「介護ローソン」って何?(上)埼玉・川口の1号店に行ってみた! 

2015.4.3

 コンビニエンスストア大手のローソンは3日、介護事業のウイズネット(本社・さいたま市)をフランチャイズオーナーにして高齢者の生活支援を行う「ケア(介護)ローソン」の第1号店を埼玉県川口市内にオープンさせた。「介護」と「コンビニ」…。通常のコンビニエンスストアと何が違うのか。どんな品揃えやサービスになっているのか。開店に先立って実施された内覧会に行ってきた。(早坂礼子)

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オープンを待つローソン川口末広3丁目店=埼玉県川口市(早坂礼子撮影)

オープンを待つローソン川口末広3丁目店=埼玉県川口市(早坂礼子撮影)

 「介護ローソン」第一号店は、川口市末広にある川口末広三丁目店だ。JR川口駅前から車で約15分ほどの距離。最寄り駅は埼玉高速鉄道の川口元郷駅だが、そこからも徒歩で18分ほど住宅街の一角にある。桜並木に彩られたJR川口駅前から送迎バスで約15分。道路からも見えるようにたったポールの上には、白い牛乳ボトルでおなじみのブルーの看板。駐車場の先にある店舗もブルーを貴重とした外観だが、大きく異なるのは、「LAWSON」のロゴのすぐ横に赤い文字で、「+株式会社ウイズネット」という施設名が明記されているところだ。

■シニアとその周辺に寄り添った品揃え

 店内の入ると、「介護ローソン」の特徴が見えてきた。

 売り場面積は約170平方メートル。通常ローソンが展開している店舗に比べて約1.3倍も広いスペース。陳列棚に商品がぎっしり。通常の店舗では、約3000~3500の品ぞろえだが、それよりも約500種類ほど増やした。開店前に地元の60~70歳のシニア約300人に座談会やアンケートを実施し、品ぞろえに反映させたという。

店内に設けられた介護関連用品のコーナー(早坂礼子撮影)

店内に設けられた介護関連用品のコーナー(早坂礼子撮影)

 お弁当やお菓子、飲料などの通常の商品に加えて、健康関連商品のコーナーが配置されている。脱水症状を緩和する「経口補水液」や整腸剤、入れ歯洗浄剤などシニア世代の役にたつ商品が並べられていた。さらに、介護関連の商品コーナーも設けられ、消臭剤や紙オムツなど介護に欠かせない品も約40種類そろえられていた。老眼鏡や補聴器も購入することができる。

 コンビニといえば、お弁当や総菜だが、シニアに配慮。“かたさ”や“粘度”など食べやすさにこだわった「ユニバーサルデザインフード」が用意されていた。

 品ぞろえをみて気がつくキーワードは何か。

 一つは「ロングセラー」。バス用品のコーナーには紙箱入り固形石鹸や、定番で安価なシャンプーが並び、調味料の棚にも昔からおなじみのソースブランドがある。シニアは目新しい新製品よりも昔からの愛用品に手が伸びるようだ。

 キーワードその2は、「少量・個包装」。サラダやきんぴらごぼうなどの総菜に和菓子やパンなど食品の種類も豊富だが、ご飯のレトルトパックは通常の180グラムではなく120グラムだし、カップ麺も小さいサイズが並ぶ。

 お茶受け用の菓子も一つ一つ包装されていれば、食が細くなるシニア世代も無駄なく食べられる。シニアにはたまらない心遣いだ。

店内の一角は介護相談窓口やサロンスペースが(早坂礼子撮影)

店内の一角は介護相談窓口やサロンスペースが(早坂礼子撮影)

窓口にはケアマネージャーらが常駐している(早坂礼子撮影)

窓口にはケアマネージャーらが常駐している(早坂礼子撮影)

■介護関連相談の提供も

 だが、この店の売り物はシニアとその介護をする人たちに寄り添った商品だけではない。

 最大の特徴は、オーナーであるウイズネットの提供で店内にケアマネジャーや相談員が毎日午前8時30分から午後5時30分まで常駐する「相談窓口」がある点だ。

 家族の介護が必要な人向けに要介護申請の手伝いや介護ケアのアドバイスが受けられる。奥にはいすとテーブルが置かれた「サロン」スペースもあって、要介護予防運動のDVDが流れ、血圧計も常備されている。

 シニアとひとくちに言っても、毎日を活動的に送るアクティブシニアから要介護者まで幅広い。一人暮らしの人も少なくないため、サロンでは趣味のサークル案内などの地域情報の提供も行い、多世代が交流できる場を目指すという。

その狙いとは-。(続く)