてるだけです。
なにこれすげえマンションだな。
俺はこんなとこ住みたかねえな。
住みたくても住めませんよ。
最低価格2億円ですよ?黒さんの低収入じゃ一生かかっても無理です。
高いのは血圧だけですよね。
そう最近塩分控えてるんだ。
血糖値もだんだん高くなってきてるしなぁ。
なに言わすんだ。
マメちゃん。
うわぁその名前見たくない特に食事どきは。
だよな。
知ってる?課長最近俺の真似してここにヒゲ生やしてるんだよ。
知ってます。
あれ似合うと思ってるんですかね。
思ってるんだろ?俺に対抗意識が強くて困っちゃうんだよ。
ヒゲで対抗してもしようがないのにね。
ねぇ〜。
はい黒田です。
え?場所どこですか?わかりましたすぐ急行します。
事件ですか?マメちゃん。
愛妻弁当お預けだな。
もうひと仕事終わってやっと家に帰れると思ったのに。
あれ?黒さん自分のパンと牛乳は自分で片づけて…。
なんでも人にやらせてもう。

(サイレン)
(管)来た来た。
ご苦労さまです。
おぉカンちゃん。
(管)黒豆コンビの登場か。
略して呼ばないでくださいよ。
2人それぞれに名前があるんですから。
すみません。
出血多量か。
後部座席から首の動脈をやられてる。
かなり鋭利な刃物だな。
計画的ですねそんなもの持ってタクシーに乗り込むなんて。
あぁ。
何だこれ?ラジカセですね今どき珍しいな。
テープ入ってないですね。
そこにテープありますか?カンちゃん遺留品のなかにカセットテープなかった?いや。

(相沢)すみません…あぁ!大丈夫ですか!?ごめんなさいすみません!ありがとうございます!あ〜ぁ今日も家に帰れないのかよ。
娘が僕の顔忘れたらどうするんですか?大丈夫その顔は一度見たら一生忘れないから。
どういう意味ですか?別に意味ないの。
そのまんま。
一生忘れないのは黒さんの顔でしょ?それにしてもうちの課長人使い荒すぎですよね!
(神谷)誰が人使い荒いって?ベチャベチャしゃべってないで始めるぞ。
はい。
あれ君誰?あっはじめまして。
本日付けで配属になりました相沢みつ子と申します。
よろしくお願いします。
みつ子ちゃんか。
はい。
よろしくね。
はい!お願いします。
(神谷)被害者は柴田徳治タクシー運転手48歳。
死因は出血多量。
死亡推定時刻は昨日の21日午後9時頃だ。
タクシーの売上金3万4,300円が奪われてる。
車内に残されて判明できた指紋は被害者本人のも含め53人分だ。
この53人分の遺留指紋の確認を最優先とする。
被害者が乗せた乗客を乗務日誌からすべて洗い出し早急に指紋を任意提出してもらう。
以上だ。
(一同)はい!簡単に言いますよねぇ乗務日誌をもとにって。
53人分の指紋ですよ。
無線予約の客はなんとかなるけど流しの客捕まえるの大変ですよ。
死亡推定時刻が昨夜の9時。
とりあえずそれに近い最後の客から洗ってみるか。
運転手さんここ杉並の島畑記念病院までお願いします。
わかりました。
それから運転手さんちょっと寝るから着いたら起こして。
お客さんチップはずんでくれるんでしょうね!
(原)タクシーの客?はい。
この病院に勤務なさってる方か患者さんだと思うんですけどゆうべの7時35分頃病院の前から乗って有明スカイタワーズで降りた乗客の記録がありまして。
(原)あぁそれならきっと副院長先生です。
先生のご自宅は有明スカイタワーズですから。
あれ?マメちゃんが雑誌で見てたマンションと似てるなぁ。
そうですよあのいちばん高いマンション。
あっそうか。
はい。
今から行くとこそこの最上階ですよ。
嫌だねぇ高い所は。
すげえなぁ玄関からまるで高級ホテルじゃないかよ。
こういうところは玄関って言わないんですよ。
エントランスっていうんですよ。
(コンシェルジェ)お客さま失礼ですけどどちらへ?53階の島畑慎一郎さんのお宅へ。
警察の者です怪しいものではありません。
かしこまりました。
私のほうからご連絡いたします。
あっ…耳が…。

(玄関のチャイム)
(佳苗)はい。
下から連絡しました警視庁の者です。
どうぞ。
どうもすみません。
(佳苗)どうもご苦労さまです。
主人は今お客さまとお話をしているのでしばらくお待ちいただくかもしれませんが。
はい結構です。
あの…。
モデルの日向佳苗さんですよね?昔の名前です。
今はもうモデルの仕事はしてませんから。
どうぞこちらです。
知ってるのか?女性雑誌に出てたモデルさんですよ。
うちの女房なんか髪型とか真似してました。
あらぁ立派な水槽ですねぇ。
高いんでしょう?これ。
(佳苗)いえ私には…。
200万円くらいしますかね。
なにやってるんだ豆田さん。
すみません。
今日は何かのお祝いですか?
(佳苗)違います毎週木曜日はホームパーティーを開いてるんです。
ホームパーティーですか。
ちょっと失礼します。
あっどうぞどうぞ。
黒さんあそこの人。
なんだよ前の警視総監じゃないか。
今度の選挙に出るって噂もありますよ。
あっそう。
はい。
あの人モデルさん…Jリーグの選手もいる!僕サインもらおうかな。
仕事中になに言ってるんだよ。
はい…。
あれ?あの人俳優の…。
俳優?見たことねえな。
そうですか?いや絶対そうですよ俳優の…。
どうもはじめまして。
サインですか?書きましょうか。
はいいいですか?はいありがとうございます。
ここでいいですか?名前は?豆田と申します。
豆田…おもしろい名前ですね。
ありがとうございます。
はいありがとうございます。
あれあの…。
何か?ツートン?はい。
ツートンですツートン青木です。
またお会いしましょうお仕事頑張ってください。
ツートン?警察の方がお見えになってます。
(島畑)わかったちょっとお相手してて。
はい。
お待たせしました島畑です。
お楽しみのところ突然申し訳ありません。
いえ例のタクシー強盗のことだとか。
はい。
驚きました。
まさか僕が乗ったタクシーだったとはね。
(島畑)病院を出て客待ちのタクシーに乗って帰宅しました。
降りたのは9時ちょっと前でしたね。
ちょっといいですか?先生が降りたすぐあとに誰かがそのタクシーに乗り込んだということはなかったんですかね?いえ…それはなかったと思いますね。
あっそうですか。
大変失礼なんですが車内に残っていた指紋を照合しなければならないので任意提出というかたちでご協力願えませんか?わかりました協力しますよ。
どうもいろいろとご協力ありがとうございました。
いえいえどうです?よろしければシャンパンでも召し上がりませんか?ちょっといいものが手に入りましてね。
せっかくですが勤務中なものですから。
どうもお邪魔しました。
いや…えっこれ…。
あんなシャンパンもう一生飲めないんだろうなぁ。
情けないこと言うなよ。
どうせあんなのビールと一緒だ。
泡の出る酒だろう。
全然違いますよ。
(信代)柴田さん?はい。
以前はよくこの店に来てたそうですね?
(信代)以前はね。
半年前に私がお出入り禁止にしてやったのよ。
出入り禁止?だってあの人ご飯のときビール注文したりするのよ。
1杯だけでいいからって。
運転手が冗談じゃないわって追い出してやったわ。
奥井さん大根おろし大盛り。
(奥井)ありがとう。
あまりまじめな人間ではなかったようですね。
(奥井)刑事さん死んだ人間の悪口言いたくないけどさまぁ博打は好きだし女は好きだしあちこちに結構借金があったはずだよ。
そうですか。
あぁそれがさ2週間くらい前かな。
急に金回りがよくなってキャバクラおごるなんて言われてさ。
奥井さんそこまで言わなくたって。
なに言ってんの女将さん。
刑事さんたちは仕事で聞いてるんだろう。
協力するってのが市民の義務ってもんよ。
ね?ありがとうございます。
(奥井)あぁいいって…。
つかぬことを伺いますが柴田さんはいつも助手席にラジカセを置いてたんですか?音楽聴く趣味はなかったな。
カラオケは嫌いだったしまぁあの人が聴くのは競馬中継くらいなもんだようん。
競馬中継?気になるんですか?あのラジカセ。
競馬中継聴くんだったら車のラジオで十分だろう。
音楽聴く趣味のない奴がなんでそんなもの持ち込んだのかねぇ。
はい黒田です。
犯人を見たかもしれないという通報があったんだ。
すぐその目撃者のところへ行ってくれ。
場所を言うぞ。
はいわかりました。
マメちゃん目撃者が名乗り出た。
見かけた時間と場所覚えてる?
(辻)はい有明スカイタワーズのすぐ近くで昨夜の9時頃でした。
本当に事件にあったタクシーかはわかりませんが黒い車体だったのでユナイテッドキャブには間違いありません。
ちょっと危ない追い越しをかけられたんで覚えてるんですずいぶん乱暴な運転だなって。
時間と場所からすると被害者のタクシーの可能性が高いですね…。
そのタクシーに乗り込んだ客の顔は覚えてる?
(辻)帽子深くかぶってたんで顔は全然…。
(辻)髪はロン毛で若い格好をしてました。
髪の毛の長い若い男か…。
〜〜〜どうだった?みんなでしらみつぶしにあたりましたけど該当者ありませんね。
そうか…。
黒さんのほうどうでした?見当たらん…。
この帽子をかぶった髪の長い男がこの付近の住民じゃないとするとどっから来て柴田のタクシーに乗ったんですかね?明日も引き続き洗い出そう。
はい…。
じゃあ今日は僕はこれくらいで…。
えっ?帰るの!?家で妻と娘が待ってますから。
今日はこっちへ泊まったほうがいいだろう?明日朝早いんだし…。
いえ帰ります。
ちょっとでも顔見てあげると娘が喜ぶんですよ。
そういうことは時間があるときにやってあげたらいいでしょう。
いえ。
娘にとっても私にとっても今がいちばん大事なときだって妻からきつ〜く言われてますから。
そういう小市民的なこと言うなよ〜!僕小市民ですから!子供のころから大人になったら何になりたい?って言われたら小市民って答えてました!どう思う?マスター。
大の男が家庭に縛られてさぁ〜。
嫌でしょう?こういう客。
さぁどうっすかねぇ…。
(有線放送から流れる音楽)マスターおあいそお願いします。
(マスター)は〜い!これで…。
なんだ細かいのないの!?これ1枚しかない…。
じゃあちょっとくずしてくるから…。
あのくれぐれも割り勘ですよ!はいわかりました。
マメちゃん…。
はい?あのラジカセの中やっぱりテープが入ってたんじゃないか?えっ?ラジオなら車についてる…わざわざラジカセを持ち込むんなら当然何かのテープが入ってたはずだろう。
そうですねぇ…それなのにあのラジカセにはテープは入っていなかった…。
ホシが持ち去ったんじゃないのか?強盗のついでにテープも持っていったってことですか?時計とか指輪とか金めのものならわかりますけどねぇ…。
ホシにとっちゃ大事なテープだったのかもしれん…。
黒さん…その大事なテープってどういうことですか?なんでも俺に聞くなよ〜。
そのことを2人で考えるためにさこのあともう1軒行こうよ。
嫌ですよ〜!〜あれ?なんでこんなとこタクシーあるんだ?
(男)あれ…血じゃねえか?
(男)えぇっ!?
(男)警察に電話するから!
(パトカーのサイレン)カンちゃん!
(管)おう。
被害者は?
(管)橋口圭一。
このタクシーのドライバーだ。
(管)おそらく刃物で襲われたあと海に放り込まれたんだろうな。
ごめんなさい…。
ほら…海に向かって血痕が残ってるだろう?制服の帽子が海上に浮かんでた。
(管)被害者はまだ見つかっておらん。
じゃあ生きてる可能性もあるってことか?血液の凝固から見て刺されたのは13時間ぐらい前だ。
助かってたら病院に運ばれてるか警察にも連絡あるだろう。
黒田さん豆田さん…!これ見てください!有明スカイタワーズ…?前の被害者と同じ場所から乗せてますね。
これただの偶然とは思えませんよ。
黒ちゃんさこの子新人?あっあのね…こういうものを勝手に動かしちゃいけないの!どうもほんとにすみませんでした!これは鑑識さんがちゃんと指紋を採ってカメラで撮ってちゃんと現状を把握してから証拠品としてちゃんと保管する…。
黒田さん!凶器が出ました!!血液と指紋の照合急げ!
(男)はい!わかりました!
(神谷)2人目の犠牲者が出たようだ。
(神谷)遺体はあがってないが現時点で消息がつかめない以上絶望的だろう。
凶器のサバイバルナイフから今回の犠牲者橋口圭一の血液と前回の被害者柴田徳治の血液が検出された。
(神谷)つまり同じ犯人同じ凶器による連続タクシー強盗だ。
(神谷)なんだ?凶器にホシの指紋は?
(神谷)検出されてない。
ホシは手袋してたようだな。
計画的ということですね?
(神谷)あぁそういうことだな。
ホシは強盗目的でタクシーに乗り込んでる。
しかも我々の隙をついて前回と同じ場所からタクシーを拾って襲った!ホシはかなり挑戦的だということだよ。
はい…。
(神谷)いいか!?我々の名誉のためにも絶対に第三の犯行を起こさせてはならないっ!なんとしてもあの似顔絵の男を確保しろ!わかったな!!
(一同)はいっ!!黒さん…ホシはどうして二度目の犯行のときも同じ場所から乗ったんですかね?しかも同じ格好で…。
普通なら場所だけでも変えるもんだよなぁ…。
そうですよね。
ホシは本当に強盗目的でタクシーを襲ったんでしょうかね?
(信代)帰ってよ!マメちゃん…。
はい…。
(男)なめんじゃねえぞ!!
(信代)駄目駄目なんだから!どうしました?地上げ屋なんですよ。
地上げ?このあたりの土地を買い占めてね高層マンション建てたいんですって。
また土地は値上がりし始めましたからねぇ。
この店をたためば一生遊んで暮らしていけるなんてバカにするんじゃないわよ!一生遊べるんですか?二度と来ないで!私はね…この店をやってくのが生きがいなの!お魚を焼いて…コロッケを揚げて…お味噌汁作って…ぬかみそを漬けて…。
それをみんながおいしいおいしいって食べてくれるのが生きがいなの。
一生懸命働いて…自分のお金で生きていくのがまっとうな人間の暮らしでしょうが。
ああの…そのとおりです。
私の目の黒いうちは絶対にこの店を売らないからねってタンカ切ってやったわ。
ねぇ…これさ私の自慢のぬか漬けなの。
食べてみて。
おそれいります。
あっじゃあいただきます…。
おいしい!刑事さんたち…タクシー強盗の犯人を追っかけてるんでしょう?はい…。
その犯人…絶対に捕まえてくださいね!はい…。
亡くなられた橋口さんもこの店にはよく来てたそうですね。
えぇ…。
圭ちゃんはここへ来るといつもこの席に座ってたんですよ。
焼き魚と味噌汁と…ご飯は大盛り。
こう…手を合わせてね「いただきま〜す!」ってお魚を骨だけ残してきれいに食べて…「ごちそうさまでした!」って…。
(信代)いまどき珍しいいい子だと思ったわ。
橋口:おいしい!それで…あの子いくらとられたんです?被害額ですか…4万7,250円です。
そうか…5万円いかなかったんだ…。
5万円?あの子の月収はたしか…20万円ぐらいだったと思うわよ。
それ以上稼ごうとすると一日の売り上げ目標が5万円になる…。
正確にいうと消費税を入れて5万2,500円なんだけどね。
そこまで売り上げるとあの子このメンチカツを追加するの…自分へのごほうびだって言って。
(信代)いつだったかなぁ私が…たまには私がサービスするわよ!ってそう言ったら贅沢は自分の金でするもんだって…。
うちのメンチカツなんて1枚200円よ!でもそれがあの子の贅沢だったのねぇ…。
あの子は…小さいころ交通事故で両親を亡くしてるのよね…。
上京してからは…朝の6時から夜中の4時過ぎまで一生懸命働いてよ…どうしてそんな子が殺されなくちゃならないんですか。
刑事さん…必ず犯人捕まえてくださいね!必ず!!じゃなきゃ…あの子があんまりかわいそうで…!!〜必ず…捕まえます。
…お願いしますっ!
(吉沢)あ〜!例の連続タクシー強盗か!
(吉沢)物騒だよなぁ。
俺も怖いよ2人とも顔は知ってたから。
柴田さんと橋口さんと2人ともですか?えぇ。
…じゃ被害者の柴田さんと橋口さんもお互いに知り合いだったんですか?それはどうかなぁ?あの2人は会社も歳も違うし…。
柴田っていうのは競馬と女の話しかしない奴だったからなぁ。
橋口みたいな純な奴とは合わねえだろう。
どうもありがとうございました。
いいよいいよ。
黒さん…。
見た!?シルバーにブルーのラインの入ったタクシーに犯人が乗り込むところをですか!?
(富子)犯人かどうかはわかりません。
けどうちのマンションの人でないことはたしかです。
失礼ですけどどうしてそれがわかるんですかね?マンションに住んでる方のお顔はほとんどわかります!ごあいさつしなきゃなりませんのでね…。
あぁなるほど…。
それに格好がですね野球帽っていうんですかね?それとロン毛っていうんですか?こう…長くて…このへんでこうやってしばって…。
この人物ですか!?あぁ〜!そうですそうです。
ここの方こういう格好されませんから。
その男見たのは今回初めてですか?はい!それに…その人…。
どうしました?あすみません。
大丈夫ですか?いや大丈夫です。
いや最近ねちょくちょくめまいとか頭痛とかって歳は取りたくないですね。
まだお若いじゃないですか。
あいいんです。
そんなお世辞。
いやそれにねその人この季節に手袋してました。
(富子)いや私ねテレビのニュースってあんまり見ないんですよ。
だからね清掃の仲間が話してるの聞いて私びっくりしたんです。
すぐに警察へ届けようと思いましたらちょうど刑事さんが見えるって聞いて。
助かりました。
大きな手がかりになります。
そうですか。
それはよかった。
じゃあ。
大丈夫ですか?大丈夫です。
私押しますよ。
大丈夫大丈夫。
僕背負いましょうか?大丈夫…。
大丈夫ですか?藤本さん!大丈夫ですかしっかりしてください!マメちゃん救急車!はい。
先生!島畑先生!島畑記念病院まで。
島畑先生おい待てよ!人が倒れてるだろう!構わないから早く行ってくれ。

(足音)
(藤本)母が大変お世話になりまして。
お母様は?今息を引き取りました。
お仕事中なのにこんな時間まで。
いえ。
私の責任です。
働きになんか行かせないでずっと家にいればこんなことにはならなかったのに。
和仁の私の息子の将来のために少しでも役に立ててくれってあの歳まで働いてもっと楽させてやりたかった。
あの何て言ったらいいのか。
改めてご挨拶に伺います。
本当にありがとうございました。
〜どこ行くんですか?黒さん。
黒さんまずいですよ黒さん!
(コンシェルジェ)どうなさいました?53階の島畑さんに大事な用があるんです。
大至急開けてもらえますか?しばらくお待ちください。
今連絡しますから。
(島畑)そうですか。
お亡くなりになりましたか。
残念ですね。
残念?はい。
他におっしゃることはないんですか?あなた医者でしょう?医者が目の前で倒れた人間を見捨てていいんでしょうか?こちらにも大事な手術があったんです。
目の前で倒れた方も大事だが私の患者も大切だ。
違いますか?そちらの患者は病院の中でしょう。
医者なら何人もいるはずだ。
けどあのときあの人の近くには医者はあなた一人だけだった。
あなたが素早く処置してれば助かったかもしれないんですよ。
言いがかりをつけに来たのですか?言いがかり?言いがかりじゃないかなぁ。
約束もなしに訪ねて来てくだらないことを。
くだらないこと?人が一人死んでるんだぞ。
私の患者というのは前の警察庁長官で代議士の森田先生ですよ。
あなたたちの世界のトップだった方だ。
それがどがんした?人の命に代議士もなにも関係あるかい。
あんたあの人を見殺しにしたんだよ。
帰ってください。
私のしたことは何も法律には触れていないですよね。
法律に触れようが触れまいが人間として許されんことがあっとたい!命に順番があるのかえぇ?カネと名誉があるもんが先か。
どぎゃん人間でん平等に助けてやるのが医者の仕事じゃなかか!お前なんか医者じゃなか!帰ってください。
さもないと警察にいられなくなりますよ。
そぎゃんくだらんことしか言えんとか。
親の看板ばかりでいばりくさりやがってこの卑怯者が!これからな遺族のとこ行って謝れお前。
こい!謝れ遺族のとこ行って。
謝れ謝れって言ってんだこのバカ者が。
バカ医者!おいお前なんかな箸にも棒にもかからねえ人間のくずだよこのバカたれ!〜黒さん。
すみませんでした。
僕余計なことをしました。
すみません。
〜マメちゃん。
頭上げてくれよ。
謝るのは俺のほうだ。
よく止めてくれたな。
〜聞こえてたか君の部屋まで。
ええ。
明日警察庁の城田さんに電話するよ。
ああいう身のほど知らずにはきっちり社会のルールを教える必要がある。
その清掃の人あなたがいけば助かったかもしれないの?さあな。
さあな?
(島畑)いちいち気にすることはない。
僕たちとは違う場所で生きている人の話だ。
同じ場所だわ。
このマンションで倒れたんでしょう?あの人たちの言ってることのほうが正しいわ。
死にそうな人をほっとくなんて医者のすることじゃない。
黙れ!叩いていいのよ。
結婚してからそんなにむきになってくれたの初めてじゃない。
明日パーティーがある。
顔を腫らしたワイフを連れて歩くわけにはいかないだろう。
〜警察官がいきなり人の家にあがりこんで一般市民を怒鳴りつけるというのはどういうことだ!それにはやむにやまれぬ事情がありまして。
言い訳はいい。
島畑さんから上に厳重な抗議があった。
それもかなり上のほうだぞ。
黒田。
はい。
お前下手すりゃ辞表もんだぞ。
とりあえず正式な処分が決定するまで無期限の謹慎だ。
このヤマからもはずれてもらう。
課長。
わかったな。
はい。
〜こんな謹慎すぐに解けますよ。
休暇だと思って体休めてください。
そうだなしばらく休んでなかったもんな。
そうですよ黒さん。
こんなことでもないと休みとれませんよ。
そう思うことにするか。
あとのことは僕に任せてください。
黒豆コンビの名にかけて黒さんの分まで捜査しますから。
あぁ頼むよ。
僕たちは何があっても一心同体の相棒ですから。
黒さんが復帰するまで何日でも待ってますから。

(相沢)豆田さん。
はい。
今課長に呼ばれて黒田さんの代わりに豆田さんと組めって。
みつ子ちゃんが?
(相沢)よろしくお願いします。
こちらこそ。
黒さんみたいなおやじと違って捜査にも身が入るな。
そんなこと言ったら黒田さんに怒られますよ!黒豆は警視庁の名物コンビなんですから。
ちょっとちょっとちょっと座って。
いやここだけの話だけどね黒さんの頑固さはもうほとほと疲れるんだから。
これからはみつ子ちゃんと豆田でみつ豆コンビっていうのはどう?〜あごめんなさい。
いやいや。
やだぁ豆田さん何言うんですかもう。
やめてくださいよもう。
もう黒豆解消してみつ豆コンビ。
(笑い声)あぁっ!黒さんどうして?何があっても一心同体じゃなかったのか。
もちろんです。
みつ豆コンビ頑張ってね。
はい。
あすみませんごめんなさい。
〜みつ豆コンビを組んで1週間。
あいやもとい黒さんが謹慎処分を受けてから1週間。
捜査一課あげての必死の捜査にも関わらず連続タクシー強盗殺人事件の新犯人につながる有力な情報は得られなかった。
〜黒さん。
やっぱりここでしたか。
どうだみつ豆コンビうまくいってるかい?嫌だな冗談通じないんだから。
あんなこと本気で言うわけないじゃないですか。
何か釣れたんですか?捜査のほうはどうなってるの?行き詰まってます。
ホシにつながる新しい情報は何ひとつありません。
第三の事件が起きてないことだけが救いですね。
そうか。
今度の事件なんか妙だよな。
かなり綿密に計画してるんだがタクシー強盗なんてもともと計画性のない人間がやる犯罪なんだよ。
危険を犯して実行してもせいぜい稼ぎは4〜5万円だろう。
それでも強盗殺人となれば最悪で死刑まである…。
割りに合わない犯罪の代表だ。
そのとおりですね…。
綿密に計画を立てるヤツが連続タクシー強盗なんて矛盾してんだよ!最初から…。
僕もそう思います。
マメちゃん…。
このヤマはもう一回振り出しに戻って洗い直したほうがいいと思うよ。
…なんだよ?いや…やっぱり黒さんですね。
謹慎中もずっと事件のこと考えてたんでしょ?いやぁあの定食屋の女将さんと約束したからなぁ。
必ず犯人捕まえるからって…。
はい…ああ…。
日比谷から目黒だとだいたいいくらぐらいになりますかね?はい…平均して…。
あっ…2,000円…。
じゃあ…目黒から六本木だとどのぐらいになりますでしょうか?はい…1,500円…。
はぁ…わかりました。
いえいえ…ご丁寧にどうもありがとうございます。
はい…どうもありがとうございました。
じゃあ失礼します。
お疲れさまです。
ありがとう!もうこういうところが黒さんとは全然違うところなんだよなぁ!やっぱり黒豆やめてみつ豆コンビにしようね〜!さっきから何調べてるんですか?うん…事件当日の2人の被害者の乗務日誌。
場所と金額…確認してた。
はぁ…本当にマメなんですね…。
それでね…。
はい。
ひとつだけおかしいところがあるんだよ。
どこですか?一件目の被害者の柴田さんが島畑を乗せたときの記録なんだけどね…。
(相沢)例の病院の副院長の?被害者は殺される直前に杉並の病院から有明スカイタワーズまで島畑を乗せてるんだけど…。
時間も値段もかかりすぎてるんだよ。
普通だったら40分ぐらいで行くところを1時間15分もかかってる。
値段も倍近くだ…。
ああ…ほんとだ…。
でも…道路が渋滞してるってことも考えられるじゃないですか!それも調べた…。
事件のあった日は特に事故もなかったし。
あの時間帯にしては道はすいてるほうだった…。
変ですね。
うん。
(女性)おはようございます。
おはよう。
島畑先生!おはようございます。
少しお時間いただけますでしょうか?
(島畑)君はこの前の…。
先日は本当に失礼いたしました。
今日は例のタクシー強盗事件の捜査でまいりました。
もうその話は済んだだろう?職場まで来られるのは迷惑だね!殺された運転手の柴田さんとどんな話してたんですか?話…されましたよね?何を言っている?事件の夜…ここからご自宅の有明まで帰るって言ってましたが時間も料金も倍以上かかってるんですよ。
タクシーを遠回りさせて柴田さんと何かを話していた…違いますか?思いつきで勝手なことを言わないでください!あなたも処分されたいんですか!?顔色変わってましたね!カマかけたら図星だったみたい…。
ええ!あっ!えっ…どうかしました?黒さんに教えてあげなきゃ!えっ!みつ子ちゃん先に署に帰ってて!ええっ!?お昼ごはんおごるから!もうっ!そうか…それはにおうなぁ。
島畑と柴田の関係はただの客と運転手の関係じゃなかったのかもしれません。
テープだな!テープ!?例のラジカセから消えたテープだよ!柴田は何か…秘密の会話を録音してたんじゃねえのか?ほら!タクシーの中って運転手がいることつい忘れて会話に夢中になるってことあるだろう?なるほど!あのラジカセは音楽を聴くためのものじゃなくて客の会話を録音するためのものだった…。
ああ…。
そう考えると辻褄が合うんだよ。
マメちゃん。
借金で困っていた柴田の金回りが急によくなったってことの説明もつく。
誰かを恐喝してたってことですね?ああ…。
車内で録音した会話をネタに誰かをゆすっていた…。
タクシー強盗の本当の目的は金じゃなくてラジカセの中にあるテープだったんだよ。
恐喝のもとになっているそいつを取り戻すために柴田を殺した。
でもそれだと…二つ目の事件の説明がつきません。
凶器のナイフには柴田の血痕と橋口の血痕が残っていました…。
二つの強盗事件は同一犯の可能性が高いと思うんですけど…。
そこなんだよマメちゃん…。
柴田のことは想像つくが橋口が殺された理由がわからん。
柴田と違ってかなり評判のいい青年だったからなぁ。
もしかしたら…二つ目の事件の被害者は誰でもよかったんじゃないでしょうか?同じ凶器で2人のタクシー運転手が刺されれば売上金目当ての連続強盗だと思います。
最初の柴田殺しの目的がカセットテープだったとは気づかれない…。
なるほどね…。
僕もう少しあの医者に張りついてみます。
アイツきっと何かありますよ!若い帽子の男と接触するかもしれん。
はい…。
あっ黒さん…もしよかったらこれどうぞ。
僕の分も食べてください。
えぇ!?飯ぐらいゆっくり食っていけよ!あとでみつ子ちゃんと一緒に食べますから!えっ!?〜
(メールの着信音)〜黒さん…。
何してんですか!?交代!何が交代ですかっ!ちょっと…。
謹慎中に勝手に捜査してるのがバレたら本当にクビですよ!交代しないと尾行がバレるだろ!そうですけど…。
大丈夫だよ!ホシさえあげりゃ上も文句言わねえから!そんなうまくいくとは限りませんよ!大丈夫だって!はいはい…これでもやってろ!ちょっと…あっ!〜
(女)貸し切りは気持いいね!ねぇねぇ島畑さん!
(島畑)何かほしいの?うん…。
何買ってほしいんだよ?ピンクサファイヤの指輪。
いいなぁ…。

(足音)
(島畑)ごちそうさま!また来るね!ありがとうございました!またお待ちしてます!さっき誰にメールしてたんだよ?メールなんかしてないよ。
(女)汚い!
(島畑)いいからいいから…。
(島畑)やだね…今人間生きるのたいへんなんだよ。
(島畑)お前んち行くからさ!
(女)えっ今から?交代します。
ご苦労さまでした。
しかし…贅沢に暮らしてますねぇ…。
俺たちのひと月の給料を一日で使ったよな?はい…。
なんかもう…悲しくなりました。
あっマメちゃん。
はい。
女房は買い物からのお帰りか?ああ…。
…えっ!?銀座丸越デパートの袋です。
あのデパート…超高級品しか扱わないんですよ!へぇ…パンやネギまでデパートで買うのかよ。
しかもタクシーでですよ!経済感覚が全然違うんだなぁ…。
うちはスーパーの半額セールを待って買い物しますよ。
半額シールが貼られるまで何にも買いませんから!ハハハ…それが庶民ってもんだよ。
しかしあの夫婦…お互いに別行動だよな?言われてみれば…そうですね。
お帰りなさいませ。
〜おお!マメちゃん!なに!?島畑が殺された!?それはいったいどういうことだよ!?わかりません。
あっちの現場は沢居さんたちが担当してますから…。
ほんとにもう…こんなときに!俺だってそっち飛んでいきたいよ!島畑が殺されたのはきっとタクシー強盗事件と関連があります。
何かわかったらすぐに連絡しますから…。
本件はあくまでもタクシー強盗事件。
島畑の事件とは別物だ!はい。
それに…何かわかったら誰に連絡するって…?女房に帰る時間を連絡しようかなっと…。
…切っちゃった!
(沢居)鑑識の報告だとどこか別の場所で殺害されたあとにあそこから投げ落とされたらしい…。
(沢居)手すりには血痕が付着していた。
(片岡)死体をあそこから投げ落とすにはかなりの力がいりますよね?ああ…。
ゆうべですか?
(沢居)はい。
昨日のご主人の行動です。
一度家に帰ってきてそれからお酒を飲みに行くといって出かけました…。
(沢居)それはどちらへ?
(佳苗)わかりません。
私もいちいち聞きませんし…。
(片岡)失礼ですが…奥様は昨夜ずっとこちらに?ええ。
11時頃まで家にいました。
それからマリンスというワインバーへ…。
お一人でですか?はい…お店の人に聞いてもらえればわかります。
(沢居)黒さん!あっご苦労さん。
いやいや…ちょっと待ってください!まずいですよ!謹慎中じゃないですか!焼香するぐらいいいだろう。
故人とはちょっと縁があってな…。
聞いてます。
謹慎処分の原因となったってこと…。
すっごく心が痛んでな…。
手を合わせずにはいられないんだよ。
…なぁ!ちょっと待って!まずいって…。
(読経)
(佳苗の歌声)〜「ヨサコイヨサコイ」
(佳苗)「土佐の高知の播磨屋橋で」「坊さんかんざし買いよった…」「ヨサコイヨサコイ…」〜はぁ?島畑佳苗の過去を調べろって…?もう黒さん。
謹慎中の人間が堂々と指図しないでくださいよ。
え?高知?よさこい?どういうことですか?黒さ〜ん!いませんか?黒さん。
黒さん本当にいないんですか?わ!汚いな〜!マメちゃん!ご苦労さん!高知行って来ましたよ日帰りで!わかったか!?はい…いやその前にこの出張費は自前になるんですかね?大丈夫だよ!事件さえ片づきゃ2か月後には会計から出るから!あこれ黒さんお土産。
あぁそうか悪かったな。
本当に汚い!これなんとかしないとね。
いいよこんなの!もう掃除は自分でやるから!それよりどうだった?え?島畑佳苗は高知県出身か?はい。
高校までは高知市内にいましたが卒業してからすぐに上京しています。
それからこれはね…島畑佳苗の実家の近所で聞いたんですが彼女幼い頃はかなり苦労していますね。
6歳のときに漁師をしていた親御さんを海の事故で亡くしています。
それからは親戚に引き取られて育ったんですがそれでもかなりぞんざいな扱いをされています。
特にその家のおばさんには厳しくされてまだ小さいのに魚市場の掃除や新聞配達までさせられて家族の輪の中に入ることも出来ずにかわいそうにいつも淋しそうにしていたようです。
〜18歳で上京してモデルになってからは生活ががらりと変わってますね。
女性雑誌の表紙やCM有名コレクションのモデルとしてかなり人気が出ましたから。
で島畑慎一郎とは26歳のときに知り合ってそれからわりとすぐに結婚していますね。
黒さん。
黒さんは島畑佳苗を疑ってるんですか?佳苗にはアリバイがありますよ。
犯人は夜の11時過ぎに島畑をどこかで殺害し橋の上から芝浦運河に投げ落としています。
同じ時間島畑佳苗は六本木のワインバーで目撃されているしましてや彼女の力では死体を橋の上から投げ落とすなんてとても出来ることではありませんよ。
〜黒さん?〜マメちゃんちょっと出かけてくるからえ?掃除しといて。
自分でするって言ったじゃない!?土産食べてやる!橋口さんの車のバックミラーに…こんなもんがぶら下がってたんですけど。
(信代)これは…。
よさこい祭りのときに使う鳴子だわ。
あの子高知の生まれなんですよ。
私のこと東京のおっかさんって言っていつか必ずよさこい祭りに連れて行ってあげるって言ってくれたこともあったわ。
刑事さん。
犯人まだ捕まらないんですか?申し訳ありません。
(佳苗)「土佐の高知の播磨屋橋で」「坊さんかんざし買いよった…」黒さん!ここきちゃだめじゃないですか!?もうひとつだけな大至急調べてほしいことがあるんだよ。
なんですか?マメちゃん俺たちとんでもない思い違いしてたよ。
思い違い?あぁ。
今詳しく説明するからちょっと下行こう!下!〜
(相沢)大丈夫ですか?豆田さん。
そっちは大丈夫?
(相沢)はい!ごめんねこんなことに付き合わせちゃって。
とんでもない!あ私開けます。
いや大丈夫大丈夫。
開けられる。
すみません。
〜あ…豆田さん!ありました!これですよね!?
(相沢)その次の日もその次の日もあります!これだ!ちょっと行って来る!ええ?豆田さん!豆田さん!やっぱり黒田さんのほうがいいんですよね!黒さん!わかったか?はい。
黒さんの言うとおりでした。
ここここここ…。
これとこれとここ。
やっぱりそうだったのか。
はい。
なあマメちゃん。
はい。
あのてっぺんから下見下ろすとどんな気持になるんだろうなぁ。
天下を取ったような気分になるんじゃないですか?島畑佳苗は幸せだったのかなぁ?〜マメちゃんあとは頼むわ。
なに言ってるんですか。
最後の仕事が残ってるじゃないですか。
これ以上一緒じゃまずいだろう。
マメちゃんだってただじゃ済まねえよ。
わかってます。
下手すりゃ2人揃ってクビだよ。
娘さんまだ小さいだろ?ホシをあげればそれでいいって黒さんだって言ってたじゃないですか!タクシー強盗の犯人と島畑殺しの犯人を捕まえれば謹慎なんて一発でとけますよ!俺たちコンビじゃないですか!やっぱり無理だよマメちゃん。
あと頼んだよ。
〜出かけるぞ。
マメちゃん行こう!はい。
〜今日は珍しく自分の車ですね。
マメちゃん高速乗るぞ。
やっぱり動きましたね黒さん。
〜黒さんあの高速代出してください。
え!?高速代!持ってないの?700円700円。
600円しかない。
700円!!100円ない?100円。
ないないない。
なんだよ〜!高速代ぐらいもらっとけよ!1,000円1,000円。
すみませんお願いします。
マメちゃん見失うぞ!どうもすみません。
はいはい。
あ〜!みうしみうし…どこ…どこ行きました!?見えなくなっちゃったよ!えっ!なんだよここまで来て逃げられるのかよ!あそうだ黒さん!さっきの乗務日誌のコピー。
なに?バッグバッグ!オレのバッグに入ってる…。
あのねひとつだけ高速使ってた場所がありました!どこ!?高速って…。
3枚…3枚目ぐらい。
3枚目!?はいはい…。
〜橋口〜!!〜橋口圭一本人に間違いないな?すべてあなたたちが仕組んだことだったんですね?連続タクシー強盗に見せかけて柴田徳治を殺す。
柴田に恐喝されて金を取られたのは佳苗さんアンタだったんだね?そして帽子の男は橋口お前だった!全部私が1人でやったことです。
私が1人…。
もういいの!この人たちには全部わかってる。
佳苗さん訳を聞かせてもらえますか?最初は偶然彼のタクシーに乗っただけでした。
鳴子…。
運転手さん土佐?はい。
2年前に東京に来ました。
あれ?お客さんも?ええそれからお買い物にデパートに行くときはいつも彼のタクシーに乗せてもらいました。
そのなかでいろいろなことを話しました。
私たち同じ海を見て育ったってことも…。
同じ海?
(橋口)私は小学校のときに両親を交通事故で亡くして施設に預けられたんです。
(橋口)それで寂しくなるといつも1人で海を見ていた。
私の両親は漁師をしていました。
ある日父と母が小さな船で漁に出たとき高波にのまれて2人とも亡くなったんです。
それからはずっと独りぼっちで…。
引き取られた親戚の家では邪魔扱いにされて…。
つらくなるといつも海を見ていました。
私は桂浜。
彼は大浜…。
(佳苗)同じ土佐の海を見ていました。
(佳苗)ずっと見ていたら父と母が帰ってくるような気がして。
私たち…。
どこか似てるねって…。
それで…。
一度だけ彼にこの海に連れてきてもらったんです。
(橋口)私はだんだん佳苗さんに惹かれていきました。
(橋口)けれど絶対に手の届かない人だってわかっていた。
(橋口)自分とは住む世界の違う人なんだって。
(橋口)だけど佳苗さんは私と同じ海を見て涙を流していたんです。
その関係を柴田に知られたんですね。
風邪をひいて彼が仕事を休んだ日マンションの前で客待ちをしていたのが柴田のタクシーでした。
夜になったら部屋に行くから…
(佳苗)柴田はモデル時代の私を知っていました。
(佳苗)ラジカセは車内でお金になる話があったときいつでも録音できるように積んでいたんです。
(インターホン)はい。
(柴田)昨日乗っていただいたタクシーの運転手です。
はい?昨晩はご主人に隠れて彼氏の部屋に行きましたか?えっ?
(佳苗)脅されるままにお金を渡しました。
人に見下ろされるのはどんな気分だ?
(柴田)ええっ?
(柴田)お前たちはいつも俺たちを見下ろしてきたんだ。
(柴田)こんな高いところから…。
(柴田)道路で這いつくばって働く俺たちを見下ろしてきたんだ!こんな家に住みやがって…。
(柴田)人をバカにするんじゃねえよ!ほら!いやいや…〜
(橋口)たった1人しかいない大切な人を傷つけた奴が許せなかった!だからあいつを…。
柴田を殺そうと決意しました。
(橋口)彼女には何も言わず…。
私が1人で決めたことです。
980円です。

(柴田)うわ〜!
(橋口)彼女のテープは取り返さなければいけないと思いました。
柴田が島畑さんを自分のタクシーに乗せたのは偶然ですか?あの人は島畑からもお金を奪おうとしたんです。
私の浮気の証拠があるから買わないかと。
遊びじゃないわ。
私はあなたとは違う!
(島畑)それならそれでいい。
ただ人前では今までどおりの関係をつづけてくれ。
それが君の仕事なんだから
(佳苗)柴田が殺されたと知って島畑は喜びました。
本当にタクシー強盗の被害にあったと思ったようです。
なんで柴田を殺したあとすぐに出頭しなかった?私が彼を引きとめたんです!彼から柴田を殺した今から自首するって言われたときに…。
彼を失いたくなかった。
もしも他のタクシーがつづけて被害に遭えば警察は連続強盗事件だと考えると思って。
都合のいいことに彼の職業もタクシー運転手だったわけだ。
はい…。
彼が被害者に見えるようにあなたたちはひとつのトリックを思いついた。
あなたたちはマンションの近くで入れかわりわざと藤本さんから見える場所でタクシーに乗り込んだ。
車体と何時に乗ったかを証言されれば橋口圭一の運転するタクシーは連続強盗の被害にあったと思われる。
〜うまくだまされましたよ。
僕たちも橋口圭一は被害に遭って死んだものだと思ってしまった。
〜最後の仕上げで邪魔になった旦那も殺したのか?違います!私は島畑と別れて彼と一緒に逃げたかった。
島畑:佳苗!家に戻るんだ!明日高山先生のパーティーがある!もう嫌なの!あなたとは生きていけない!勝手なことを言うな!それを望んだのはお前だろ!離して〜!戻るんだ!うわっ!
(橋口)佳苗さんから連絡を受けて駆けつけたときにはもう…島畑さんは死んでいました。
そのときに思ったんです。
私は橋口圭一という人間はもう死んだことになっている。
だからどんなことがあっても疑われることはない存在だって。
お前が車で遺体を運びそれを芝浦運河で捨てる間に彼女を六本木のワインバーに行かせてアリバイを作らせた。
そうだな?はい…。
刑事さん…。
トロフィーワイフって言葉…知ってますか?トロフィーワイフ…?アメリカで成功した男の人は女優とかモデルとか…有名な女性を妻にもつんです。
愛してるからじゃありません。
壁のトロフィーと同じで自分は成功者だっていう証明なんです。
高級な自動車や腕時計と同じ…。
〜私は…彼のアクセサリーだった。
だったらなんでそんな結婚したんだよ。
もう…ひとりぼっちで海を見たくなかった。
〜貧しい暮らしだけはしたくなかった。
(佳苗)もう惨めな生き方だけはしたくなかった。
(佳苗)いつもきれいな洋服着ていつも…みんなから愛されたかった。
(佳苗)いつかお金持ちになってみんなを見返してやりたいと思った!〜
(佳苗)あの日父と母が亡くなった海で誓ったんです。
(佳苗)もう一人で泣くのはやめようって…。
(佳苗)絶対に…。
絶対に幸せになるんだって!私には…売れるものが…若さとこの体しかなかった…。
その二つを売って…モデルの世界でのし上がっていくしかなかった。
自分が…大切な何かをなくしてしまったこと…。
この人に会って…わかりました。
私は…人間として…売ってはいけない大切な心まで売ってしまっていた。
〜あのマンションもいちばん上で暮らすためだけに…。
それがわかったんなら…その時点でなんして逃げんかったとか!逃げ出せばよかったじゃなかか!あげん家は捨てて!貧乏だろうが何だろうが2人で生きていく道があったはずたい!あの定食屋の女将さん。
泣いてたよ…。
あの子はいい子だから必ず犯人ば捕まえてくれって。
でなきゃあの子がかわいそうだって…。
泣きながら俺たちに頼んでたよ。
〜俺はあの人に…なんて言えばいいんだよ。
〜圭ちゃん…。
〜謹慎中に勝手な動きをするっていうのはどういうことだ!申し訳ありません!豆田お前も同罪だ!ですがそれによって事件が解決…。
そんなことは聞いとらん!警察ってのはなひとつの組織なんだ!一人ひとりが勝手な真似をしたらその組織が揺らぐんだよ!
(黒田/豆田)はいっ!とりあえず…始末書を書け。
(黒田/豆田)はいっ!職務に戻って始末書を書け。
(黒田/豆田)はいっ!課長!私の謹慎処分は…?謹慎のままでは始末書は書けんだろ?…はっ?いいから…。
すぐに始末書書いて持ってこい!この度はご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした。
今回の事件のことは…。
よくやった!俺がヒゲ剃ろう!じゃあ!課長いいとこあるじゃない。
はい…。
事件解決したからですよ。
だから言ったでしょホシをあげれば大丈夫だって!じゃあ俺もヒゲ剃るか…。
ヘヘヘ…ほんとですか!?やっぱり黒豆コンビですね!さっさと片づけて帰ろう!みつ豆…どこいっちゃったんだろうな?あっちもこっちも立派なマンションが増えたね〜。
でも僕はもう少し小さくてもう少し都心から離れてていいです。
もう少しじゃないでしょ?マメちゃんの低収入でせいぜい買えるのは豆粒みたいなちっちゃな家で都心からはるか遠くに離れたとこでしょ?それでもいいんです。
愛する妻と娘がいてくれれば!家の大きさなんてどうでもいいんです!黒さんみたいに家族もいない人よりず〜っと…。
ちょっと待った!家族から電話ですから!家族から!誰です?娘からだ!もしもし!あぁお父さんだ!どうした?元気か?えっ…養育費のこと?大丈夫!このあいだちゃ〜んと振り込んどいたから!えっ?塾に行くから来月から養育費上げてほしい?お母さんがそう言えって?それで電話してきたのか?お父さんの声が聞きたいとか…そういうことじゃないのか?あっそう…じゃあ前向きに検討しておくってお母さんにそう言っといて!あそれからさぁ…!
(電話が切れる音)は〜あ…今の子はもう勉強が忙しくてかわいそうだよね〜!ねぇ。
マメちゃん。
はい?ちょうどこれから潮の時間がいいんだよ!ちょっと釣り行こう!いやいや…帰りますって!ハゼが待ってる!いや待ってないって!私娘待ってるから…!いや帰りますって…!〜2015/04/03(金) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「警視庁黒豆コンビ4 虚飾の塔」[字][解]

超高層マンション・セレブの危機!?元モデル美人妻に忍び寄る怪しい人影。タクシー強盗連続殺人!

詳細情報
番組内容
警視庁捜査一課刑事・黒田と豆田の“黒豆コンビ”が難事件を解決するシリーズ第4弾!ある日、タクシー運転手の柴田が刺殺体で発見された。車内にはラジカセが置いてあり、テープが抜き取られていた。続いて、またもやタクシー運転手の橋口が車に血痕を残して行方不明に。2人はそれぞれ「有明スカイタワーズ」という超高級マンションから客を乗せていたと判明するが…。
出演者
黒田憲造…大地康雄
豆田淳也…村田雄浩
神谷課長…西岡徳馬
島畑佳苗…雛形あきこ
赤城信代…冨士眞奈美
コンシェルジェ…野々村真
藤本富子…沢田雅美
島畑慎一郎…由地慶伍
橋口圭一…斉藤陽一郎
菅…山田辰夫   ほか
原作脚本
【原作】黒川博行
【脚本】安井国穂
監督・演出
【監督】長谷川康

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
解説放送あり
サンプリングレート : 48kHz

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