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<ローマ法王>教徒迫害に沈黙を批判 過激派封じ込め促す

毎日新聞 4月4日(土)20時44分配信

 【ローマ福島良典】中東やアフリカでイスラム過激派によるキリスト教徒迫害が相次ぎ、カトリックの総本山・バチカン(ローマ法王庁)が懸念を深めている。ケニアの大学襲撃事件を受け、フランシスコ・ローマ法王は3日、迫害を前に手をこまねく「沈黙」を批判して「(過激派に)加担している」と述べた。国際社会に対してイスラム過激派の封じ込めを促すバチカンの動きが強まっている。

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 ケニア東部ガリッサの大学を2日に襲った隣国ソマリアのイスラム過激派アルシャバブのメンバーは、寄宿舎でイスラム教徒かキリスト教徒かを確認して回ったという。法王は3日、「私たちが沈黙する中、目の前で(キリスト教徒の)兄弟たちが信仰ゆえに迫害されている」と嘆いた。

 バチカンにとって、世界各国におけるキリスト教徒の安全を保障する信教の自由は「最優先事項」(法王庁国務省高官)。フランシスコ法王はイスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)の「不当な攻撃は止めなければならない」と強調し、イラクに特使を派遣。駐ジュネーブ国際機関代表のトマジ大司教は3月、「政治的解決が不可能な場合には実力行使が必要になる」と軍事介入を容認する考えを示した。

 バチカンは原則として戦争反対の立場だが、国際社会には虐殺などから市民を「保護する責任」があるとの観点から「軍事介入の可能性を排除していない」(国務省高官)。(1)国連の承認(2)他の選択肢がない(3)度を越さない−−が容認の条件だ。

 法王庁の「正義と平和評議会」議長、タークソン枢機卿(66)は毎日新聞のインタビューで「(被害を受けている地域には)バチカンに大国を説得して動かしてほしいという期待があるが、今の世界には『戦争疲れ』がある」と国際社会の及び腰を指摘した。

最終更新:4月4日(土)22時2分

毎日新聞