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郵政上場の不透明感はまだ消えない

2015/4/4付
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 2015年秋の株式上場を目指す日本郵政が中期経営計画を発表した。14年度に4200億円と見込まれる純利益を、17年度に4500億円にする計画だ。

 中期計画の発表には成長戦略を明確に示し、市場の信頼を獲得する狙いもあった。しかし残念ながら、郵政上場の不透明感が完全に拭えたとは言えない。成長戦略や上場計画についていっそう丁寧な説明が必要となる。

 何よりも、日本郵政が傘下のゆうちょ銀行とかんぽ生命と同時に上場する計画への不安が残る。仕組みが複雑なうえ、一般に親子上場は子会社の経営や財務の自由度が、親会社の意向で制限されかねないという懸念がある。

 特に日本郵政は西室泰三社長がゆうちょ銀社長を兼ねており、企業統治上の問題を抱える。西室社長は上場申請までにゆうちょ銀の後任社長を決める意向だが、トップが誰かによって企業価値は大きく変わる。できるだけ早く人選し、投資家に示すべきだ。

 経営計画の中では、グループの中で最大の利益をあげているゆうちょ銀が、外債や株式への投資を増やす方針が示された。住宅ローンなどの新規事業を自由に手がけられない現状では、投資業務に傾斜するのもやむを得ない選択だ。運用・リスク管理の専門性を高めることが急がれる。

 郵政民営化は官営の金融業と、民間の銀行や保険会社との競争条件を適正化することが大きな目的だった。この趣旨に沿えば、上場後のゆうちょ銀とかんぽ生命の株式は、市場動向も勘案しながら、できるだけ速やかに完全売却されることが望ましい。

 金融2社が独立すると、日本郵政には郵便局運営や郵便など低収益の事業しか残らない。日本郵政が豪物流大手の買収に動いたのは、そうした事態に備え収益力を高める必要があったからだ。

 ただ、買収価格は市場実勢に比べて割高との指摘がある。相乗効果を引き出さないと、買収コストが経営の足を引っ張りかねない。外資系企業などで経験を積んだ経営のプロを採用するといった手立てを講じる必要もある。

 郵政上場はNTTドコモなどの上場に次ぐ大規模なものになるという。上場後の株価が低迷すれば実体経済への悪影響も出かねない。それだけに、経営への様々な懸念を上場前にできるだけ晴らしておくことが重要だ。

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