私のリュックひとつ分「矢野顕子」 2015.04.02


これかあ。
この大きさか〜。
うわ〜。
これが5個とかじゃないんですね。
1個だけですね。
あ〜迷うなあ。
これでどうだ?ちょっと入んないじゃん…。
リュックひとつ分の持ち物の中にその人が見えてきます。
ちっちゃい。
戻れない旅ねえ…。
ここに入るだけね?はあ〜困っちゃうなあ…。
あっ聖書は毎日読んでるんで。
ちょっとずつですけど。
あお財布っていうのもあるよね。
「おさいふ」。
「おさいふとお金…」。
やだ〜なんか非常持ち出し袋みたいになってきた。
分かった!これがないと結構大変!「老眼鏡」って書くの嫌じゃない?なんか。
これ大体今持って歩いてるもんですね。
そういえば旅先で…。
持って歩いているというか日本に来る時に。
だからまあこれが基本かなもしかしたらね…な感じ。
「必要なものは多いようで少ない」。
必要なものは多いようで少ない。
自分にとって本当に大切なものを見つめる事はやってみると意外に難しそうだ。
生きるために必要なものだけではないのかもしれない
あ〜バラが咲いた。
どうかしら匂いどうかしら?いい匂い!わあちょっとうれしいじゃない?ほら。
ありがとう。
今日は5月28日月曜日。
そっか1週間たったんだね。
やっぱり携帯電話はさあ携帯電話と…。
あ〜迷うなあ。
う〜ん…。
それからさあ…はあ〜。
何か駄目だわどんどん増えちゃって。
無理選べな〜い。
え〜たったこれっぽっちかぁ!いや〜なんか…1週間前には「軽いこんなもん!」なんて思ってたのに実際にものを目の当たりにすると結構難しいです!え〜っとね今私がね心から大好きなシューベルトの譜面を持っていこうかと思って。
本当はベートーベンとシューベルトは全部持って行きたいんだけど重い。
でベートーベン厚いんでごめん。
だからどうしようかなあと思うんだけど…。
2の中に弾けないんだけど好きな曲があるんでこれはもうこれで。
あった。
歌詞とかを書いてるやつなので。
これは曲を大体書くものなんですけれどすごい汚いです。
何年も使ってたアメリカ製のやつがあるんですけど大きくてもうそのノートじゃないと書けないと思ってたんですけどそれがなかなか手に入らなくなって。
日本製のこういうので間に合わせで買ったら十分使えるって事が分かって。
だからね何でも「これで…ねばならない」ってものをどんどん自分で破壊していくのが快感ですね。
そういう事したらピアノはどうするって事もあるわよね?小さい時に使ってたピアノ買ってもらう前に紙で88鍵はないと思いますけどほんとに紙に鍵盤が書いてあってそこでこうやって当てて練習するっていうのがあったんですけど。
だけど例えば1か月ぐらい洞窟で生活しなくちゃいけないとなった時にこううずくわけですよねきっと。
そん時にちょっと紙鍵盤とかあったらさ…。
練習なんかしないかきっと。
私の事だから多分。
いいやそれは。
譜面を読む時用に作ってもらった度数のreadingglassesなわけです。
もともと私は極度の近視なんです。
それでその上年を取ってきて老眼になっているのでものすごい複雑なのね。
この辺を見る時と楽譜はこの辺ですからそれを見る時と遠くを見る時と全部替えなくちゃいけなくて。
というわけで眼鏡がいっぱいあるのよ。
もうね増えちゃって。
それから何だっけ?やだこん中に…。
あったあった。
あ〜もう入ってないかな?あちょっと入ってる。
ちいちゃん食べる?
(鳴き声)ジュネーブから来て下さったファンの方がお土産にって下さったの。
すごくおいしいんですよ。
だからケチケチケチケチ食べてるの。
これは自分がよく聴いた…。
あこれだな。
これでしょ。
ビル・エヴァンスというジャズのピアニストで高校生ぐらいの時からよく聴いています。
あっほら思い出にまつわるものありましたよ!アソシエイションっていうバンドで小学校の時から私が好きで。
英語なんか分かりもしないくせに。
しかもこのバンドのドラムの人に私は12歳の時にファンレターを書いて2回出して2回ともお返事もらったの!そう何書いたんだか全然!どうしてなんだろうと思うんですけど。
テッドという名前でしたね。
ちいちゃん持って行きたいんだけどなあ。
猫が持ってけないわけだから…猫連れてきますからね。
ちょっと待ってて下さいね。
そして代わりの猫…。
これでどうだ?ちょっと入んないじゃん。
無理じゃん。
ブーツはさ履いてけばいいのよね。
でもさこれはさ…これレコーディングの時とかに今一番この何年か重宝してる。
これだとうまく弾けるような気がするんですよ。
そしてこの子たちをどうするかです!どうしよう…。
これはキンバリーです。
こちらはエスターっていう名前なんですけど彼女の方が年上です。
25〜26年ぐらいいるかもしれない。
「言わないで下さい!」。
このメーカーは解剖学的に作るんですって。
ちゃんと骨とか肉のつき方が…。
だから普通のぬいぐるみじゃない感じなんですよね。
あと日本でツアーしてる時に時々バッグの所にこう入れてちょっとここだけ出してそれでこう歩いてたりすると大体この辺の目の高さにいる子供が「はっ」ってこう見るのが楽しみです。
(取材者)ちいずにも似てますね。
ちいちゃんそう?じゃあこれでしょう。
でもさあもしかしたらあなたたちどちらか1人かもしれない。
どうする?どうしよう…。
今日住み慣れた家を出たら二度と戻れないかもしれない。
これは絶対にありえない事ではないだろう。
たとえどこに行ったとしても私が私でいられるために本当に必要なものだけをリュックに詰めよう
「愛は」っていうのあっここからだね。
「愛は辛抱強く親切です。
愛はねたまず自慢せず思い上がらずみだりな振る舞いをせず自分の利を求めず…」。
「すべての事に耐えすべての事を信じすべての事を希望しすべての事を忍耐します」。
そして「愛は決して絶えません」。
いいじゃない?でもやっぱり一番最初に愛は「辛抱強く」かよっていう。
ここがやっぱり私は何度読んでも…「な〜んだそうか」と思いますね。
愛する対象っていろんなものがあるじゃない?夫であったり子供であったり親であったり犬であったり…。
その人たちを自分が好きなように支配してそして自分の都合の良いようにしてくれれば一番話は簡単かもしれませんけど大体そうはいかないのよね。
という事はどっかで必ず自分が譲ったり我慢したり忍耐しなくちゃいけない事があるわけですけれどもまずそこにそれがあってそこから始まるよっていうふうに私は思うんですけどね。
今の私たちにもねいまだに「あっほんとだ」って思えるからなかなかそういう実用書としても私はすごく使っています。
え〜っとこれがここでしょ…。
これがね眉毛のペンシルでしょ。
眉毛がないと皆さんにとても失礼な事になるので。
入れて…震災の時もねそういう避難所にいる方のインタビューで……って言ってた時に「ほんとだ!」ってすごく思った。
なので私は持っていきます。
ちょっと窮屈だけどごめんね。
は〜やったじゃない!ほら。
よかった欲出さなくて。
十分出してますけどね。
ごめんねちょっと出て。
じゃあほら収納術であるじゃない。
こうくるくるってしていくといっぱい入るってやつ。
そして…。
入るかな…ちょっと待ってね。
ちょっと待ってね。
どうしよう。
どうしよう…どうしよう。
苦しいよね。
閉まればいい…ちょっとこうする。
あっ上から蓋があるんだ。
いけるんじゃない?いけるんじゃない?ほらこれをねだからこれで…。
ええい!あっ…緩めちゃえばいいんだ。
よし。
どうだい。
考えたんですけどね。
アルバムとか。
ちょっと写真持って行きたいな持って行くのが普通かなと思ったんですけど。
写真って写真だもんね。
写真…写真っていうのは見てそこから脳がその時の「あっこうだった」とか「この時何か食べたなぁ」とかそういうのを記憶をそこからひもといていくっていうか。
それの対象じゃない?だから例えば死んだ母親の写真とかって別になくても思い出せるし。
それよりだったら自分の脳とか心を守った方が大切かなぁって思いました。
どうしたら…どうしたらいいんだろう。
よいしょ…ああっ重い!重い!でもでも歩けないかもしれない。
こうやったら…大丈夫。
大丈夫な事にします。
少しのものがあればいいのか。
たくさんのものを所有するのはいけない事なのか。
リュックに詰めたものだけで暮らせるのか。
リュックの中のものは私を幸せにするのか。
分からない。
分かんない
でもいい。
とにかく出かけよう。
出かけよう
ここはもう音楽を作るしかないそういうような所なのでとにかく外的な要素が入らない音楽だけに集中できる所です。

(ピアノ)これもいいでしょ。
このグラスの感じが。
は〜いい匂い。
そこから世界が作れるっていうか何となくそういう感じがします。
匂いをこう…。
自分の空間みたいにしますね。
・「ラーラララーララララララララ」こういうふうにこう声に出す時もありますし出さない時もあるんですけど。
例えばゴッホの絵とかさ。
ゴッホの絵を…もしうちにあったとしたら毎日毎日見てもきっと違う…違うというか何かのものが自分の気持ちと絵との間に生まれると思うのね。
そういうようなものかな。
なんかね見てるだけで何となくほわんと幸せになります。
日本語で何て言うのか分からないんですけど「FeelGoodmovie」って言われる。
つまり見たあとに「あ〜よかった!」ってそういう気持ちでハッピーな気持ちで映画館を出られる。
そういう映画ですね。
必ずしも映画がそうであるべきだと私は思ってないんですけどもでも考えてみると繰り返し見る映画っていうのは何かやっぱりそこにあるんじゃないかな。
「よかったね」っていうふうに言える…。
あっあの猫ね。
もちろん猫入れたい。
何かの時に多分これらを一個一個集めるよりも猫をガッと持って恐らく行くと思うんですが。
彼は私のために生きてるわけじゃないんで。
でもものっていうのは…まあこっちの方がいいかな。
でもこれがあれば幸せってわけでもないのよ。
う〜ん難しいねはい。

(ピアノ)「ものってなに?物とかモノ。
ちょっとずつ違う。
ものは者にはならない。
者には命が宿るからね。
そもそもものと命は比べられるものなのか?TVの中で強盗におそわれた人は全部あげるから命だけは助けてくださいと言うではないか」。
「自然災害で否おうなく所有物を失った人は?火事で焼け出された小学六年の同級生の藤村さんはアルバムが持ち出せなかったと泣いていたっけ。
どうする。
どうする。
わたし」。
なぜかバナナ。
バナナはねとにかく持って歩くんですよ私。
1本これさえあれば死なずに済むっていう何か信仰に近いものがあります。
子供を育ててる時もとにかく何かあった時にバナナむいて子供の口に突っ込めば何とか…ね。
ギャアギャア泣いててもおとなしくなるっていうのもありまして。
はい。
やっぱり欲しいかなと思って。
いつも持って歩いてるものは何だろうって考えたら「バナナだ」。
リュックひとつで町から町へねぇ。
理想としてはどこでも暮らせるっていうのがねできたらどんなにかいいだろうと思いますけど。
決まった先でこれらが必要っていうんじゃなくてどこでもこれがあれば自分のとりあえずの…結構気に入ってます。
ウフフ…。
2015/04/02(木) 23:00〜23:30
NHKEテレ1大阪
私のリュックひとつ分「矢野顕子」[字]

もしリュックひとつ分だけのものしか所有できないとしたら、あなたは何を選ぶか?本当に大切なものを見つめ直す新趣向の番組。ミュージシャンの矢野顕子が選んだものとは?

詳細情報
番組内容
住み慣れた家を離れ、二度と戻れない旅に出るとする。そのとき持っていけるものがリュックひとつ分だけだとしたら、あなたは何を選ぶだろうか? この番組は自分にとって本当に大切なものを見つめ直し、わき上がる思いをモノローグや詩でつづっていく新しい形のドキュメンタリー。今回の出演はミュージシャンの矢野顕子さん。ニューヨークの自宅で彼女が選び出した「大切なもの」とは? そこから彼女の人生や価値観が見えてくる。
出演者
【出演】矢野顕子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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