河口健太郎
2015年4月3日15時11分
統一地方選で行われる41道府県議選と17政令指定市議選が3日、告示された。大阪府議選や大阪市議選は、大阪市をなくして特別区に再編する大阪都構想の行方を占う。5月17日に市内で実施される都構想の住民投票まで続く論戦が、本格的に始まった。
午後1時45分現在、府議選(定数88)には182人、大阪市議選(同86)には140人が立候補を届け出た。堺市議選(同48)には64人が立った。
府議選では4年前の前回、定数109のうち大阪維新の会が57議席を占めて大勝した。定数が減った今回、維新は53人を公認。党を離れる議員が相次いで過半数を割った維新が再び過半数を握れば、都構想実現に弾みがつく。
一方、都構想に反対する自民党は42人を公認。15人の公明党と合わせて過半数を得ることが目標だ。民主党は9人、共産党は35人をそれぞれ擁立した。
大阪都構想の実現を目指す維新と他党が激しくぶつかる構図は、住民投票の「決戦の地」の大阪市で初日から浮き彫りになった。
維新の橋下徹代表(大阪市長)はJR大阪駅前で第一声に臨んだ。「自民、民主、公明、共産のままでは大阪は沈没してしまう」と他党を批判。「今よりも(住民が)納得できるよう最終的には大阪都構想を実現していく」と強調した。
一方、自民党は谷垣禎一幹事長が駆けつけた。都構想について「良いか悪いか安倍(晋三首相)さんが決めることではない。大阪のみなさんに決めて頂ければいい」としつつ、「私ども自民党大阪府連は『これは問題だ』と反対していることだけは申し上げておく」と付け加えた。
民主党の尾立源幸府連代表は「今回の戦いは暮らしを守る戦いであり、大阪を守る戦い。近年の維新政治が不安定なために、多くの企業や人に大阪は嫌がられている」と指摘。共産党の清水忠史府副委員長は「都構想は大阪市をつぶし、市民の税金を吸い上げて、高速道路の延伸やカジノを持ってくることに回そうとするものだ」と都構想批判を展開した。住民投票の実施に協力した公明党は複雑な立場だ。佐藤茂樹府本部代表は街頭で「選挙戦は4年間、大阪の街づくりをどの議員に託すのかが問われている」と訴えたが、都構想には触れなかった。
■住民投票の前哨戦
大阪府議選と大阪市議選は、大阪都構想の是非を問う住民投票の前哨戦とされる。もちろん選挙結果が住民投票に直結するわけではないが、維新が主導してきた4年間の政治運営に対する審判となるためだ。
維新は住民投票が行われる大阪市を含む府・市両議員選で、都構想実現を前面に掲げた選挙戦を展開する。この二つの選挙で勝利を収めれば、民意を得られたとして5月の住民投票を有利に運べると計算する。
一方、自民、民主、共産の各党は都構想反対の立場を鮮明にする。前回の統一選で大勝した維新を敗北に追い込んで、都構想の推進力も失わせる狙いだ。
仮に住民投票で賛成多数を得ても、「大阪都」に移行する際には府議会で関連条例を整備する必要があり、選挙後の勢力図がカギを握る。両議員選は大阪の将来を決める「天王山」となりそうだ。(河口健太郎)
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