戦後70年国会決議:見送りか…自粛ムード広がる

毎日新聞 2015年04月04日 02時31分(最終更新 04月04日 02時33分)

 戦後70年の国会決議が見送られる公算が大きくなっている。戦後50年、60年の際には「侵略的行為」への反省や、アジア諸国への「多大な苦難を深く反省」する決議が衆院で採択されたが、安倍政権が8月にも発表する戦後70年談話に影響を与えかねないなどと、自粛ムードが広がっている。過去への反省を表明すべきだとする旗振り役が、与党に不在なのも影響しているようだ。【水脇友輔】

 衆院関係者は「これだけ政府の『70年談話』が注目を浴びてしまった以上、国会で決議を話題にしづらい。先に国会決議が出てしまえば、少なからず先入観を持たれてしまう」と指摘した。公明党関係者も「特別に名目がある場合に採択されるべきで、戦後70年というだけで必要になるとは考えていない」と語る。

 自民党の谷垣禎一幹事長は先月の記者会見で、「個人的には必要ないものだと思っている」と明言。そのうえで、1995年の戦後50年の国会決議は政治的な妥協の産物で、そもそも必要がなかったとの認識を示した。当時は、自民党と社会党、新党さきがけの3党の連立政権で、発足時の政権合意に戦後50年の国会決議を行うことが盛り込まれていたため採択せざるを得なかったという主張だ。

 50年決議の際は、「侵略的行為」などの文言への反発で、自民党から多くの欠席者が出た。安倍晋三首相もその一人で、先月27日の参院予算委員会で、欠席した理由について「自民党で、我々が要求した議論が重ねられなかったとの問題があり、抗議の意味で欠席した」と語った。

 2005年の戦後60年の国会決議は、河野洋平議長(当時)の強い意向で採択された。小泉純一郎首相(同)は毎年、靖国神社を参拝し中国との関係がきしんだ。河野氏は「ハト派」の重鎮と言われ、中国との関係悪化を懸念。決議採択を目指し、自民、民主両党などが協力し文案を作成した。50年決議のような混乱はなかったが、60年決議には「侵略的行為」などの表現は盛り込まれなかった。

 国会決議は国会の意思を示すもので、法的拘束力はない。戦後50年、60年の国会決議とも、政府の戦後談話に先立って採択された。

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