NHK高校講座 世界史「古代インド〜仏教とアショーカ王」 2015.04.03


マジカル・ヒストリー倶楽部にようこそ。
リーダーの眞鍋かをりです。
歴史を知れば旅はもっと楽しくなります。
今回も世界を旅して歴史を学んでいきましょう。
そして我が倶楽部のプランニング担当は…。
はい。
いつか眞鍋さんのように世界中を旅したい永松文太です。
今回文太君に与えたミッションは古代インドなんですがどんな歴史があるのかな?インドといえば仏教が生まれた国なんですよ。
そっか。
仏教はインド生まれなんだよね。
でも日本にも仏教のお寺とかいっぱいあるし古代インドとのつながりってあるのかな?お盆やお彼岸なども仏教行事ですよね。
そして縁起がいいの縁起や極楽律儀といった言葉も仏教用語なんです。
そうなんだ〜。
私たち今も普通に使ってるもんね。
そうですね。
いや何か身近な仏教がじゃあどうやって生まれたのか気になってきましたね。
それでは早速私が作ったマジカル・ヒストリー・ツアーに出かけましょう。
まずは今回のビューポイント。
仏教はインドで生まれ現在世界三大宗教の一つになっています。
今回のマジカル・ヒストリー・ツアーはその起源をたどる旅。
今回のビューポイントは…訪れるのは現在のインドを含む南アジアから東南アジアの地域。
時代は…まずは仏教の聖地インド東部のブダガヤ。
仏教誕生の背景を探ります。
そしてアジア最大の仏教国タイ。
仏教が世界に広がっていった様子をたどります。
仏教の歴史を知るマジカル・ヒストリー・ツアー。
さあ出かけましょう!古代インドって謎が多そうだけど何か面白そうだね。
そうですね。
眞鍋さんはインドには行った事ありますか?私はねインド一回もないんだけどでも旅好きな人に聞くとインドは一回行くとはまるって言うんだよね。
だからどんな秘密があるのか知りたいですね。
では早速ファースト・ビューポイント!いざテイクオフ!テイクオフ!今回のマジカル・ヒストリー・ツアーは仏教の聖地ブダガヤから。
ここにある世界遺産マハーボディー寺院は高さおよそ50m。
紀元前3世紀に最初の寺院が建てられました。
ブダガヤは…世界中から仏教徒が参拝に訪れています。
仏教はどのようにして始まったのでしょう?それを知るために時空を超えてインドの歴史をひもといていきましょう。
マジカル・ジャンプ!紀元前25世紀ごろインダス川の流域から都市文明が始まりました。
これが現在のインドの源流の一つとなるインダス文明です。
インダス文明は紀元前15世紀ごろまでには消えたと考えられています。
その理由は諸説ありますが今もって謎のまま。
その後アーリア人と呼ばれる人々がインドの北西部に入ってきて新たな文明をつくります。
アーリア人は更に東のガンジス川流域に移動し紀元前6世紀ごろにはいくつもの都市国家を生み出しました。
アーリア人が信仰したのがバラモン教です。
バラモン教では厳しい身分制度が考え出されました。
バラモンと呼ばれる司祭を特権的な地位に置き農民や先住民などは低い身分とされ最下層の不可触民に至っては身分を持たず触れると汚れを生むとされひどく差別されるようになりました。
そうした身分差別に反対して生まれた思想の一つが仏教です。
後のブッダです。
シッダールタは釈族の王子として生まれ結婚して何不自由なく暮らしていました。
しかし人生とは何か死とは何かに悩み29歳で生活を捨て出家しました。
そしてブダガヤの菩提樹の下でめい想に入りこの世の真理を得ます。
35歳の時でした。
それ以後シッダールタは悟ったものという意味のブッダと呼ばれる事になったのです。
ブッダは人間の価値は生まれや身分ではなく清らかな行いによって決まるという新しい教えを説いて回ります。
それは身分制度に苦しむ人々や女性に支持されたのです。
ブッダは80歳で生涯を終え集まった信者たちによってその教えがまとめられます。
これが仏教として確立したのです。
いや王子様だったのに出家して生活を捨てるっていうのがすごいよね。
なかなかできる事じゃないよね。
すごい覚悟ですよね。
でもさブッダが悟りを開いたのって何千年も前の事でしょ?それが世界中に広まってるっていうのが何でなんだろうっていうのが疑問。
そこで重要な役割をした人物がいるんです。
誰?それが…アショーカ王?ちょっと私初耳です。
彼が仏教をどのように広めたのか。
ここでセカンド・ビューポイント!いざテイクオフ!テイクオフ!続いては東南アジア最大の仏教国タイ。
世界遺産スコータイは仏教を信仰し手厚く保護したスコータイ王朝によって13世紀に造られました。
スコータイでは1万を超えるほほ笑みの仏像を見る事ができます。
インドを遠く離れタイにまで伝わった仏教。
そのきっかけをつくった人物がインドのアショーカ王なのです。
ここでマジカル・ジャンプ!アショーカ王は仏教誕生からおよそ300年後紀元前3世紀にマウリヤ朝の王族に生まれ3代目の王になりました。
王位についたアショーカは兄弟を皆殺しにしました。
邪魔者は全て殺したため…恐れられます。
更にアショーカ王は殺りくを重ねて近隣諸国を征服し南インドの一部を除くインド史上初の統一帝国を築き上げました。
しかし多くの犠牲者を出した事を振り返り心から後悔し始めたのです。
仏教の僧侶の説法を聴き心を打たれたアショーカ王は熱心な仏教徒になりました。
そしてそれ以降武力ではなくダルマによる政治を行いました。
ダルマとは仏の教えを取り入れた法です。
生き物をむやみに殺してはならない父や母に従い周りの人に礼儀正しく振る舞うといった教えです。
アショーカ王はダルマの教えをライオンの彫刻を施した柱に刻みインドの各地に建てました。
更に人々が仏教の聖地を参拝しやすいように道路を造り国土を整備しました。
アショーカ王の死後仏教はアジア各地に広がります。
インドの南東の島スリランカ。
現在でも10人のうち7人が仏教徒という仏教の盛んな土地です。
仏教は中国韓国を渡りアショーカ王の死後からおよそ900年を経た6世紀には日本にも伝わります。
そして13世紀ごろ東南アジアのスコータイ王朝にまで仏教は伝わったのです。
現在仏教徒は世界におよそ4億人いるといわれています。
アショーカ王って最初は仏教の教えと真逆の事やってたのにね。
心打たれてやっぱり広めるようになったんだね。
ちょっと今更感がありますけどね。
そうだね。
でもさその仏教を広めるための手段として使ってた石柱?あれは今も当時のものが見られるの?そうなんですよ。
今インドではあちこちで見られるんですが…。
あるんだ〜。
こちらをご覧下さい。
あっこれがそう?これが石柱の上の部分になってます。
これライオンだよね?はい。
そしてこちら。
これがインドの国章です。
同じですよね。
もうこのまま使われてるんだ。
そしてそしてこちらがジャジャン!インドの国旗です。
同じ部分がありますよね?あっ見つけた!ここでしょ?そうなんですよ。
この石柱のライオンの下にあるマークが国旗にもあしらわれているんです。
へえ〜。
すごいね。
アショーカ王今のインドにも影響を与えまくってますね。
そうなんですよ。
いやでもね私一つちょっと疑問なんだけど…何か仏教っていう感じあんまりしないんだけど…。
そうなんです。
だよね。
それでは最後のマジカル・ヒストリ−・ツアー。
サード・ビューポイント。
いざテイクオフ!テイクオフ!マジカル・ヒストリー・ツアー最後はインドの世界遺産…11世紀から12世紀にかけて造られました。
寺院に祭られたシヴァ神。
破壊と再生をつかさどるヒンドゥー教の神です。
カジュラーホの寺院群にはヒンドゥー教の神々が祭られています。
その中にはなんとブッダの姿もありました。
ヒンドゥー教の寺院になぜブッダが祭られているのでしょうか?ここで5世紀ごろのインドにマジカル・ジャンプ!5世紀ごろバラモン教は土着の宗教を取り入れてヒンドゥー教に変化していきました。
また仏教徒を激しく攻撃しその力を弱めさせました。
仏教徒はヒンドゥー教に吸収されていきます。
ヒンドゥー教には3億3,000万もの神々がいるといわれます。
現在のインドでブッダはその中の一人として数えられる事もあるのです。
現在のインドは8割以上がヒンドゥー教徒です。
仏教徒は1%に満たないのです。
あのブッダがヒンドゥー教ではその他大勢に入っちゃってるんだね。
そうなんですよね。
ちょっと影が薄くなっちゃってましたけどね。
いいのかなと思ったけど…。
いやでもね私ちょっとやっぱ気になるのがあれだけ広まっていった仏教がそう簡単にヒンドゥー教に押されていったとは到底思えないんだよね。
だからあのビューポイントではまだちょっと納得はできないかな。
ちょっとそこは私の力不足ではありますね。
ちょっとすいません。
いや〜気になる。
でもこんな時は我がマジカル・ヒストリー倶楽部の歴史アドバイザーをお呼びしましょう。
水島先生お願いします!はいこんにちは。
こんにちは〜。
水島です。
よろしくどうも。
よろしくお願いします。
いや〜先生に教えて頂きたいんですけれども何で仏教はインドで生まれたのにインドで衰退してしまったのかこれが不思議です。
きっとそういう質問があると思いましてこれを持ってまいりました。
まずですね外的な要因があるんですね。
一つはバラモンから仏教徒に対して非常に激しい攻撃があった。
あちこちで論争を起こします。
それで自分たちの方がより正しい自分たちの方がより正しいという形で激しい戦いをする訳ですね。
その中でバラモン教自体も少し変わってきます。
このころから王権と結びつく。
それから人々に対して自分たちの教えを広めようという態度も出てくる。
その事によって王権とそれから人々の民衆のサポートを得られるようになってくる訳ですね。
これが第1の外からの要因です。
なるほど。
(水島)それから2つ目は内的な要因ですね。
仏教の僧たちの生活を支えていたのは商人たちだった訳ですね。
でこの商人たちが実は6世紀ぐらいからインド全体が経済活動が沈滞化していって暗黒の時代と呼ばれるようになってくる。
そうしますと仏教の信仰活動をやってた人々を…仏教の僧たちを支える事ができなくなってしまう。
なるほど〜。
そういう事になりますね。
お金がなくなってったんですね。
はい。
それからもともとの仏教を信仰している僧たちはどういう形で信仰生活を送ったかというと人里離れた山の中とかですねあるいは森の中とかあるいは洞窟の中とかっていうところでやってた訳ですね。
そうしますと人々を救おうとかそれよりはむしろ自分たちが信仰の中で救われていこうというそういう欲求が非常に強くなる。
バラモン教の方がどんどんどんどん民衆とか王権に近づいていったのに仏教を行う僧たちはむしろ…。
離れてっちゃった。
離れてってしまうという。
そういう意味では社会からのサポートがどんどん得られなくなっていったという…。
この2つが絡んでると思いますね。
なるほど〜。
リーダーが納得してくれてよかったです。
いやふに落ちました。
それはよかった。
じゃあ引き続き水島先生に興味深いお話聞いていきましょう。
先生お願いします。
はい。
ここにパネルを用意しました。
これはインド発祥の宗教が周辺の国々に与えた影響を示したものです。
ミャンマーのパガンタイのスコータイは仏教遺跡で現在国民の多くが仏教徒です。
ガンボジアベトナムも仏教徒の多い国ですがアンコールワットミーソンというヒンドゥー教の遺跡が残っています。
現在イスラームの人々が多いインドネシアにもボロブドゥールという仏教遺跡がありインドからの影響が見られます。
でもこうやって見ると面白いですね。
インドで生まれた仏教がむしろ周りの国で今も盛んに信仰されているっていうのは…。
そうやって周りで仏教が発達していった陰にはインドの仏教徒はもうほとんどいなくなってるんですか?そうなんですね。
先ほど0.8%という数字があがってたと思いますけれども実は一度完全に仏教徒はいなくなります。
ほう。
その0.8%がどういうところから出てきたかというとインドの独立運動の時。
この時に不可触民の差別に反対していた方がですね不可触民たちをなんとか仏教の力で救いたい。
身分的な差別から解放したいという事で非常に大きな運動をされた訳ですね。
それで多くの人たちが仏教徒に改宗した新仏教徒と呼ばれていました。
まあ仏教の持つ…最近になってじゃあまた盛り返してきたっていう…。
少しずつですけど盛り返してますね。
なるほどね〜。
先生どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
でも仏教の世界遺産っていうのは東南アジアだけじゃなく日本にもたくさんあるじゃないですか。
だから今度お参りした時にはちょっとアショーカ王の事をどっか頭の片隅に…。
是非お願いします。
思い出してみようかね。
はい。
2015/04/03(金) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 世界史「古代インド〜仏教とアショーカ王」[字]

歴史を知ると、旅はもっと楽しくなる!歴史の舞台となった世界の観光スポットを訪ね、隠された謎に迫る。仏教発祥の地・インドから、アジア諸国になぜ仏教が広まったのか。

詳細情報
番組内容
魅力的な時間旅行のプランを提案する「マジカル・ヒストリー倶楽部」で、世界史の舞台を旅しよう!今回のミッションは「古代インド」。紀元前6世紀にインドで成立した仏教は、のちに中国や韓国、東南アジアへと広まっていく。インド国内では仏教が衰退する一方で、なぜ周辺の国々では受け入れられ、定着していったのか。日本とも関わりの深い仏教伝ぱの謎をひも解く。【出演】眞鍋かをり、永松文太
出演者
【講師】東京大学教授…水島司,【司会】眞鍋かをり,永松文太

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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