くらし☆解説「変わる健康食品の表示」 2015.04.03


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは「くらしきらり解説」です。
きょうのテーマは変わる健康食品の表示です。
健康食品などに対して国の認可を受けなくても肝臓の働きを助ける、のような担当は合瀬宏毅解説委員です。
合瀬さん、まず国の認可がいらないというのはどういうことなんでしょうか。
合瀬⇒サプリメントとかドリンク剤などいわゆる健康食品のパッケージを見てみますと例えば目覚めすっきりだとかみずみずしい若さを保ちたいとか何となく効きそうだという感じはしますよね。
ところが肝心の体のどこに効くのか書かれていないんです。
それは国が健康食品に対してそうした表示を禁止しているためなんですが今回、国はこうした表示を企業の責任でできるように規制緩和を行ったということなんです。
どのように表示できるようになるんでしょうか。
例えば肝臓の働きを助けるだとか骨の健康を保つ、それに目の調子を整えるなど体の具体的な部分を使って効果を表示することができるようになりました。
こうした健康食品機能性表示食品と呼ばれて事業者は学術論文などの科学的根拠があれば国に届けるだけでこうした表示ができるようになります。
表示もずいぶん様変わりしそうですね。
しかも今回サプリメントなどの健康食品だけでなく生鮮食品や加工品まで対象になります。
ここはみかんの産地として有名な静岡県の浜松市です。
2003年から地元の大学などと共同で地区の健康調査を行いみかんに含まれるベータクリプトキサンチンという成分が骨や肝臓にいいというデータを得たというふうになりました。
JA三ヶ日農協では骨や肝臓の健康を保つなどの表示を検討しており、これでみかんの売り上げを伸ばしたいと考えています。
事業者としては消費者に効果を訴えやすくなるということなんでしょうか。
これまでもトクホや栄養機能食品という制度はありました。
それは国がある程度コントロールしていたんです。
ただ今回トクホについては審査に数億円というコストと長い期間が必要であるということですとか栄養機能食品に表示できるのは国が示したものに限られていました。
事業者にとっては使い勝手が悪かったということなんです。
そこで新たな制度ができたというわけなんですね。
そうなんです。
今回の制度は科学的なデータがあれば企業がみずからのデータで機能性の表示ができるというふうにされましたので第3の制度なんです。
事業者だけでなくスーパーなどでも専用の棚を作るなど市場が拡大するという期待はすごく強いんです。
しかしどうして今回、規制を緩和したんでしょうか。
安倍政権が健康食品の市場拡大を成長戦略の1つに位置づけているんです。
消費者委員会が2012年に行った調査によりますとサプリメントなどの健康食品を利用している人は国民の60%におよび、健康食品全体の市場規模は、いまや1兆8000億円になっています。
確かに使っている人が多いですね。
ところが一方で表示が分かりにくかったんです。
そこで政府の規制改革会議が2年前に健康食品の表示をもっと分かりやすいものにしようという提言をしました。
消費者が健康食品を適切に選択できることで医療費削減につながる。
また、日本製の健康食品は海外などでも大変人気が高いですから輸出など市場拡大が期待されるとして安倍政権も強く後押ししているんです。
ただ分かりやすいのはもちろんいいんですが肝心なのは信ぴょう性や安全性だと思いますけれどその点は大丈夫なんでしょうか。
今回は国による事前審査からあとからチェックするという行政の大転換なんです。
消費者としては企業に任せるわけですから安全性や機能性は科学的に本当に保証されているのかとか問題があった場合に国はどういう対応をしてくれるのか、これが大変重要になってきます。
そもそも機能性表示食品になるにはどのような仕組みになっているんですか。
消費者庁のガイドラインによりますと安全性や機能性について臨床試験をするか、国内外のデータベースなどから研究レビューをそろえて発売の60日前までに消費者庁に原材料名だとか一日当たりの摂取の目安量それに表示名などと合わせて届け出を行うというふうにされているんです。
消費者庁はその申請された内容をホームページで公開するということになっています。
とはいっても内容がかなり専門的ですから事業者には消費者にも分かりやすいような表示をまとめてくれと求めています。
消費者はホームページを見てその商品を買うかどうか決めるということになります。
書類の内容が科学的に効果があるものかどうかというのは消費者庁が判断するということなんですか。
消費者庁は書類に不備がないか審査するだけなんです。
事前の審査はしないということになりました。
消費者庁としては発売までの60日間の間に消費者庁のホームページなどに安全性などの資料載せる、ということになっていますのでもし専門家などから違うんじゃないかとか相手のライバル企業あたりから違うんじゃないかという疑問が寄せられた場合その疑問に申請者に説明を求めるということになっています。
製品が発売されたあとに問題があれば、消費者庁は回収などの指示や命令を出して改まらない場合には1年以下の懲役または法人であれば1億円の罰金が科されることになっています。
これで安全性ですとか機能性は担保されるんでしょうか。
消費者としては不安ですよね。
今回の制度、アメリカの法律を基に作られたものなんです。
確かにアメリカではこの制度もあって健康食品の市場がすごく大きくなったんです。
ところがアメリカ政府が2012年にダイエット食品などの商品127の表示の妥当性を調べたところ企業が提出したデータのうち有効性の実証で考慮すべき要件が満たされていたものは1つもなかったんです。
制度を検討していた消費者庁の検討会で明らかにされました。
このためアメリカ政府としては科学的な根拠が不十分な製品が流通している可能性があると指摘しているんです。
こうしたアメリカの状況を考えますと日本政府には問題があるものに対する対応を本当にしっかりやってもらわないと困るというふうに思います。
この機能性表示食品、いつごろ出てくるんでしょうか。
1日から届け出が始まりましたので60日後の6月ぐらいから商品が市場に出回ることになります。
今回の制度を使った商品なんですが商品には機能性表示食品と書かれるとともに同時に消費者庁長官による個別審査を受けたものではありませんという文言を書くことになっています。
国が保証したものではないですよということが書かれているんですね。
ずいぶんこの場合は小さく書かれていますね。
国としてはこれは保証したものではないということを強く言っているわけです。
逆にいいますと、今回の制度というのは商品選択を消費者がみずから情報収集して判断しなくてはならないという仕組みになっているわけなんです。
ただ安全性や有効性を調べるためには消費者庁のホームページを見なくてはいけません。
ホームページには今のところ情報を出しなさいということは決まっていません。
ですからパソコンを持っていない高齢者などはホームページを見ることもできません。
健康食品はただでさえ値段が高いものもありますので消費者としてはすぐに表示に飛びつかないでちょっと様子を見たほうがいいのではないかと僕は思っています。
しっかりと自分で判断しないといけませんね。
合瀬宏毅解説委員でした。
次回は寒川解説委員とともにお伝えします。
ぜひ、ご覧ください。
2015/04/03(金) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「変わる健康食品の表示」[字]

NHK解説委員…合瀬宏毅,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…合瀬宏毅,【司会】岩渕梢

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ニュース/報道 – 解説
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