キャラクター:新潟からドカベン消える?
毎日新聞 2015年04月04日 18時39分(最終更新 04月04日 21時26分)
新潟市出身の漫画家・水島新司さんの事務所が同市に対し、2015年度以降はキャラクターの使用契約を更新しないと伝え、人気野球漫画「ドカベン」の登場人物が描かれた市内観光循環バスが今月から使えなくなるなど波紋が広がっている。登場人物らの銅像を設置している同市の商店街にも撤去の申し入れがあり、関係者は困惑している。
同市は水島さんや高橋留美子さんら多くの漫画家を生んだことから「マンガ・アニメのまち」を掲げて観光行政を進め、13年5月には「市マンガ・アニメ情報館」も設置した。
水島さんの事務所とは03年にキャラクター使用契約を結び、同年度からドカベンナインが描かれた観光循環バスの運行を開始。児童や生徒の見守り活動をするボランティアが着るジャンパーにキャラクターを入れるなど活用してきた。
同市文化政策課によると、契約は毎年度更新されてきたが、今年3月初旬、事務所から15年度は契約を更新しないと連絡があった。「版権管理業務を縮小するため」との説明だったという。
これに伴い、観光循環バスは今月から無地の車体に切り替えて運行。ボランティアのジャンパー約6000枚も回収を進めている。マンガ・アニメ情報館はドカベンの展示を3月末に撤去した。
同課の中野力課長は「水島さんに何かお考えがあるのかもしれないが、市民に親しまれたドカベンがなくなるのは残念。また機会があればぜひ協力していただきたい」と話す。
銅像は、ドカベンの主人公で捕手の山田太郎やチームメート、「あぶさん」主人公の景浦安武など7体で、同市中央区の古町通五番町商店街振興組合などが02年12月に国や県、市の補助を受け約2000万円かけて設置。水島さんの厚意で版権料は無料だった。
市内の人気撮影スポットになっていたが、関係者によると、今年に入って事務所の弁護士から撤去要請があり、対応を協議しているという。像の近くの飲食店で働く白井武人さん(23)は「古町といえばドカベンなのに。一発逆転でドカベン像が残る手立てがあると信じたい」と話した。【柳沢亮】