青函トンネル発煙:過電流に配線焦げる 同型車を緊急点検
毎日新聞 2015年04月04日 11時31分(最終更新 04月04日 14時34分)
◇海峡線は4日午前7時から上下線で運転再開
青函トンネルで発生した特急スーパー白鳥34号(6両編成)の発煙事故で、JR北海道は4日、先頭から2両目(5号車)の台車にあるモーターに電気を送る配線3本に過電流が流れ、配線を覆うゴム製の膜が焦げたことが原因とみられると発表した。救助された乗客124人のうち、体調不良を訴えていた女性2人は命に別条はないという。
スーパー白鳥34号は4日午前4時15分ごろ、新中小国信号場(青森県外ケ浜町)に自力走行し、国土交通省東北運輸局による目視点検を受けた後、JR北海道函館運輸所(函館市)に向かって出発。JR北は、発煙事故を起こした特急列車と同型の34両の緊急点検を始めた。
JR北によると、焦げた配線(直径約30ミリ、膜の厚さ約5ミリ)は、パンタグラフからモーターの回転数を制御する「主変換装置」に電気を流しており、制御装置に異常があった可能性もあるという。
トンネルには、通過列車の火災を検知するため、函館側の旧吉岡海底駅と青森側の旧竜飛(たっぴ)海底駅付近に車軸の温度を検知し、220度以上となった場合列車を停車させる装置が設置されている。今回、スーパー白鳥34号が旧竜飛海底駅を通過した時点で車軸の温度は160度だったため、停止装置は作動しなかった。
海峡線は3日から4日にかけて当該列車を含め計12本が運休したが、午前7時から上下線で運転を再開した。
西野史尚(ふみひさ)副社長は4日午前0時からJR北本社で記者会見し、「大変申し訳なく、強く責任を感じている。原因を究明して再発防止に努める」と謝罪した。【久野華代、三股智子、小川祐希】