韓国が1年間にわたる中国との折衝の結果、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を決めた。韓国メディアは「韓国企業がアジア地域のインフラ開発事業に参加する機会が大きく開かれた」(中央日報電子版3月30日付)と大はしゃぎである。つまり韓国は実利を優先したのだが、彼らにとって真っ先に考える実利先は北朝鮮である。
ワシントンが中国主導のAIIBに反対してきたのは、米国主導のアジア金融秩序に中国が割り込んで主導権を奪い、アジアを分断する狙いがあると読むからで、とりわけ朝鮮半島情勢を考えると、韓国が中国側に走るのを阻止したかった。一方で中国側は韓国を引き寄せるのに熱心で、AIIBと韓国をめぐる米中の暗闘はすさまじかった。
2014年5月、訪韓した中国の王毅外相は朴槿恵大統領に対し、「7月初旬の習近平国家主席の訪韓時の中韓共同宣言文に『韓国がAIIBに加盟することにした』と明示してほしい」と要求してきた。さらに北京は6月初旬に訪中した韓国の副首相に念を押した。
これに対し、米側は危機感を強め、C・アトキンソン米国国家安全保障会議(NSC)国際経済担当副補佐官が、6月初めに米国を訪問した韓国政府高官に、AIIBに参加しないよう、クギを刺した。「韓国がAIIBに参加するなら、米韓の信頼関係を壊す」とまで警告した。