平成27年度税制改正大綱 相続税・贈与税のポイント(1)
昨年12月30日「平成27年度税制改正大綱」が発表され、相続税・贈与税においても高齢者層から若年層への財産移転を促進するため、非課税措置の延長・拡充や新制度の創設が行われることとなりました。
本年1月1日からの相続税・贈与税における改正のおさらいと、平成27年度税制改正大綱におけるポイントについて、今回から2回に亘ってご紹介していきます。
1. H27.1.1以後の相続税・贈与税
(1)相続税
①基礎控除額が40%カット
3,000万円+600万円×法定相続人の数
②最高税率が50%⇒55%に
(2)贈与税
①暦年贈与の税率構造の見直し
※20歳以上の者が直系尊属(父母・祖父母等)から受ける贈与のことをいいます。
②相続時精算課税制度の適用要件の緩和
あげる人:65歳以上 ⇒ 60歳以上に
もらう人:20歳以上の子(代襲相続人含む)に20歳以上の孫を追加
2.平成27年度税制改正大綱<その1>
(1)教育資金一括贈与の非課税の延長・拡充
(制度の詳細についてはVol.8をご参照ください。)
①適用期限の延長
平成27年12月31日 ⇒ 平成31年3月31日
②対象範囲の拡充
これまで対象外であった「通学定期券代」や「留学渡航費」なども新たに対象となります。
③払出し手続きの簡素化
領収書等の記載額1万円以下かつ年間支払額24万円までのものについて、領収書等に代えて支払先・支払金額等を記載した明細書の提出とすることが可能となりました。(H28.1.1以後提出分より適用)
開始よりまもなく2年が経過するこの制度ですが、弊社にも相続税対策の一環として利用を検討されるお客様からの問い合わせが多数寄せられていました。
その中で、「交通費には使えないの?」や「いちいち領収書を提出するのは面倒」といった声もありましたので、利用をためらっていたお客様のなかにも今回の改正を受けて再検討される方が増えそうです。
次回は、教育資金一括贈与の非課税と同じく延長・拡充が決定した「住宅資金贈与の非課税」と、新設される「結婚・子育て資金一括贈与の非課税」についてご紹介します。