【シリコンバレー=兼松雄一郎】アップル、セールスフォース・ドットコム、ウォルマート・ストアーズなど米国の大手企業が、一部の保守的な州で検討される同性愛者らの差別につながりかねない法案に反対し、事業のボイコットに乗り出した。産業界の政治参加で法案が修正される流れができつつある。
インディアナ、アーカンソーなど宗教的に保守的な州で、顧客の性的指向を理由にサービス提供を拒否する権利を認める「反LGBT法」導入の動きが盛り上がっている。インディアナ州では3月26日に法案が成立した。セールスフォースのマーク・ベニオフ最高経営責任者(CEO)は同州での事業ボイコットを始め、開催予定のイベント中止も示唆した。
インディアナ州のペンス知事は法案の一部を修正すると表明。議会で同様の法案が通過したアーカンソー州でもハッチンソン知事が修正されない限り法案への署名を拒否すると明かした。同州が本社のウォルマートなどが相次ぎ署名拒否を求める声明で圧力をかけた。
アップルのティム・クックCEOは米ワシントン・ポスト紙の寄稿で「20以上の州で性差別的な法律ができつつある。米国の理念と歴史的進歩に逆行する非常に危険な動き」と批判した。同氏は昨年、米主要企業500社のトップとして初めて同性愛者だと公表した。
アップルは昨年、反LGBT法が導入されかけたアリゾナ州で大規模投資を再考すると圧力をかけた。インテルなども加わった反対運動で知事が法案への署名を拒んだ。
反LGBT法はテキサス、ノースカロライナ、ネバダの各州でも導入が検討中だ。米ではLGBTに寛容なリベラル派を顧客や社員に抱えた企業が政治に積極参加し、ブランド価値を高める販促手法が定着している。
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